メグミのダンジョン攻略 その1 開始!
私、メグミです。
空飛ぶコウイカを追って、たどり着いたのは森の中のヘンな建物。
ツムギちゃんが言うにはダンジョンじゃないかって。
私もダンジョンって初めてだからすっごい楽しみ!
なのにカヒトは罠くさいから入らないでおこうだって!
冒険者がダンジョンに入らないでどうするの!
どんなトラップがあったとしても、私が蹴散らしてあげる!
と、意気込んでみたものの……
入り口からちょっと進んだだけで、あっさりと罠にかかってしまいました……。トホホ……。
わたしとツムギちゃんはダンジョンに閉じ込められ、しかもカヒトとは離れ離れにされてしまったの。
ゴメン、カヒト。やっぱりトラップには勝てなかったよ。
「……メグミ……ツム……ギ……」
ああ、こうして目を閉じていると、カヒトの声が聞こえてくるような気がする。
「……オーイ……キコエ……」
いつまでも落ち込んでちゃダメ。私が、ツムギちゃんを守らないと!
今は無きカヒトの分まで!
「コラ、メグミ!勝手に殺すんじゃない!」
「わっ!え、え?……カヒト?ど、どこ?」
「カヒトさんはこの壁の向こうだよ。メグミお姉ちゃん。喋ってるのはスラ子さん。」
ツムギちゃんが言った。罠にかかっちゃったのに、割と落ち着いてるね。
「そういう事だ。壁は厚くて、叫んでも声は届かないけど、スラ子がいるから俺たちには関係ないな。」
カヒトの姿は見えないけど、その声はよく聞こえた。
わたしとツムギちゃんについてくれてるスラ子ちゃんがカヒトの声を届けてくれてるみたい。
そう言えば、カヒトは今もカヒトの世界の言葉で喋ってて、それをスラ子ちゃんが私たちにわかる言葉にして話してくれてるんだった。
間に壁があったくらいじゃ、問題にならないらしい。さすがスラ子ちゃん。
「ですが、マスターのいる場所と、メグミさんたちがいる場所の間には隙間がまったくありません。私はその間を行き来することはできず、こうして会話するのがせいぜいでしょう。」
「会話できるだけで大したものだ。とりあえず、メグミ。そっちはどうなってる?」
と、カヒト。
「こっちはね、通路が真っ直ぐ続いてるだけだよ。あ、でも突き当りで左右への分かれ道になってるみたい。」
「そうか。先へ進むしかなさそうだな。メグミ、とにかく罠に気を付けて進んでくれ。特に、ツムギともはぐれることが無いようにな。」
「分かった。カヒトの方は?」
「俺も閉じ込められた。けど、スラ子と協力して何とかしてみるよ。スラ子、メグミとツムギの事、頼む。」
「もちろんです。マスター。」
「メグミ、何かあったらスラ子を通じて連絡してくれ。」
「うん。カヒト、気を付けてね。」
そこで交信は一旦終わり。話しながらだと、注意力が散漫になっちゃうかもだからね。集中しないと。
「ツムギちゃん、ゴメンね。私のせいで。」
「ううん。私も、もっと気を付ければよかったです。」
「とにかく、はぐれないようにしようね。スラ子ちゃん。行く先の罠を確認してもらっていいかな?」
「はい。分断の罠は私が気付くべきでした。すみません。ですが、同様のものがあれば事前に分かります。」
スラ子ちゃんが言う。
「ありがとう、スラ子ちゃん。頑張ろうね!」
そうして私たちは進み始めた。通路は不思議とぼんやり明るい。窓も松明も無いのにね。スラ子ちゃんのスライム電球は必要なさそう。今の所。
床が平らで歩きやすいのは助かるね。
壁には意味ありげな模様が彫られている。外の壁とはまた違うみたいだけど。
私は右手に抜いた剣を持ち、左手はツムギちゃんとつないでいる。
ツムギちゃんは左手にこん棒を片手で持っている。力持ちだね。
考えられる罠は落とし穴、上から何かが落ちてくる、壁から槍や矢が突き出てくる。そんなところかな。
スラ子ちゃんは壁、床、天井におかしなところがあれば教えてくれるっていうから、そういう罠なら大丈夫。
突き当りまでは罠は無いらしいから、ゆっくり進む。確かに何もなかった。
さて、右か左かだけど……。
「左はすぐに行き止まりですね。しかも、落とし穴があります。」
スラ子ちゃんが言った。
「スラ子ちゃん、ありがとう。じゃあ、右だね。」
ここまで、角は直角。通路はきれいに真っすぐ。わかりやすい。
でも、それは親切からくる分かりやすさじゃない。その背後の意地悪さがどことなく透けて見える。
さて、角を右に曲がるとまた直線。モンスターの姿は無し。通路自体も今までと変わりない。
「この通路には床、壁、天井におかしなところはありませんね。」
「仕掛けがないのなら、モンスターが出てくるとか……かな?」
ツムギちゃんが言った。なるほど。そうかもしれない。
「挟み撃ちということもあり得ますね。背後にモンスターはいませんが、このダンジョンでは壁が動くようなので油断できません。」
と、スラ子ちゃん。
「進むしかないもんね。スラ子ちゃん、何か異変があったら教えてね。」
「はい。少なくとも、不意打ちは食らいません。」




