第百七十三話:ダイエットとは体重を落とす事だけでは無い
まあ筋肉は贅肉よりも重いから
トレーニングを始めてから一ヶ月が経過した。その間、割とつきっきりという訳でもなく、送迎だけぼくらが受け持った。これ、将来的にはダンジョンの入り口を森の外に繋げてそこから移動してもらうんだよね。馬車とめる為の駐車場とか要るんだろうなあ。
「じゃ、じゃあ乗りますね」
ラケシス様がドキドキしながら体重計に乗る。一ヶ月前に量った時と比べて三キロ落ちてる。ラケシス様の元の体重だと、ちょっと落とし過ぎかもしれないが、まあこれからも運動を継続したそうにしてたし、問題ないだろう。
「目標体重よりも低いです!」
「さすがです、お嬢様」
トレーナーとしてセイバートゥースさんがついてる。やっぱりスポーツジムにはトレーナーだろうというところで動物ランドの皆さんに協力してもらった。レッドメット以外は頑張ると言ってくれた。レッドメットは……満場一致で人前に出せないって。
「じゃあ次は私ね!」
王妃様が体重計に乗る。最初はワクワクしながら乗って、遊んでいたが、減らない体重に少し心配だったみたい。でも、それは実はバイクが楽しすぎて足に筋肉がつきすぎたせいだと分かって、大喜び。はい、健脚になられましたよ。
体重の減り幅的には二キロ程度なんだけど、体脂肪率がガクン、と落ちてるから体型的にはスマートになった。おっぱいはそのままに腰がくびれたのでセクシーさに磨きがかかっている。王様もきっと大喜びだろう。
「まあ、素敵ね!」
「はい、奥様は素敵です!」
こちらのトレーナーはピーター君。やる事は頑張れ頑張れって応援する事だけなんだけど、それで王妃様がやる気を必要以上に出したのかも。
「じゃあ次は私ですね!」
アヤさんが体重計に乗る。結果は……五キロ増。これは脂肪じゃなくて筋肉がだいぶ増えた感じ。そりゃあダイエットとかじゃなくてよく食べてよく運動してってやってたらそりゃあ筋肉もつくよ。
「いやー、また強くなっちゃったなあ」
「本当? 私と殴り合い出来る?」
「無理です!」
それでもアリスと殴り合いはしたくないらしい。うん、ぼくも今でもアヤさんがボコられて終わる姿しか思い浮かばない。
「とりあえず目標体重辺りになったので、今回のダイエットは成功という事で。で、ラケシス様、これ、幾らなら払えます?」
「そうね、運動出来て、イケメンがついて、痩せられて、月に金貨一枚、いや、三枚かしら」
イケメン重要なのか。やはりイケメンは強いな。まあぼくには関係ないけど。しかし、金貨三枚とかだとちょっと金持ちしか来れなくない?
「普通の一般的な市民は太らないもの」
あー……確かに。わざわざお金払わなくても日頃の生活が運動になるもんな。必要なのは貴族の坊ちゃん嬢ちゃん、ご婦人方と富豪と呼ばれる商人か? 特に社交シーズン前に混み合う事になりそうなんだって。夏休みの宿題終わらない生徒かよ。
「あとは冒険者の類が身体を鍛える為にとかはありそうだけど、それも実戦の方が良いからね。身体が鈍らないように上級冒険者が体力維持の為とかで利用とかはあるかも」
なるほど。それならちょっと上級冒険者とやらに伝手があるから体験してもらおうかな。なんなら冒険者ギルドに……確かギルドマスター代わったよね?
まあ試しにって事で、ラケシス様の御友人の令嬢達に体験してもらう事に。
「よろしくお願いします!」
「……ラケシス様、お友達居たんですね」
「なんか酷いこと言われた気がするわ」
「そんな」
「私がお友達だなんて」
「おこがましいです」
どうやらお友達とは思われてなかったようだ。お友達というよりは崇拝対象? 手を合わせて拝まれたりはしてないけど、明らかに憧れの目で見てるよね。
「……なんかものすごく酷いことを言われた気がするわ」
あからさまに落ち込ませて正直すまんかった。貴族の娘さんたち、一応家格的には伯爵以上の家の娘らしい、はイケメンに目を輝かせてぽわぽわしてる。そこまで太ってはないけど運動は頑張ってる様だ。イケメンたちの腹筋とか熱心に見てるし……いや、観てる? 凝視てる?
それぞれ運動マシンに行って「やーん、できなーい」とか明らかに力入れてない感じでやってたりする。うん、その調子だと痩せるのは難しいかなあ。
「あなたたち、来月の舞踏会までに痩せるのではなかったの?」
「そうでした!」
「婚活!」
「いい男捕まえなきゃ!」
捕まえるのは物理的に、じゃないですよね? うん、貴族の娘さんだからプロポーションを良くして目に留まりやすくするんだよね。
こんな感じでラケシス様の紹介と、王妃様の指令でメイドさんたちが鍛えに来た。王妃様の身を守る為に鍛えたいんだって。教官は何故かアヤさん。って帝国の兵士が王国のメイドさん鍛えるの? これも国際交流? そんなんでいいのか?




