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第百三十話:鳥小屋作りには金網が居るよね。電流は流れないけど。

有刺鉄線電流爆破とか聞くとワクワクします。

「お店で出しましょう! これは売れますよ! そして私も食べたいです!」


 個人的には甘味処にプリンというのはどうかと思うんだよね。百歩譲って抹茶プリン……あ、いやいや、そんなキーワード出したら食べたい作ってって言われそう。


「ええ、卵がちゃんと流通に乗ったら考えますよ」

「そんな! 」

「だから頑張って流通に乗せてください」

「卵が自分で確保出来るならプリンを売る必要はありません!」


 キッパリと言い放った。ラケシス様、プリンを独り占めしたいらしい。いや、本当は餡子菓子の数々もそうなのだろう。でも自分ではどうしようもないからこっちに言ってきてるのだ。


「あの、護さん、このプリンを帝国で売ったりなんかは」

「いや、だから甘味処の時も言ったけどもう店を持つ気は無いよ」

「ですから、カレー屋か唐揚げ屋で」

「それこそ却下」


 甘味処ならまだ百歩譲るくらいで許せるが、唐揚げ屋とかカレー屋はさすがに違う。もっと言えば客が増え過ぎて店が回らなくなる可能性が高い。


 トーマスに全てを任せて投げるとか? いや、やるなら孤児院だろ。その孤児院でもロックバードの飼育をやらせるか?


 孤児院でやらせるとなれば小屋を建てるところからやらなくちゃいけない。作るにはゴーレムかなあ。いや細かい命令は聞かないから大工さんに頑張ってもらった方が良いだろう。まずは打診かな。


 思い立ったが吉日。ラケシス様を置いて帝国へ。ラケシス様はプリンに後ろ髪引かれながらもおしるこを食べに行ったのだ。


 孤児院に行くと役人らしき男が来ていた。眼鏡をかけたインテリなおっさんだ。いや、おっさんなんて年齢ではないから失礼かもしれない。


「おや、どちら様ですか?」

「この孤児院の関係者だけどあなたは?」

「ああ、私は帝国社会福祉部のコラーボと言います」


 どうやらお役人さんらしい。もしかしたら皇帝陛下が派遣した人かな?


「そうですか。それでなんの御用でしょうか?」

「単なる関係者のあなたには関係ないでしょう」

「その、それなら私の用事を先にさせてもらっても?」

「何故そうなるのですか? 順番を守りなさい、順番を!」


 なんか怒っちゃった。沸点低いなあ。でもレナさんは助けになりそうと思ったのかぼくに話し掛けてくる。


「あの、護様、どの様なご用件ですか?」

「ああ、この間の子どもたちの働き先なんですけど、孤児院で事業をやって貰えないかと」

「な、なんですって!?」


 その報せに驚いたのはレナさんじゃなくてコラーボの方だった。


「まあ! でも私たちに出来ることなんて」

「鳥小屋の掃除と卵の回収だけですよ。土地がいるので孤児院の庭で育てられればと思うんですけど」

「まあ、なんということでしょう!」


 レナさんの顔が綻んだ。おや、コラーボさんの顔が歪んできている。


「コラーボ様、お聞きになられましたか? お引取りをお願いします」

「くっ、後悔しますよ?」


 そのままコラーボは帰って行った。レナさんはありがとうございます、助かりましたとぼくにペコペコしてくる。


「あの男はなんですか?」

「実は……」


 社会福祉部にコラーボという男は実際に居る。つまりはなりすましでは無い。そしてその公式の使いが孤児院の子どもたちの「保護」を宣言したらしい。つまり、「仕事の斡旋」だ。


 当然ながらレナさんは拒否。しかし、コラーボは法律を盾に子どもたちを連れて行くと宣言。もう既に奉公先はある程度決まってるらしい。不思議だねえ。


 そこに現れたのがぼく。子どもたちの働き先、それも孤児院に居るまま、孤児院全体が仕事場、というのを聞いて大喜びしたそうな。なるほど、間一髪ってところか?


 うーん、という事はコラーボってやつがこのまま引き下がる訳もないだろうな。きっと先方から賄賂とか貰ってるのかもしれない。これは皇帝陛下にお出ましいただくか? いや、皇帝陛下は早く仕事を片付けてくれないとヒルダさんの胃が困る。


 ま、まあ、孤児院のみんなもやる気満々だからとりあえず小屋を作っちゃいましょう。大工の人に頑張ってもらわなきゃ。あ、早く作った方がいいから金を積んで特急仕事をやってもらおう。アカネに肉付けする為のお金だったけどこの際こっちが優先だ。


 大工に頼むと、孤児院の事はそれとなく気になっていたらしい。でも、大工のところで引き取るにしても歳が小さすぎてどうしようもないとの事。それでこの度のこの話が出たので特急料金無しで頑張ってくれるらしい。なるほど、江戸っ子かな?


 小屋はそこまで難しくない。それなりの広さの建物と鳥が逃げ出さないための幅と高さが二メートル、奥行が一・五メートルくらい。止まり木とエサ箱、水飲み場を作ってやって外から様子が見られる様に金網を設置する。


 ところが金網を作る時点で大工の人が飛びついた。あ、こういうのはなかったのね。というか針金自体がないらしい。ううーん、どうしようか? というかラケシス様はどうしてんだろ?

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