表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/320

女の子1視点 街での生活

 目が覚めると、私は大きく伸びをした。

「んんーーっ」

 ふう。柔らかいベッドのおかげでぐっすり眠れたわ。ホント、おぱあちゃんの所に下宿できて良かったなぁ。


 なんだか今日は目覚めがスッキリしてる。いつもなら寒くてベッドから出られないのに。

 今日は全然平気。なんだか首筋や肩の辺りが暖かい。そのせいかな?

 あっそうか。私の体にスライムがくっついてるんだった。


 昨日は左肩から腕にかけて私の肌を覆ってたスライムは、夜の間に肩と首の辺りに来ていた。そこだけとてもポカポカしてる。

「おはよっ。スライムさん」

 スライムがぷるっと震えた。

 ふふふ。なんだかホントにペットみたい。

 スライムはまだ私から離れる気はないみたい。まあ、愛着がわいちゃったし、離れないでも良いけどね。


 ……それよりも、もう日が昇って結構経ってない?

 窓から差す日差しが(まぶ)しい。

 うわー!完全に寝坊だよ!

 ドタバタと、急いで服を着替える。朝食を作らなきゃ。


 お店に行くとおばあちゃんはもう起きてる。

「お、おばあちゃん。……おはよー」

「……おそよう……じゃな……」

「ご、ごめんなさい。つい寝坊しちゃって……すぐにご飯作るね!」

「もう作ってしまったわい。」

「わっ。おばあちゃん。作ってくれたの?あっ、ありがとう……」

「ふんっ。さっさと食うがええ」

「うん!いただきまーす!」


 メニューは干し肉と玉ねぎのスープ。それと昨日の残りのパン。

 えっ?それだけかって?私の食事はいつもこれくらいだけど?

 豪華な食事とは言えないけど、ごく普通だと思う。


「そう言えばお主、昨日のスライムはどうしたかの?」

「うん。まだいるよ。私の背中にくっついてる。」

「……ふむ。妙なスライムじゃの。こんなにでかいのも珍しいが。」

「スライムって、普通、人にくっついたりしないものなの?」

「しないのぉ。スライムにしてみればなんの意味もない。食えもせん相手にくっついてもしょうがなかろう」

「うん。夜のうちに食べられちゃうかと思ったけど。あ、でも、スライムがくっついてる所が暖かいの。あと、何となくお肌がつるつるしてるみたい。」

「ほう。羨ましい。年を取ると冷えてのぉ。ほれ、スライムや。ワシのほうに鞍替(くらが)えせんか?」

「あー。おばあちゃんたら!私のスラちゃんを取らないでよね!」

「ヒヒヒ。スラちゃん、か。仲良くなったもんじゃの。」


「……ねえ、おばあちゃん。私、今日も森へ行くね。今度こそ依頼のキノコ、取ってくるから」

「いや、今日は他の事を頼みたい。雑貨屋でこのリストの品を買ってくるんじゃ。」

「えっ?……まあ、良いけど。」

「うむ。それとな、そのあとは店番を頼みたいのじゃ」

「おばあちゃん、出掛けるの?珍しいね。」

「……まあ、警備隊に呼ばれての……面倒じゃが、仕方ない。」

 警備隊に行くんだ……それなら、あの男の人の事は話さない方が良いよね。

「分かった。ご飯食べたら、雑貨屋さんにお使いに行くね。」

「ああ。頼むわい。それとな、そのスライムの事は言いふらしたりするでないぞ。」

「うん。街の人たちにはナイショね。」


 ご飯を手早く食べて、後片付けも済ませてからおばあちゃんのお店を出た。

 良い天気。空気は乾燥してる。

 もうみんな仕事を始めてる。道沿いのお店や仕事場の人たちがみんな挨拶(あいさつ)してくれる。

「やあ、おはよう。」「おはようございます。良い天気ですね。」

「よう。今日はずいぶんゆっくりだな。」「おはよう。えへへっ、寝坊しちゃって……」

「おっおはようございます///」「……?おはようございます。」

 時々、私より若い男の子は私を見て顔を赤くしてることがある。なんでだろう?


 雑貨屋さんももう開店してる。

「おはようございます。」

 雑貨屋さんは明るい笑顔のおかみさん。お腹に赤ちゃんがいるんだって。

「おはよっ。今日はどうしたんだい?」

「お使いです。このリストの品。いただけますか?」

「……ああ、いつものだね。持ってくるから、ちょっと待っててくれるかい。」

 私は雑貨屋さんにお使いは始めてだけど、雑貨屋さんはもう用意してくれていたみたい。

 おばあちゃんはここの常連さんなのね。


 待っている間。雑貨屋さんのお店を見回した。色んな物がある。

 雑然としてるのはおばあちゃんのお店も同じだけど、こっちはずっと明るい。売り物がみんなキラキラ(かがや)いてるみたい。


「おまたせ。これでいいかい?」

「あ、ありがとうございます。相変わらず素敵なお店ですね。」

「ありがと。狭い店だけどね。」

「いいえ。ステキです。おばあちゃんのお店も、こんな感じだと良いのに。」

「ハハハ!魔法薬の材料にはあんまり日に当てちゃいけないものが多いのさ。」

「へえー……でも、暗いとお客さんが入りにくいですよね。」

「この街の住人はもう慣れっこさ。ばあちゃんの魔法薬にはみんな世話になってるから。あたしも、父ちゃんをつかまえるとき、ちょっとね」

「?」

()れ薬さ。まっ、あたしの美貌(びぼう)があれば薬がなくてもいけたけどね!ハハハッ」

「ほ、惚れ薬……ですか……」

「まあ、あんたくらい可愛ければ要らないよね。むしろ、変な男に薬を盛られる用心をしなきゃ。」

「ええー?わ、私なんて、可愛くないですよ。そんな心配いらないと思うなぁ。」


 雑貨屋のおかみさんは突然真剣な顔になった。

「あんたね!自分の魅力をちゃんと知っておかないとダメだよ!あんたを見る男共はいっつも鼻の下を伸ばしてるんだから。男はみーんなケダモノだよ!うちの亭主は違うけど。」

「えへへっ。そ、そうかなぁ……。」


 品物を受け取ってお金を払い、雑貨屋さんを出た。

 ……おかみさんの言葉を考える。……男の人達がみんな私を見てるなんて事、無いよね。

 街の人はみんな私に声をかけてくれるいい人達ばかりだし。

 ……たまに、胸に視線を感じることもあるけど、自意識過剰だと思う。まあ、胸はちょっと大きい方かもしれない。あと、お尻も。

 でも、冒険者としては嬉しくないんだよね。重いし、走ったりすると揺れるし……。


 そうそう、食事の買い物もしておこう。お昼の分はまだあるから、今晩と明日の分ね。

「らっしゃい。今日は生の肉があるぜ。買ってくかい」

「えーホント?……あ、でも、干し肉にしておこうかな。」

 ……お肉屋のおじさん、私の胸を見てる?うーん、見てるかも。でも、私みたいな小娘、女として見ないよね。普通。やっぱり気のせい。


「はいよっ。生の肉、ちょっとおまけだ。」

「わっ、いつもありがとうございます!」

「なーに。いいってことよ。わっはっは。」

 わーい!やっぱりいい人だ。

 ルンルン気分でお肉屋さんを後にした。

 後ろからおばさんの怒鳴り声がかすかに聞こえるような。

「……あんた!また女の子にだけおまけして!!下心で商売するんじゃないよっ!」

「わ、悪かったっ……もうしねえから……。」

 お肉屋のおじさんの声も聞こえるような……空耳かな?


 さーて、おばあちゃんのお店の店番かぁ。そういえば初めてだ……うまくできるかなぁ。

 うん!がんばろう!


2021/12/22 改行と一部表現を修正

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

↓↓↓クリックしていただくと外部のランキングサイトにて投票されます↓↓↓
ただし、外部サイトへジャンプしてしまうのでご注意ください

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ