第百五十話:レベルアップ特典、おめでとうございます!
レベルアップの内容は割とフォルトゥーナさんが独断で決めてます。だって引きこもりの能力なんて前例ないもの。
前回のあらすじ:詫びガチャもらった
という訳でガチャをもらったんだが、ここで引くのもなんだからまた後でという事にした。いや、だってUR確定演出とか派手にしたって言うんだもん。そしてURを必ず十枚目に引くようになったんだと。
「あ、それでレベルアップするんだっけ?」
「そうでーす。ぱんぱかぱーん、レベルアップおめでとうございまーす」
そのぱんぱかぱーんってのは様式美なのか? フォルテも言ってたよね。
「それでレベルアップで何が追加されたの?」
「レベルが上がりました」
「うん、それはわかった。まさかレベルが上がっただけとか詐欺みたいな事は言わないよね?」
「ぱ、ぱんぱかぱーん!」
あ、言葉に詰まりやがった! レベルをあげて効果はなんもなしで終わらせようとか思ってたのか?
「フォルトゥーナ、しっているか。ファラリスの雄牛って拷問があってね」
作った人物が最初の犠牲者で、使った奴が最後の犠牲者っていうアレだ。女神様だから炙ってもどうもならんかもしれないが。
「ま、護さん? その、暴力は良くないですよ?」
「暴力じゃなくて制裁だから問題ありませんよね。ぼくもこんな事は本来したくないんですよ。でも、約束を守れないと言うなら仕方ないですよね?」
「すいません、すいません! あの、ガチャ引き放題とかどうですか?」
ガチャ引き放題。いかにも魅力的な提案に見えるが、普通に引いてもNしか出なかった事は忘れてない。それに引き放題だと十連とかじゃなくて一枚引きが何度もみたいな感じになるだろうから延々とNが出続ける。ぼくはガチャは無情だと知っているんだ。
「そんな実感のこもった意見を言わなくても……ええと、じゃあ私の身体とかどうですか?」
「すいません、返品希望なんですが」
「酷すぎません?! 神界でも引く手数多の美人ですよ、私は!」
半泣きの状態でフォルトゥーナさんが詰め寄る。いや、別に美人とか美人じゃないとかは関係無くて、女性との接触がダメなんですよ。そりゃまあポンコツ女神だから多少はマシですけど。
「分かってます。分かってますとも。本当に物の方が良さそうですね。よし、ちゃんと家をレベルアップしますよ!」
最初からそうしてください。というかするつもりあったんですか?
「よし、じゃあ二階建てを三階建てにしましょう。エレベーターも完備で!」
いやまあエレベーターはそこそこ便利ですけど、ぼく出歩かないよ? それになんで二階?
「何言ってるんですか。この子たちの部屋はどうするんですか?」
………………ああっ、確かに! 今までは休むことなく動かしていたから気にしてなかった。そうだよな。個別に部屋は必要だよな。
「護さんのスペースを三階に持っていって、二階をパペットたちの部屋にします。こうなったらそれぞれのリクエストも受け付けますよ!」
どうやら脳に直接話し掛けて居るようだ。ちょうどいい、ぼくも聞かせてもらおう。
「女神様、私の部屋は主様のベッドに直行出来る部屋が良いです!」
「分かりました。その願い叶えて」
「却下だ却下!」
フォルトゥーナめ、いきなりなんということを。アリスもアリスでとんでもない。アリスには別の願い事を頼んでもらおう。
「部屋にキッチンが欲しいですね。いえ、台所が部屋でも構わないんですけど」
「でしたら第二のキッチンを部屋にしましょう」
アインは料理がしたいらしい。仕事で料理して趣味でも料理して、か。アインのご飯は美味しいからずっと食べたいな。
「ご主人様、それはプロポーズですか?」
「そんな!? 主様!」
「違うから。じゃあ次アスカ」
アスカは魔法使いだから魔法的な訓練場とか図書館かな?
「マヨネーズ食べ放題の部屋」
いや、さすがにマヨ食べ放題はやり過ぎだろう。臭いがすごくなりそう。
「別に良いけど」
「良くない! 家が臭くなる!」
「むう、ご主人様が反対なら仕方ない」
アスカも保留。次はアミタか。
「うちは地下の研究施設が部屋みたいなもんやからなあ。あ、でも鍛冶が出来る設備と窯は欲しいんやけど」
「それなら簡単ですね」
窯の排気とかどうするのかは知らんけど女神パワーで何とかしてくれるんだろう。次はアンヌ。
「私は出来たら手術室が欲しいです。あと診察室も」
「では無菌状態維持の手術室を」
誰を診察するのかは分からんが、まあ嵐の運び手のみんなとかが来たら要るかもしれない。診療所みたいなのは作っておく必要があるかも。億単位かかるんだっけ。
最後はアカネだ。でも先にフレーム状態の身体に肉付けしてやる事の方が先だよなあ。お金どうしよう。あ、この司祭から搾り取る? それともパップスだっけ? クソ商人から押収するか? まあ、ともかく保留。部屋だけ作ってて貰おう。個別の相談はちょっと考えておいてね。




