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第百三話:ちょっと一休み。

偽名は大事。

 道中で当然あるぼくの家に立ち寄る。仕方ないから泊めてやるか。ぼくの本体が中に居るので鍵はかかってない。


 「どうぞ皆様お入りください」


 アインが家の中に通す。もちろんずっと電気とかはつきっぱなしだ。節約しても別に電気代関係ないからなあ。動力源は大気中の魔素とか何とか説明された気がする。まあともかくシ○マドライブみたいな未知のエネルギーって事で。


「では、今色々用意しますのでお茶でも飲みながらお待ちください」


 アインはそう言うと予め用意してあるお茶セットを取り出した。これは急な来客時にと用意しておいているものだそうだ。なお、ぼくに提供する時は新しく淹れるそうだ。いや、別にペットボトル飲料でいいのよ?


「いつ来てもここは凄まじく心地いいな」

「そうですね。調度品も高級ですし」

「お菓子もおいしいしね!」


 卓上に出されているドーナツをつまみながらアヤさんは言う。なお、このドーナツは台所から勝手にアヤさんが取ってきたやつだ。どうせ出そうと思っていたので何も言わなかったが。

 

「二階にはお上がりになりませんよう。一階の客間でお休み下さい」

「ふむ。もちろんだ。しかし我らは同じ部屋なのかな?」

「お望みとあらば皇帝陛下だけお外でお休みいただいてもかまいませんよ?」

「そうではない。男女を同じ部屋にするのはどうかと言うておるのだ」

「さあ、特に我々は感知しませんが? もっともあまりこの家でそのような行為をしないでいただけると掃除の手間が省けるのですが」

「わかった。もういい」


 いやまあ確かに男女一緒の部屋だとどうかとは思うけど、客間が一間しかないんだから仕方ないよね。それに日頃の皇帝陛下の言動とか聞いてみてもヒルダさんとアヤさんなら手を出すことはないだろう。


「さて、それでは王国に入る前におさらいを。まず、皇帝陛下、この家を出たら皇帝陛下とは呼びません。ライル、と呼びましょう」

「そうだな。偽名がいるな。ライルか。良かろう」

「身分は冒険者志望、ということにします。

 剣は使えますか?」

「バカにするな。こう見えて剣は得意だ」

「では都合がいいですね。ヒルダさん、アヤさんはどうされますか?」

「どうって?」

「あなたがたの格好は帝国貴族と帝国一般兵ですから」


 そう、アヤさんが軍服、ヒルダさんはスーツなのだ。どう見ても低国民である。


「アインえもーん、何かないの?」

「誰がタヌキ型ロボットですか。ですが、変装用の服はありますよ」


 ここでぼくのネットスーパーが役に立つんですね。そうだな、ヒルダさんはタイトスカート、アヤさんはワンピとか……あれ?


「これは王国の古着屋で潜入のために買っておいたものです。不必要になりましたのでお譲りします」


 あー、そうだよね。そうですよね。現代社会の服飾など披露したらあっという間に囲まれたりするよね。というか目を引くよね。さすがアイン、抜かりは無いぜ。


 二人が着替えて、皇帝陛下は持っていた装備を外して中古の鎧などを身に着ける。まあ駆け出しの剣士ならこんなものだろうというものが出来た。


「そしてライルさんとヒルダさん、アヤさんで別れます。女性二人も連れて冒険者志望だなんて変ですからね」

「致し方ないな」


 そんなのどこのハーレムだよ! そういやぼくは冒険者登録とかしてないよね? いやまあ冒険なんてする気もないし、なんなら関わりなんて依頼出すくらいなんだけど。


「それではその服を部屋に置いて入浴してきてください。その間にご飯の支度を致します」


 お風呂はアヤさんが来るようになってから男女別になる様に増築している。オプションで出来た。露天風呂でこそないけどゆっくり浸かることが出来る。これはぼくが入浴してる時にアヤさんが入ってこようとした事があってアリスが慌ててとめたのが原因だ。


 その間にアインはぼくのご飯を運んできてくれた。


「ありがとうアイン」

「ご主人様も下で一緒に食事なされては?」

「さすがに他の人と一緒に食事は無理かなあ」

「そうですか。分かりました」


 一礼して下がっていくアイン。今日はスパイシーなカレーだ。長旅で調子を崩していてもカレーなら食べられるだろうという気遣いかららしい。うむ、ちょっとピリッとするなあ。ラッシー飲もうラッシー。


 三人がお風呂から上がってビールとカレーを貪っていた。相変わらず皇帝陛下はビールがお好みで。なお、王国に入ったらビールはないですよって言ったらしょぼんとしながらも、飲み納めだ!とか言って大量に飲んでた。明日の朝ちゃんと起きてくれるといいけど。


 ほら言わんこっちゃない。頭がガンガンすると言うので出発日を延ばしたその分またビールが飲めると喜んでいたが、さすがにもう禁止にしとこう。こんなのが繰り返される気しかしない。

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