スライムは迷彩をほどこす
※カヒト視点 少し時間を戻し、カヒトが二人と分断された時点
二人とは分断されたが、スラ子を通じて話はできる。
メグミたちはこのダンジョンを探索して俺との合流、あるいは脱出を目指すようだ。
「スラ子、俺たちも行こう。」
「お待ちください、マスター。このダンジョンは罠がたくさん仕掛けられているようです。下手に動くのは危険です。」
「それはそうだが……。」
「私が偵察に行ってまいります。ある程度の安全が確保できるまでは、この場に待機していただくようにお願いします。」
確かに、スラ子に任せたほうが俺が動き回って調べるよりはいいだろう。
俺はダンジョンにどんな仕掛けがあるのか、どこを調べればいいのかもわからない。
移動すれば、それだけモンスターとも遭遇する危険が大きくなる。
「うーん……。まあ、分かった。スラ子に任せるよ。」
「はい、少しだけお時間をいただきます。」
待機か、しかし退屈だな。
「スラ子、偵察にはどのくらいの割合が行ったんだ?」
「はい。現在、私の3割程度がマスターのおそばにいます。服になっている分などですね。メグミさんとツムギさんと一緒にいるのが3割。残りの4割で偵察に出ています。」
「……分断されたときに、壁のこちら側に7割も居たのか。」
「はい。マスターが最優先ですので。」
「偵察担当がメグミとツムギに合流したら、向こうも助けてやってくれ。」
「かしこまりました。」
俺は暇にあかせて、俺たちをこのダンジョンに誘導してきたあのコウイカの事をぼんやりと考えていた。
まんまと罠にかかってしまったのは悔しいが、あいつにそれだけの知性があるようには見えなかった。利用されていただけのような。
それはそれとして、コウイカの体の模様を変える特技は、スラ子に応用できるのではないだろうか。
「スラ子は、自分の色を自在に変えられるんだよな?」
「はい。今まで取り込んだ色の範囲で、できますね。」
「この壁に、今スラ子がつけられる色を付けてみてくれ。」
「はい、マスター。」
目の前の壁に水玉模様が浮かんできた。様々な色の丸が描かれている。
しかし、『カラフル』とは言い難い。全体的にくすんだ色ばかりだ。
「あまり鮮やかな色は無いんだな。」
「鮮やか……ですか?」
「例えば、血の赤色とか、強烈な色はないかな。」
「血の色ですと、こちらですね。」
スラ子はそう言って一つの丸を俺の目の前に移動させてくれた。
その丸は、赤いと言えば赤い。どちらかというと、赤黒い。
「クロレラの緑色は?」
「クロレラを持った分の分裂体は外におりますので……。」
「なるほど。」
クロレラは今もすくすくと成長……というか増殖をしているわけだ。
今スラ子が使える色は大体わかった。鮮やかな色はほとんどない。が、それは今後の課題にすればいいだろう。
今ある分だけでもできることはありそうだ。
「スラ子、俺たちを誘導してきた、あのコウイカ。最初は全然見えなかっただろう。」
「はい、マスター。」
「あれは、別に透明だったわけではなくて、体の色を変化させて周りの風景に溶け込んでいたんだ。」
「はい。」
「スラ子にも、同じことができると思う。」
「なるほど。おっしゃる通りです。」
「試しに、俺の服になってくれている部分を周りの色に合わせてみてくれ。」
「はい、マスター。やってみます。」
自分の腕や足を見ていると、その部分の色が変わっていった。
確かにダンジョンの壁の色合いに似てきている。壁にある妙な模様も再現してくれる。
「スラ子。目立たなくなったかな?」
「はい。顔などの、服がない部分にも色を付けてみてよろしいでしょうか。」
「ああ、頼む。」
色を付けるのはすぐに済んだようだ。
「ほとんど目立たなくなりました。」
自分では確認できないが、いい感じらしい。
「スラ子。このように目立たなくする事を『迷彩』と呼ぶんだ。覚えておいてくれ。」
「分かりました。敵に見つかりたくない場合に便利ですね。」
「迷彩」のスキルを獲得しました!
が、スキルツリーの更新は次回纏めてやります!




