意外な再会
メグミとツムギとは無事合流。
偽物の俺が逃げるのを見送った後、昼食にした。
食事しながら、話をする。
「結局、この建物はなんだったんだ?」
「ダンジョンだよ。」
ツムギが答える。
「ダンジョンって、何?」
「……さあ?」
「メグミは、これまでにダンジョンに入ったことはあるのか?」
「ううん。無いよ。うーん……。私も、『ダンジョンって何?』って聞かれても分からないけど……。」
「誰が作ったのだろうか。建物なんだから、建てた人がいる訳だろ?」
「こんな森の中に、ポツンと一軒だけ建てるかな?」
と、ツムギ。
確かにその通りだ。
スラ子によると周りは森で、他には何もないらしい。
建物どころか道もない。その痕跡すら無いとのこと。
「ダンジョンの中には、モンスターが居たんだよな。さっきの小さなゴブリンみたいな奴。」
「うん。デーモンの絵を描いた板を運んでた。さっきのと同じ子かどうかはわかんないけど。」
「複数いたわけだ。あいつが建てた?……にしても、どこから、どうやってこれだけの建材を持ってきたのか。」
「魔法だよ。まほー。」
ツムギが言う。
「なんでも魔法のせいにするなぁ。」
その時後ろから……。
「魔法がどうかしたかね!」
振り返ると、そこに一人の男が居た。
ローブをまとい、大きな三角帽子をかぶって杖を持っている。見覚えのある男だ。
「すみません、マスター。ご報告が遅れました。一昨日出会った魔法使いが現れました。」
スラ子が申し訳なさそうに言う。
そう、つり橋を渡る前に出会った商隊にいた魔法使いだ。
「あ、このまえの……。こんにちは。」
メグミがあいさつをする。
ツムギの目は早くも、じっとりとしてきたな。
「奇遇だな。」
俺も声を掛けた。
「やあ、皆さんこんにちは。」
魔法使いが不敵な笑みを浮かべながら近づいてくる。
藪を抜けてきたのだろう。体のあちこちに小枝やら落ち葉がついていて、それを手で払っている。
「魔法使いさん、一人か?商隊はどうしたんだ?」
俺は聞いた。
「ふんっ。あいつらは置いてきた。俺が、『怪しい気配がするから、行ってみよう』と言うのに、先を急ぐの一点張りだからなっ。」
事情は知らないけど、当然だろう。
急いでいるときに寄り道なんかするわけがない。
「で、あんたは一人でその『怪しい気配』を調べに来たのか?」
「まあな。……ふむ……。なにやら派手に壁が崩れているが、ここがマナ溜まりの中心らしいな……。」
「マナ溜まり?」
「知らずに来たのか?……まあいい、察するにお前たちはこのダンジョンが攻略できずに困っているのだろう。どうだ、俺が手を貸してやろう。」
「いや、別に困ってない。今ダンジョンから出てきた所だしな。俺たちはこれから出発するんだ。」
「む……。まさか、攻略に成功したのか?」
「うーん。攻略というのは分からないが……。まあ、壁をぶち抜いて出てきたんだよ。」
俺はスラ子が崩した壁を指さして言った。
魔法使いはその破壊力を想像し、少しひるんだように見える。
「なかなかやるようだな。まあ、お前たちがダンジョンに入らないというのなら、俺が見事攻略してやろう。」
魔法使いはそう言ってダンジョンの入り口に歩いて行った。
一人で行くというのは少し心配だが……メグミもツムギも無事だったんだし、そもそも魔法使いだ。俺の心配など無用だろう。




