第百三十七話:ダンボール!(音も無い世界に舞い降りたパペット)
拷問者、スナイパー、超怪力者、MGS
アンヌの尋問のお陰で闇ギルドの奴らはあっさりとゲロった。闇ギルドの場所と依頼主の名前を。アンヌが楽しそうにメスを持ち、意識を失わないように局部麻酔をかけてお腹とか足とか切り開いていじって縫合する、みたいな事をやってた。
うん。普通に手術してるところとか見たくないよね。なんというか、術理がわかってる現代地球出身のぼくでさえ嫌なのに、そんな事に不慣れな人間、ましてや自分の身体が小さな刃物で切り刻まれていく様、それも意識はあるのに動けない感じで。発狂寸前までいきそう。
あ、悪い所は治してやったそうです。一番偉そうな男なんて初期の癌があったみたいで放っておけば生命が危なかったみたい。うん、良かったね。長生きできるかどうかは別として。
で、結果、黒幕は役人のコラーボ、貴族のボンド伯爵、商人のパップス。まあ予想通りというかこれ以外居ないよねって感じ。増えなくて良かった。
闇ギルドの場所は高級住宅街らしい。なんと、普通はスラムにあると思うんだけど、捜査の手が伸びた時に治外法権的な真似が出来るらしい。うむむ、これは厄介な。
普通の構成員じゃそんな場所に出入り出来ないんじゃないかって事なんだけど、貴族の下働きに化けたり、帝都郊外に続く抜け穴があったりと多種多様な手立てがあるそうな。なんだよ、めんどくさいな。
「俺たちは負けたがギルドの幹部たちは実力者揃いだ。首を洗って待ってるといいぜ」
あれだけ色々やられたあとなのに元気だけは有り余ってるみたいだな。よし、アンヌ。こいつら丸太替わりにしていいぞ。その昔、技の取得には丸太を使ったというのが古の書物にあったのだ。ほら、キン〇ドライバーとか。
アンヌは嬉々として孤児院の中に引きずり込んだ。いやいや、孤児院でやるなよ教育に悪い。えっ? 見られたらちゃんと記憶を消すって? おいバカやめろ。
結局アスカに転位してもらって自宅に帰した。場所がないからお風呂場でも使ってもらうかね。こりゃ早めに病棟というか医療施設を作るしかないかなあ。
さて、闇ギルドの場所もわかったことだし、殴り込みに……あ、普通に正攻法では攻めづらいよね。高級住宅街だもの。いや、ぼくが貴族なら問題ないんだけど、さすがにそれもなあ。皇帝陛下を引っ張り出す? それはそれで早いけどそこまで動くと悟られて逃げられそうだし。
結論。帝都郊外にある秘密の出入口から潜入する事にしました。スニーキングミッションです。そんな大人しいものになるかどうかは置いておいて。
潜入メンバーはアカネ、アリス、アスカ。ぼくは行かないよ。だって行っても役には立たないし。まああまり動かないのもなんなので中の様子がわかるようにアカネと同期しました。
アリスは「主様と一緒になるのは私がいい!」って駄々こねてたけど。いやだってアリスとアスカは戦闘要員だからね。特にアリスは動き回るし、相手からの攻撃も受けるかもしれないから。なお、アスカは魔法に干渉するかもしれないからって言っていたけど、単に面倒なだけだろう。
その点、アカネは潜入に適してるし、なんと言っても肉付けしてないから戦闘に参加させられないんだよね。いや、参加させてもいいけどコーティングしてないとフレーム曲がっちゃった時に不便だしね。
帝都郊外、廃村に見せかけた場所の枯れ井戸。そこが入り口らしい。井戸に入り込んで下まで降りても水は無い。そして立って歩ける位の横穴が続いている。
先頭にアカネ。次にアリス、アスカの順番だ。恐らく罠とかはないと思うけど、念の為に罠発見、解除の得意なアカネを先頭にした。
しばらくはなだらかに下っていく道だ。突き当たりにドアが見える。ドアの前には一人の男が居るようだ。うん、なんというかアカネの目は暗闇でも良く見える。
「私の出番かな」
「アリス姉様、お待ちください。〈眠りの雲〉」
アスカが魔法を唱えた。普通はこんな狭い場所でこんな広範囲に影響を及ぼす魔法は使わないんだけど、この場にはパペットしかいないから眠りの魔法なんて効きゃあしない。
しかし、ドアの前の男には効果は抜群だったらしく、直ぐに寝息を立て始めた。
「さあ、今のうちに入りましょう、姉様」
「ううっ、私の出番……」
「この後、この後ありますから。とりあえず潜入がバレて逃げ出されないようにしませんと」
渋々といった感じでアリスも歩を進める。ドアに鍵は掛かってなくて、そのまま通路が続いていた。だが、空気が少し澱んでる様な感じがする。澱んだ空気の方へと行くと、そこは地下牢に続いていた。
地下牢の中には泣いてる子どもたちも居た。どうやら攫ってきた奴を閉じ込めておく場所らしい。なんという吐き気がする場所だろうか。と言っても今はこの子たちを助ける訳にはいかない。まずはバカどもをとっちめるのだ。




