メグミのダンジョン攻略 その2 挟撃!絶体絶命の罠!?
どうも。ダンジョン攻略中のメグミです。
一見何もないけど、いかにも怪しい長い通路に出てきました。
直線の長さは30メートルくらいかな。その中間あたりに右へ入る枝道があるみたい。
私たちは用心しながらそこまで進んだ。すると……。
「メグミさん、ツムギさん。ご想像の通りです。前後にモンスターが現れました。」
スラ子ちゃんの警告のすぐあと、確かに正面の曲がり角から大きなモンスターが現れた。
「後ろにも出てきたよ……。でも……。」
ツムギちゃんが後ろを向いて言う。「でも」ってなんだろ。
私の正面のモンスターはでっかい。通路の天井に頭がぶつかりそうだ。
横幅も、人が3人は並べる通路が狭く感じるような体。
ねじくれた角が3本、頭に生えている。横に大きく広がった口から突き出た牙も長く、鋭い。
毛だらけの太い腕とその先の鋭い爪。
人間と同じように2本足で立って、腕も2本だけど、とんでもないモンスターみたい。
私は初めて見る。なんていうモンスターだろう。『デーモン』とかかな?
「まずいね。ちょっと勝てそうにないよ。」
私はそうスラ子ちゃんとツムギちゃんに告げる。覚悟を決めてもらう時間くらいはあると思うけど。
ちょっとした不注意で、こんなピンチになるなんて……。
冒険者として生きてれば、最後はこんな感じだろうとは思ってた。
どうしようもなく強い相手に倒されて終わり……。
でも、スラ子ちゃん、ツムギちゃん、それにカヒト……。
素敵な仲間とパーティを組めて、これから楽しい冒険が始まるんだと思ってたのに。
せめてスラ子ちゃんとツムギちゃんだけでも助けてあげたいけど……。
何とかならないかな。戦っても勝てないなら逃げる……。あっ!
「スラ子ちゃん、ツムギちゃん!右の通路に逃げよう!」
私はそう言ってツムギちゃんの手を引いて右へ曲がろうとした。
でも無理だった。右へ曲がると、何か柔らかい帯のようなものが、私を押し返してきた。
柔らかい帯はスラ子ちゃんらしい。あとで教えてもらったんだけど。
「落ち着いてください、メグミさん。それが、敵の手です。」
と、スラ子ちゃん。
「そうだよ。いかにも強そうなモンスターで挟み撃ち。逃げようとしたその先にはトラップ。」
ツムギちゃんまで、そう言う。
「この先に、罠があるの?」
「はい。落とし穴ですね。代わり映えのないことで。」
スラ子ちゃんが言う。
「でも!あのモンスターには勝てないよ!」
「必要ないよ。勝つ必要も、戦う必要もない。」
と、ツムギちゃん。え?どういうこと?
「あの恐ろし気なモンスターは、ただの絵だよ。多分、板に絵を描いてあるんじゃないかな。」
ツムギちゃんが言う。
あれが、ただの絵?
私には本物にしか見えない。目のいいツムギちゃんが言うなら、そうなんだろうけど。
「板に絵が描いてあるとして、なんで動いてるんだろう。」
「板の後ろに小さな生き物がいますね。……ゴブリンでしょうか。よくわかりませんが、50センチくらいの生き物が、板を持って運んでいるようです。」
スラ子ちゃんが教えてくれる。
そういえば、よく見るとあのでっかいデーモンみたいなヤツは、ポーズが変わってない。
ゆっくりとこっちに向かってくるけど、足を動かさずに歩けるって事ないよね。
「つまり、挟み撃ちではあるけど、別に怖い相手じゃないの?」
スラ子ちゃんに聞いてみる。
「ええ。後ろのゴブリンは、多分ツムギさんでも勝てるでしょう。あの板を押してやればいいだけです。板の重みで潰れます。」
スラ子ちゃんの答え。……スラ子ちゃんって、時々ちょっと怖い。
「……どうしようか……。」
「気にせず進みましょう。おそらく正面のモンスターは下がるでしょう。この通路には、やはり他のトラップはありませんし。」
スラ子ちゃんがそう言うので、気にせず進んでみた。
板を動かしているゴブリンは私たちが近づいていくのが分かったんだろうね。なんだか慌てている。
デーモンの絵がガタガタと揺れて、そうかと思うとぴょんぴょんと跳ねている。もしかしたら、威嚇してるのかも。なんだかカワイイ。
それでも私たちが止まらないのがわかると、スラ子ちゃんの言う通り、デーモンの絵は下がっていった。
もう見た目を気にしていないのか、板を寝かせて頭の上に乗せて走ってる。
あーあ……。ゴブリンの足が見えちゃってるんだよなぁ……。
角でちょっと引っかかってるし。なんだかかわいそうになってきたよ。
「後ろも、どっか行っちゃったね。」
ツムギちゃんが言う。
「あー、よかった。2人が冷静で助かったよ。私、なんだか一人でオロオロしてたね。恥ずかしい……。」
「もっと落ち着かないとね。お姉ちゃん。」
ツムギちゃんがニンマリ笑い、私を見て言った。
「うー……。それ、いつもお姉ちゃんに言われてたよ。」
頼れるお姉ちゃんへの道は遠いなぁ……。




