第百二十九話:ソナタを知ってマロはクラクラ
満を持して登場しました(笑)
という訳で魔法による「品種改良」を行って二十羽程をオスメス取り交ぜて作成。いや、弱体化させてるから品種改悪かな? まあ人間にとって都合のいい様にするのが品種改良だからそれでいいか。なお、比率はオスが一でメスが九だ。有精卵はそこまで要らんのですよ。
あ、でもよく考えたら弱体化させてるだけだから卵から孵化したら普通に飛べるんじゃないかな? 遺伝子的には問題無さそうだし。
「大丈夫、その時は私が処理する」
アスカがドンと胸を叩く。おっぱい大きいから叩きにくいよね。しかし、アスカはやけに協力的だな。ヤケイだけに? いや、ヤケイじゃなくてロックバードだけど。
「私はマヨネーズ様の為なら頑張れる」
そういえばマヨネーズ教徒でしたね。
ラケシス様にロックバードの品種改良種、ロックバード改を連れて行く事を教える。鳥小屋は作り方教えたからきっと製作してくれてるだろう。
「ようこそいらっしゃいました!」
日を改めてアヤさんを帝国に引き渡して出直し。マヨネーズの到着を心待ちにしていたらしいラケシス様が朝から出迎えてくれた。今日はおしるこは食べに行かなくて良いんですか?
「護様がいらっしゃるなら何をおいても待っています。ですので用事が終わり次第食べに行きます!」
食べに行くのを止めたわけではないらしい。まあ早く終わると思うよ。鳥を渡すだけだし。
「ええ、こちらが卵を生む鳥ですね。ロックバードですが飛べなくしております」
「あの、ロックバードって秘境の鳥ですよね? 攻撃はしてこないのですか?」
ロックバードの攻撃方法は高く舞い上がって嘴で突進してくる、あと高速飛行での撹乱である。胸の筋肉を弱体化した今では嘴でつつく力も弱くなってる。いや、はっきり言えば無力だ。
「という事なので大丈夫だと思います」
「魔法が解けるという事は?」
「有り得ません。私が保証します」
アスカが自信満々に言う。うん、魔法の事はよく分からないけど、アスカが言うなら大丈夫だろう。
「でしたらこの子たちを鳥小屋へ。うふふ、楽しみです」
取らぬ狸の皮算用ならぬ、取らぬロックバードの卵算用である。
「そうですね。卵が取れたらタマゴサンドやマヨネーズだけでなくプリンなどもいけると思いますよ」
異世界転生の奥義の一つ、プリンである。もちろんぼくには作れない。ネットスーパーでプ〇チンプリンはしょっちゅう買うけれども。
「プリンとは? 何やら美味しそうな音の響きですけど」
「まあそうですね。好きな人は好きかと」
「ど、どんな食べ物ですか?」
「甘くて柔らかくてプルプルしてる?」
「なっ!?」
ぼくの表現にわなわなと手を震わせるラケシス様。あ、シ〇ブ中ですか? あまりおクスリの摂りすぎは良くないですよ? ……おしるこにそういう成分入れてないよね?
「おしること、おしること、どっちが、美味しい、ですか!?」
「ええと、個人的な好みの問題なのでどっちがとは。ぼくはプリンの方が好きですね」
本当に好みの問題だろう。女性に言わせれば「比べるのが間違い」とか「どっちも違ってどっちもいい」なんて言葉が帰ってくるだろう。ぼくとしてはおしるこよりもプリンの方が好きだってだけだ。
「そ、それを食べさせていただくわけには……」
「残念ですね、今ここには」
「ありますよ」
無いって答えようとしたらアインがあるって言っちゃった! いや、というかぼくはアインのプリンを食べた事ないんだけど?
「ご主人様はプ〇チンプリンの方がお好きな様でしたので」
あれ? 拗ねてる? あ、いや、アインの料理も美味しいんだけどあのプリンは食べ慣れた味というか実家にいる感っていうか。今はあの家が実家ですけど。
それでアインはぼくに食べさせるためにプリンの製作を頑張ったらしい。それで言い出せないでずっとストレージの肥やしになってるらしい。まあそのうち食べるよ。うん。
「ください!」
なんか餌をねだる犬みたいな感じがする。おあずけ!とかしたら怒るだろうか。怒るよね。
「どうぞ。感想をぜひ」
アインがスプーンと共にプリンを出す。ちゃんとカラメルソースもかかってる。うん、見た目だけでもプ〇チンプリンよりかは美味しそうだね。
「ではいただきます。カハッ!?」
一口食べるなりラケシス様は言葉を失った。いや確かに食べる時は喋らないのだけど。
「これが、プリン……」
全部食べて呆然と呟くラケシス様。その横でおかわりを所望するアヤさん。ってなんでまだいるんだ? 帝国に帰したでしょ?
「ほら、私、王国への外交官として派遣が決まりまして」
「私が運びました」
「や、さすがアスカちゃん! 頼りになるぅ」
いつの間にうちのパペットを手懐けたんですかね? 本当にやめて欲しい。




