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第百八十二話:男女男男女男女!

なお、男の方が大分多い模様。交互には並びません。

 川の男たちはぬるぬるぐちょぐちょになって座り込んでいた。いや、むさいマッチョなおっさんたちのそういうのは求めてないから! かといって女性のも求めてる訳ではないけど。二次元がめんのむこうなら喜んでみるんだけど。


「なるほど、強えな」

「だからといって信じられるって訳でもないがな」


 往生際悪いな。さっさと納得してくれたら良いのに。ビデオカメラとかあれば録画したのを再生出来たのかもしれないけど、そんなものはオーバーテクノロジーだからなあ。


ご主人様(マスター)、これは亀を出すまで治まらない」

「多分そうだろうなあ」


 仕方ないとばかりにストレージから亀の甲羅を取り出す。出した瞬間にみんなが注目するくらい分かるんだよ。出来れば出さずに帰りたかった。


「うおおおおお!?」

「出やがったな、この野郎!」

「あんたらは早く逃げてくれ!」


 どうやら川の男たちは戦う気満々の様だ。いや、だからね、もうそれは甲羅だけなんだよ。


「どうしたのですか、使徒様!」


 ぼくが亀の甲羅を出したのを見て、残りの騎士さんたちも兵士さんたちもこっちに集まってきた。


「き、騎士様方、あぶねえです、下がってくだせえ」

「何を言っている。この亀はそちらのアリス殿が倒してくれたものだぞ。使徒様のご能力で収納してあったのだ」


 ここで初めて川の男たちが納得してくれたようだ。女子供の言う事は信憑性がないとかだろうか。いや、ぼくの言う事も信じてなかったみたいだからきっとマッチョでなければ信じてくれないのだろう。あれ? そういえば、ぼくも言ったっけ?


「そうでしたか。それはすんませんでしたなあ。しかし、これで渡し船の仕事が再会できるわい。ありがてえ」

「あ、うん」

「使徒様だったか? あんたらも運んでやるでな」


 そのまま背中をバンバンと叩かれた。痛い、痛いよ。その鍛え抜かれた感じのでかい手で叩くのやめて!


 再び亀をしまって船に乗って対岸へ。帰りたかったけどみんなの目もあるし、野宿するか街に着くまでは無理そうだ。


「ここから四半刻(三十分)も歩けば宿場町に着くでな」

「うむ、感謝する」

「陸亀の甲羅亭ってメシ屋がうめぇぞ。騎士様たちの口に合うかは知らんがな」


 川の男たちもどうやらその街に住んでるらしい。なるほど、そりゃそうか。掘っ建て小屋にみんな集まってるとか無いよな。


 ぼくらは川の男たちと別れて宿場町へ。町の名前は特にないらしい。川渡しの宿場とか呼ばれてるとか。川の向こう側にも作る予定はあるが、人が集まってないらしい。なるほどなあ。


 で、門から入って宿屋を探す。居眠りする船って名前の宿屋があった。それ、危なくない? 居眠り運転ですかね? まあ、船には対向車とか居ないだろうから良いのかもしれない。あ、渡し船は対向車というか向かいから舟が来ることもありますか。そりゃあ危ない。宿屋的には「居眠りする船ならそのまま進まないで寝た方がいい」みたいな意味らしくて疲れたままで進むな、みたいな感じらしい。休息大事。


 宿屋で出迎えてくれたのは八歳位の女の子。この宿の娘だろうか。容姿的には十人並というところか。いや、八歳ならこれから可愛くなるかもしれない。失礼な事は言わない事にしよう。まあ、今の時点で驚異的な美少女とかそういうことはないってこと。


「いらっしゃいませ!」


 元気に挨拶してくれた。ぼくもこれくらいの子なら怖くないぞ。


「これだけの人数なんだが宿泊出来るか?」

「え? いち、にい、さん……いっぱい! どうしよう、わかんない」


 半泣きになりながら女の子が震えている。あー、こりゃあ誰か大人呼ばないとな。


「すいません、騎士様方。この子はまだ見習いみたいなものですんで。どうぞ、二階が空いてますのでお好きな部屋をどうぞ。一部屋に三人までです」


 お母さんらしき人が出てきて鍵の束を渡してくれる。これで適当に鍵を使って戻してくれ、という事らしい。もしかしたらお母さんの方も計算出来てないのかもしれない。


「では参りましょう。我々は騎士は騎士で、兵士は兵士で、別れたいと思います」

「アヤ殿はアリス殿たちと一緒で」

「え? 私は主様と一緒だよ?」


 キョトンとした顔でアリスが聞き返す。いや、アリスさん? 普通男女七歳にして席を同じくせずって言葉もあるように、同じ部屋で起居を共にするのははしたないことなのですよ。


「私と主様はラブラブで普通じゃないです!」


 今日はアリスが譲らない。これはどうしたことだろうか。もしかして、ぼくが生身の本体だからなのか? ぼくはこっそりアリスに話し掛けた。


「アリス、宿の部屋に入ったらぼくは家に戻ってパペットの分身体と入れ替わるよ?」

「主様、私は別の部屋でも大丈夫です」


 どうやら冷静になった様だ。ふう、やれやれ。

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