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第十一話:初めての来訪者(緊急避難)

主人公以外の人間が出てくるのは初めて。

 せっかくなのでカレーを作ろうと思います。スパイス? いや、当然通販でカレールーを買うんですよ。本格的なカレーはアインが頑張って作れるようになるといいな。


 じゃがいも、人参、玉ねぎを適当に切って鍋に放り込む。適当に炒めたら水入れて煮込む。ルーを溶かして入れて更に煮込む。もうこれだけ。あ、ご飯炊かなきゃ……パックご飯でいいかな?


 出来上がったのでみんなでいただきます。うん、まあ美味しいよね。カレーは簡単で失敗は殆どしないからキャンプ料理とかでも重宝してるもんね。


 ぼくが二杯目を食べているとドアをドンドンと叩く音が聞こえた。なんだ?


 急いで部屋に戻って家の周りを見てみると傷ついてボロボロになった二、三人の男女が必死の形相でドアを叩いていた。


 なんでそんなに慌ててるんだろうと辺りを眺めてみると、ヘルグリズリーの姿が。ああ、こいつに襲われたのか。


 別に男女はほっといてもいいけど死体が散らばるのは嫌だし、人間の身体をストレージに収納するのは嫌だなあ。売れたらもっと嫌。


 仕方ない。まあヘルグリズリーなら前も倒したし。そろそろアリスもレベル上がるかもだもんな。よし、撃つか。


 ぼくは判断すると戦車砲を準備。一発百万するよなあと思ってたら五十万くらいのもあるんだって。百万のはAPFSDSとかいう日本語で言うと装弾筒付翼安定徹甲弾そうだんとうつきよくあんていてっこうだんてな名前らしい。要は装甲を貫くための加工がされてんだって。


 で、当然ながらクマとかイノシシ相手に徹甲弾ってのもどうかと思うんで通常弾頭にした。まあこれもテストを兼ねて……ダメだったら五十万丸損で徹甲弾買わなきゃなんだけど。効くことを祈ろう。


「よし、撃て(ファイエル)!」


 宇宙戦艦ではないけど気分だけ提督になった気分で。同盟か帝国かって言われたら私は帝国だなあ。


 おっと、そう、弾丸。発射された弾丸はヘルグリズリーの腹にめり込み、そのままヘルグリズリーは地響きを立てて倒れた。


「アリス、アイン、外の人に事情聞いて来て」

「ご主人様はどうするんですか?」

「ぼくが初対面の人とまともに話せるわけないだろ!」

「分かりました。アリスにお任せください」


 そういうとアリスはドアを開けに行った。ぼくは大人しく部屋に戻る。家の中もちゃんと全部屋覗けるので問題なし……いや、別に覗きが目的じゃないし、何より女の子居ないじゃん。


「あ、開いた!」

「あの、助けていただいてありがとうございま……」

「何の用ですか?」


 ドアを開けてアリスが顔を出した瞬間、男女は凍りついた。そりゃマッチョな大男がいきなり出てきたら気後れするよね。


「あ、あ、あ、あの! 助けていただいたので……」


 一人の女性が再起動した。美人系と言うよりもカワイイ系の顔でパーティのマスコットなのかもしれない。服装はシスター服……ヒーラーかな?


「そう、そうですよ。ありがとうございました!」

「ええ、本当に助かったわ」


 残りの二人もそれに遅れて礼を言う。男はがっしりした身体の戦士、もう一人の女はいかにもな帽子を被っていて杖を持っていた。こっちは魔法使い(マジックユーザー)だろう。


「怪我がないなら何よりだ。ではそうそうに立ち去ってくれるか?」

「あ、あの、厚かましいお願いかもしれませんが何か食べるものを分けていただけませんでしょうか? 先程からいい匂いがしてお腹が……」


 あー、カレーの匂いはある意味暴力だからなあ。アリスは困った様にぼくの方を見る。まあ家主はぼくだからなあ。二階に上がらないのを条件にするならカレーくらい食べさせてもいいよ? 次はアインに作ってもらわないとだし。あ、畑に植えるスパイス買っとこう。


「許可が出ました。入って構いません」


 いや、許可が出た、とか言っちゃダメだろ! まあアリスにホスト役は無理そうだな。よし、じゃあアイン、頼むよ。


「あの、ホスト役になるのは構いませんが、私、メイド服なんですけどー?」


 ……しまったぁ! どこの世界に主人がメイド服着とるんや……いや、沢山ありそうだけど一般的ではないな。何も話さなかったら主人が誰か居ると思われそうだ。それも立ち入り禁止にした二階に。まあ、わざわざ二階に上がろうとする敵対行為はしようとしないだろ。


 三人は夢中でカレーを食べた。いや、ルーで作ったとはいえ、作ったものを食べてもらえるのはなかなかいいものだ。まあ人前に出てお礼は言えないんだけど。


「ご馳走様でした。生き返りました。それにしてもこの森に家があるなんて」

「ええ、色々事情がありまして」

「その、何かお礼がしたいのですが今持ち合わせがなくて……一旦街に帰って出直して来ます」


 アインがこっちをチラッと見た。うん、アインなら分かってるはず。そんなの要らんから追い返してくれ。


「分かりました。ご主人様もそれでいいと仰ってます」


 バカー! 言ってない、言ってないからな!

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