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つり橋を越えて

 俺たちは食前のあいさつをして朝食のスープを食べる。


「おいしー!これはいいね!」

「おいしいです。もぐもぐもぐ。」

「うん。うまいな。」

「スライム団子が入ってボリューム感があるね。体も温まるし!」

「こうなってくると、野菜も欲しいな。」

「そうですね。贅沢を言えば、きりが無いですけど。」

 ツムギが言う。

「もっとおいしくできる余地があるのなら、うれしい事です。」

 スラ子は向上心の塊だな。いい事だ。


「ごちそうさま。スラ子、うまかったよ。」

「ごちそうさま。」

「スラ子さん。ごちそうさまでした。」

「お粗末様でした。」


 食事が終わったら、出発だ。

「さて、ツムギ。つり橋を渡るが、大丈夫か?」

「はい……。大丈夫です。」

「スラ子ちゃん。ツムギちゃんの事、支えてあげてくれる?」

「もちろんです。」

「私も、渡る間ずっとツムギちゃんの手を握ってるからね。」

「メグミさん、スラ子さん。ありがとうございます。」

「もし、やっぱりムリだとしても、別のルートを考えればいい。気にせず言ってくれ。」

「ありがとうございます、カヒトさん。大丈夫です。渡ります。」

「そうか。じゃあ、行こう。」

「はい。」


 荷物を背負って、歩き出す。

 つり橋はすぐそこだ。

 ツムギはメグミと並んで歩いていたが、つり橋が近づくにつれ少し歩みが遅くなってきた。

「あ、あの……。カヒトさん。」

 ツムギがそう言って、俺に右手を差し出してきた。

 俺は黙ってその手を握る。

「じゃあ、私はこっち。」

 メグミがツムギの左手を取る。

 仲良し親子みたいになった。


 つり橋の前まで来た。

 ツムギは少しおびえているが、目をそらさずつり橋を見ている。

「スラ子。命綱を。」

「はい、マスター。」

 つり橋の上の太いロープから触手が降りてきて、俺たちに繋がる。

「これでもう、橋から落ちることはない。」

「はい……。行きましょう。」


 俺とメグミが手を引くと、ツムギはしっかりとついてくる。

 つり橋は幅が広い。馬車も通れるくらいだからな。

 とは言え、3人が並べるほどではないので、俺とメグミが一歩前を行く形だ。


「ツムギちゃん。ゆっくりでいいからね。」

「はい。大丈夫です。」


 橋の上から川を見ると、流れが速い。

 落ちたら助からないかも。普通なら水の冷たさで意識を失うな。

 俺たちはスラ子に守られているのである程度は大丈夫だろうけど、落ちればかなり下流まで流されるはずだ。


 足元を確かめながら、一歩一歩、踏板を渡る。

 まあ、たった10メートルだ。すぐに渡り終えた。


 岸から5メートルほど進んだ所で、ツムギがへたりとしゃがみ込んだ。

「ツムギ、よく頑張ったな。」

「ツムギちゃん。お疲れ様。頑張ったね!」

「あ、ありがとうございます。私……。すみません……。」


 メグミがウンウンと頷き、ツムギの頭をなでている。

「橋が見えない所まで行ったら、一度休憩にするか。」

「そうだね。そうしよう。」

「いえ。私なら大丈夫です。先ほど出発したばかりですから、このまま行きましょう。」

 ツムギが立ち上がり、言った。

「分かった。何かあったら、ちゃんと言うんだぞ。」

「はい、カヒトさん。」


 つり橋を渡った先は、やはり岩場だ。

 道は川から離れ、やや下り坂になっている。

 左側は間近まで低い岩山が迫っており、道はその山に沿うように左カーブしていた。


 1時間ほど歩き、道が岩山から離れ始めた所で、パッと視界が開けた。

 眼下に広がる草原。その所々に点在するこんもりとした森。

 草原の所々には、陽の光を受けてキラリと光る湖や小さな池がある。

 枯れた草の草原と、葉の落ちた森だがなかなかの光景だ。春か夏ならもっといい景色だろう。


「わー!すごーい!」

 メグミは子供みたいにはしゃいで小走りになった。

 ツムギは目を見開いてその場に立ち止まる。確かに圧倒される風景だ。


「奇麗だね。ツムギちゃん。」

「はい、ステキな景色です。」

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