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第百六十話:ダンジョン内は圏外じゃなかったみたいです。

まあ護君もアカネと同期してましたしね。

 ダンジョンの一階層は普通の洞窟のままである。ジメジメとして薄暗い。途中で壁にほのかに光ってる灯りが見える。電灯な訳はないよな、とか思って見てみるとどうやら苔らしい。地球にはヒカリゴケって苔もあるけど、あれは太陽の光を反射してるだけだから洞窟の中では光らない。これはどんな仕組みかは分からないが自分で光ってるらしい。


「きゃー、主様、こわーい」

「アリス、キャラ変わってない?」

「主様はこういうのお嫌いですか?」

「嫌いというか怖い。ついていけない」

「分かりました、主様! 大丈夫です。私が主様を守ります!」

「うん、頼むよ。アリスはやっぱりこの方がいいな」

「え? 私が私のままが最高!? あの、主様はウェディングドレスと白無垢はどっちがお好みですか?」


 よく分からん思考回路になっているらしい。もしかしたらこの光ってる苔が影響してるのかも。パペットに異変をもたらす? いや、パペットはからくり人形とかメイドロイドとかじゃないからなあ。細かな部品も使ってない。生体部品なのだ。


ご主人様(マスター)、この苔に催眠成分はなさそう。魔力で光るだけ」


 アスカがきちんと指摘してくれた。なら問題ないだろう。まあ問題あってもぼくにもパペットのみんなにも効かないんだけど。あ、でもぼくの本体には影響出るかもしれないんだ。注意しなきゃな。


 一階層は洞窟がずっと続いてる感じでモンスターすら出なかった。下に降りる階段があるのでこの下が二階層だろう。進むか戻るか。進めば二つ手に入るかもしれないからなあ。何がとは言わないが。


 階段を下りると二階層はジャングルになっていた。ダンジョンの中は別空間だというのはよくあるパターンだと思うが、一階層が洞窟だったからいきなりこうなると面食らう。


「わーおわーおわおー」


 なんかアリスが吠えてる。野生に目覚めた? いや、叫びたくなっただけかも。決してボバンババンボンとか続いたりしない。


 こういうジャングルとかで来そうなモンスターはクマ、トラ、あとはオオカミ、ゴリラかなあ。まあクマとか強そうだよね。クマパンチとか、クマファイヤーとか。


「侵入者よ、立ち去れ」


 えっ? 警告? どこから? とか思ってたら岩場の上にすっくと立った星雲かめ……じゃなくてサーベルタイガー。うん、牙が長いね。サーベルタイガーさん、サーベルタイガー、お牙が長いのね、そうよ、母さんも長いのよ。いや、オスメスで長いのが違うのかは知らないけど。というかその牙で喋りにくくないのか?


「いや、ぼくたちは……」

「ケモノ風情がご主人様(マスター)になんて口を。万死に値する!」


 いや、アスカ、お前いつもはそんな感じじゃないだろ? なんで喧嘩ふっかけてんだ?


「という事なんで、ご主人様(マスター)、やっちゃってください!」


 このどあほうが! 煽るだけ煽って丸投げしやがった! 道理で口調が変だと思ったよ。


「ほう、貴様が相手か、ニンゲンよ」

「いや、そんな別に相手とか。話し合いが出来れば」

「何言ってるんですか。そんなやつバーンってやっちゃってください、ご主人様(マスター)!」

「ちょ、ちょっと、アスカちゃん?」

「アリス姉様もご主人様(マスター)のちょっといいとこ見てみたいよね?」

「それは……まあ」

「だそうです! ほら、頑張ってください!」


 いつものアスカっぽくないな。こんなこと出来たっけ?


「アスカ、マヨネーズを帰ってからやるからあいつを倒せ」

「マヨネーズなんかで釣られる訳ないでしょう、ほら、ご主人様(マスター)、ハリー、ハリー、ハリー!」


 あ、なんか分かったかもしれない。ぼくは自分の本体に意識を戻すと、隣の部屋のドアを開けた。


「ハリー、ハリー、ハリー……あっ」

「やっぱりお前か、この馬鹿女神(フォルテ)が!」

「うわー、バレた!? なんで、なんでぇ!?」

「アスカがマヨネーズの誘惑に勝てるわけないだろうが!」

「そうなんだ、しまったー!」


 とりあえずふんじばって転がしといた。再び分身体に戻る。


ご主人様(マスター)、突然意識強奪された。謝罪」

「いやいい。元凶は縛ったから」

「あとご主人様(マスター)、あいつボコるからマヨネーズを」

「あ、うん、別にボコらなくていいから」


 やはりアスカはマヨネーズが効くらしい。サーベルタイガーは飽きれた顔をして見ていた。


「なあ、もういいか? この先には行って欲しくねえんだ。断るなら力づくになっちまう」

「この先には何があるんだ?」

「それを聞かれても答える訳にはいかねえよ」


 やれやれ仕方ない。これは何とか排除して先に進むしか無いか。殺したくないからアリスたちには少し待ってもらおう。ぼくは異空間から麻酔銃を取り出した。いや、本来なら体重にあわせた麻酔薬の量とか調節しないといけないんだけど、そこはアンヌが調節してくれるらしい。


「なっ、銃だと!?」


 は? 今サーベルタイガーさんが銃にびっくりしましたよ? あれれー、おかしいなー。

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