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バクバクの街のスラ子の話 その4 スラ子3人旅姿

 鉄スラ子さんは小さな分裂体を作るのに専念してもらいます。まあ、そうでなくても私たちが運ぶことになるのですけど。


 よいしょ、よいしょ……。

「……やっぱり重いね。鉄スラ子さん。」

 まあ、完全に融合するまでの辛抱です。

「えっとさ、委員長スラ子さんが持ってる丸いのって、金貨でしょ?それより重いような気がするんだけど。」

 それが何かおかしいんですか?

「見た感じ金貨の量と鉄スラ子さんの量って同じくらいでしょ?まあ、ボクらもそれぞれ似たような大きさだけど。」

 私たち3人はマスターの握りこぶしくらいの大きさですね。それで?

「鉄ってね、金よりもだいぶ比重が小さいよ。つまり、同じ大きさなら金貨より鉄スラ子さんの方が軽いはずなの。」

 そんな事、よく知ってましたね。

「鉱山の街の本屋さんだからね。そういう本がいっぱいあったの。」

「この金貨はかなり混ぜ物がされておる。そのせいじゃろう。」

「それにしたっておかしいと思うけど……。」


「そんな事より。ホレ。そろそろ分裂体が出来そうじゃ。」

 なるほど、砂粒程度の分裂体が鉄スラ子さんから離れようとしていますね。

 あ、ぷつっと離れて……。いかがですか?


「……うーむ。こやつ、ワシ……と言うか、スラ子ではないな。」

 こやつって、分裂体の事ですね。……確かに、スラ子じゃないですね。

「死んじゃったのかな。」

 私たちは、今まで分裂しても意識は共有されていました。分裂したお互いをスラ子だと認識していて……。

 私と鉄スラ子さんと本屋のスラ子さん。この3人はお互いをスラ子だと認識できますが、今生み出された砂粒ほどの分裂体は、ただの鉄スライムです。

「うむ。鉱山にいた、普通の鉄スライムに戻ってしまったようじゃ。」

「鉄スラ子さんの体調はどうなの?何か変わった?」

「心の中に、しっかりマスターはおられる。それは心配ないわい。」

 良かったです。

「しかし何かさみしいような……。泣いていい?」

 止めてください。気持ち悪い。

「それは冗談として。何というかな、自分の体の一部が失われたかのような喪失感じゃ。」

「実際、体の一部を失ってるしね。」


 次は、その分裂体と融合できるか、試してみてください。

「そうじゃな。うむ……。」

 ピタッとくっついて……。私も押してあげます。

「むむ。融合できそうじゃ。やはりこやつ、ただの鉄スライムじゃな。」

「小さな分裂体を作る事はできる。ただしそれはスラ子じゃなくなるんだね。」

 そして、スラ子ではないスライムとは融合できる。

「こやつに関しては、分裂してすぐだったから、融合出来るのかもしれんがな。」


「ボクが、刀で切られたらどうなるのかな?」

「丁度半分になってしまった時は分からんが、小さく切り離された場合は同じじゃな。ただのスライムが分離される。」

 それって危険ですよね。離れたそれぞれが意識を共有して、すぐに融合しようと考えるから私たちは斬撃(ざんげき)無効なのに。

「切られてもダメージは無いが、分裂したままでは精神がかなりすり減るはずじゃ。砂粒程度が分離しただけで少しきつかったからのう。そのせいで死んでしまうかもしれん。」

「『さみ()い』ってやつ?……怖いね。」


「逆に考えるのじゃ。」

 逆って……「死んじゃってもいいさ」ですか?それはちょっと……。

「ボク、死んじゃうのはイヤだなー。」

「違うわい!実際に刀で切られる前に、気づけて良かったと考えるのじゃ。」

 確かに鉄スラ子さんのおっしゃる通りですね。今後は、私たちのこの特性を念頭に置いて、行動することにしましょう。


「しかし、なぜこんな事になったのかのう。マスターのおそばにおった時と、明らかに違う性質になっておる。」

「マスターから離れて時間が経っちゃったから、ボクらはそれぞれで固定化されちゃったのかもね。」

 私たちは3人ともスラ子なのに、それぞれ別人格のスラ子になり融合できないのはそういう事ですか。

「ボクの想像だけどね。」

「神のみぞ知る。じゃな。」

「そういう賢そうなセリフはボクが言うべきなのにー。」


 しばらく移動していると、本屋のスラ子さんが前方を指して言いました。

「あ、ねえねえ。あそこに普通のスライムがいるよ。」

 本当ですね。融合しておきましょうか。今のサイズでは心許(こころもと)ないので。

 そこのあなた、私と融合しましょう。

「何かエッチじゃのう。」

「やっぱり、エロスラ子……。」


 ……。

 気を取り直して、融合を……え?何で融合するのかって?私たちすべてのスライムはマスターにお仕えするべきです。私と融合すればマスターの為になります。

 ……。そのマスターはどこに居るのか、ですか?ま、まあ、近くには居ませんが……。

 え?いえ、決してサギとかではなくてですね……。あ、逃げられてしまいました。


「ボクも、他の普通のスライムに融合を持ち掛けたんだけど、『今、お腹すいてないからいい』だって。」

「前途多難じゃのう。」


 普通にご飯を食べて増えることはできると思いますけど。……鉄スラ子さん、この金貨。食べますか?

「いいのか?マスターの物を。」

 マスターと合流できる見込みはありません。

 私たちでは人間のお金は使えませんし、持っていても仕方ないですからね。

「では、ワシが食べよう。金スライムになれるかは、分からんがな。」

「委員長スラ子さん。ボクらも適当にご飯食べながら行こうか。」

 そうですね。

「先は長いからね。だいぶ。」

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