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第十三話:狼王の襲撃

あけましておめでとうございます!

 ヘルグリズリーの群れの先発隊がうちに迫ってきた。もう肉眼でも見えるくらいだ。まあぼくは部屋の中にいるのでモニターで見てるけど。


「GRRRRRRRRRRWOOOO!」


 一頭のクマが吠えるとそれに呼応する様に周りのクマも吠えた。しかしクマと犬が共闘するなんて時代も変わったもんだね。あれが本当の熊犬?


 周りのクマの咆哮が終わって一瞬静かになったと思ったら、犬の遠吠えが聞こえた。いや、犬にしてはちょっと野太いかな?


 その犬の遠吠えが終わったと思ったら一斉にクマが家に飛びかかってきた。普通の家ならそれでボロボロだろうけど、ぼくの家はそんなにやわじゃないんだよね。


「総員、戦闘態勢!」

「私も?」

「フォルテは役に立たなさそうだからのんびりしてて」


 ちょっと拗ねた感じで引っ込んだ。じゃああのクマの群れの中に放り込めば良かったのか?いや、これが最善だ。女の子慣れしてないぼくでも今の女性への対応は間違ってなかったと思う。


 しかし、うじゃうじゃ敵が居るからあれを掃討出来る武器が欲しいな。


「機関砲はいかがでしょうか?」


 機関砲ってあの飛行機とかについてるしょぼい威力の武器なんだっけ? え? 百聞は一見にしかず? んじゃあまあみてみよう。


 屋根に備え付けられた機関砲は部屋の中のモニターから発射できるんだが、これがすごい。軽く引き金を引くだけで弾がクマをなぎ倒していく。


 粗方のクマが血の海に沈んだところで黒い犬が姿を現した。そばには白い犬が寄り添っていた。


「人よ、貴様は何者だ?」


 頭の中に声が聞こえる? これは念話というものかな?


「その通りだ。あなたがここの責任者か?」

「そうだ。ぼくがこの家の持ち主だ」

「クマまでなら許してやる。退くがいい」


 いやいや、何言ってんの? 退くも何もここから動いてないってーの。退くのはそっちだよ。


「我が妻、ブランを傷付け、攫おうとした罪、貴様ら人間どもに贖ってもらうぞ!」


 ん? ブラン? そっちの白い犬のこと?


「犬では無い。我々は狼だ。我が名はロボー。この森の森守(もりもり)の一つだ」


 あわ、こりゃご丁寧にどうも。ぼくはこの森に引っ越してきた籠沢護と言います。


「引っ越してきた……どこからだ? 人間の住む場所なんぞここでなくともいくらでもあろうに」

「いやまあそこは企業秘密で」

「秘密も何も、我々ですらこの森に貴様のような存在が居るとは思わなかったぞ」


 まあある日突然家が現れたらそうなるよね。


「攻めるのは人里のつもりだったが、ここにも里があるのかと別働隊を差し向けるつもりだった。それが先遣隊すら全部滅ぼされたからな」


 それらはぼくらが美味しくいただきました。


「弱肉強食は世のならい。それを咎めるなどするものか。しかし、我が妻を狙ったことだけは許しがたく……」


 いや、ちょっと待って欲しい。その白い狼のブランさん?を人間が捕まえようとしたのかは分からないけど、ぼくらに敵対の意思はないよ。向かってくるなら相手になるけど?


「むむっ、さすがに絶望的な差で挑むのもどうかと思っていたところだ。ブランの事に関わり合いなく、敵対の意思も無いのならばこのまま退かせて貰いたい」


 喧嘩売っといてどうかと思うけど、まあクマはだいぶ倒せたし、資金難も解消されただろう。何せ一頭二百万だ。退きたければそれでいいけど、ブランさんの事は犯人を調べてみるから早まったことしないで待っててくれるかな?


「わかった。しばらくはこの家の周りに居ることにしよう。何か分かったら教えてくれ」


 そしてロボーとブランは姿を消した。後に残ったのはクマの肉塊。


「よし、じゃあストレージに収納して監禁監禁……もとい、換金っと十頭は居るからなあ。二千万くらいには……あるぇ?!」


 金額を見ると一千万もいってない。なんで、なんで!? もしかして在庫過多になっちまって値段が暴落したのか? 教えてえらい人!


「あー、これは状態が悪過ぎるんだね」

「知ってるのか、フォルテ!?」

「うむ。かつて師というか本体に聞いた事がある。獲物の損壊が激しかったら素材として使い物にならないから安くなると」


 損壊の激しさ……あっ、今回は機関砲で撃ちまくったから毛皮に穴が空いてるんだ……オマケに爪や内臓も破損してるものが多い。まともなのは肉くらい? そりゃあ値段も下がろうもん。


「だいたい機関砲の弾丸補充したら二百万も残らないね」

「十分の一以下か……」


 ぼくはがっくりと肩を落とした。しばらくはパペットの追加は出来なさそうだ。


 それからしばらくは畑をやったり、狩りをしたりと過ごしていて、森の中も平和なようだった。ロボーは時々姿を見せる。餌付けもしてる。念の為にと買っておいたビーフジャーキーがお好みの様だ。街から嵐の運び手(やつら)が来たのはそれから数日後の事だった。

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