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今後の方針とお買い物

 今後の事を決めるため、俺たちはギルドの掲示板を見に行くことにした。

 クエストの情報ではなく、周辺の街について知るためだ。


 この街の周辺の情報がある。

 川沿いに1日歩くと森の街がある。これはメグミが滞在していた街、ワルドだ。

 元居た場所に戻るよりも新しい所へ行きたいと、メグミと話す。


 川を渡って南へ行くと穀倉地帯の街ブロートコーブがあるという。かなり距離が離れているが「隣街」という事になるらしい。


 メグミがここ、鉱山の街へ来ようとしたのは鉱石採掘のクエストがあるからだった。

 ブロートコーブのクエストの情報は特に見当たらないが、行ってみれば何かあるだろう。


「私はもうブロートコーブへ出発でいいと思うよ。」

「ああ、とりあえずこの街での鉱石採掘はもう出来そうにない。スラ子が活躍するには人気(ひとけ)があると都合が悪いからな。そして行先としては戻るか、進むか。進むならブロートコーブという事になるな。」

「あ、でも暖かくなるまで待った方がいいかな?」

「うーん。……大丈夫だろう。スラ子がいる限りキャンプは苦にならないし。むしろ春になってモンスターの活動が活発になってからのほうが危険じゃないかな。」

「そうだね。明日の朝出発、かな。」

「ああ。」


 そうと決まれば準備をしておこう。

 と言うのも、普通の冒険者は食料や水はもちろんのこと、治療薬(ちりょうやく)なども常備しているものだそうだ。


 メグミもダメージを回復する魔法薬をいくつか持っている。

 毒消しの薬なども必要らしいが、お金がかかるのであきらめたとの事。


 これまでケガらしいケガをしてこなかったのはただのラッキーだ。

 まさかの時に備え、治療薬はしっかりと用意するべきだろう。幸い、俺たちは十分な金があるからな。


 バクバクの街にも魔法薬の店がある。冒険者ギルドの近くだったので直ぐに向かった。


 魔法薬の店と言っても魔法使いがいるわけではなく、森の街ワルドから買ってきた薬が売られているようだ。つまり、メグミの下宿先だった店の魔女が作った薬だ。

 扱っているのはダメージ回復薬 1000ゴールド、疲労回復薬 1000ゴールド、毒消しの薬 3000ゴールド、マヒの回復剤 3000ゴールド、目薬 3000ゴールド、麻酔薬 3000ゴールド、万能薬 50000ゴールド。

 万能薬が高い。懐に余裕のある俺達でもおいそれとは買えない。


「思ったより高いんだな。」

「うん。おばあちゃんのお店より高いよ。」

「輸送費が上乗せされてるわけだ。」

「私が持ってる薬も、自分で買ったんじゃなくておばあちゃんに餞別(せんべつ)として貰った物なんだ。」

「とりあえず2,3個ずつ買うか。…万能薬以外。」

「じゃあ、お金は半分ずつ出そう。」

 ダメージ回復薬と疲労回復薬を3つずつ、4種類の状態異常回復薬を2つずつ買った。

「毎度あり、締めて3万ゴールドだ。」

 薬屋の店主は薬瓶(くすりびん)をそれぞれ木箱に収め、袋に入れて渡してくれた。

 かさばるが、持ち運ぶのに便利だ。むき出しの瓶を乱暴に扱えば割れてしまうだろうから。


 しかし、消耗品である薬にこんなに金がかかるんじゃ大変だ。

 俺にはスラ子がいるから必要ないが、普通であればさらに服や靴、マントなどの衣料品、食料、水が必要になる。

 冒険者はなかなかタフな仕事だ。


「毒消しなんかの状態異常回復系はわかるが、ダメージ回復薬はどんな場合に使うんだ?擦り傷とかでも使うんだろうか。」

「ダメージ回復薬はモンスターから攻撃を受けて、血が止まらない時に使うかな。押さえていれば止まるくらいなら使わないと思うよ。」

 血が止まらないレベルのケガは命に係わるダメージだ。それを回復できると思えば安いか。


「薬を使うまでもないケガの場合は包帯を巻いたりするのか?」

「ホータイ?」

「ええと……つまり、布を巻いたりとか。」

「うーん。普通の薬草を傷口に当てておくという事はあるね。布で押さえて。でも、薬草はあんまり効果ないって言われてるんだよね。」

「なるほど。疲労回復薬はどういう時に使うんだ?」

「……いつ使うんだろうね。モンスターとの戦闘が長引いた時とか、徹夜しないといけない時、かな?」

 大丈夫な薬なのか?疲労がポンッと取れるヤツじゃないといいが。

「あと、使わないでいると、腐ったりするのかな?」

「それは大丈夫。魔法の薬だからね。」


 薬はこれでいいだろう。

 食料はスラ子がスライム団子をいくらでも作ってくれるので必要ないが、塩と胡椒は買っておこう。

 他の調味料も欲しいと思ったが、よくわからないのでやめた。

 スラ子が翻訳できないこの世界の単語が出てくると俺にはお手上げだ。メグミも香辛料の事はあまり知らないらしい。


 これで出発の準備は終わってしまった。

 元々俺はナイフと火打石くらいしか持っていない。これはいつも身に着けている。

 買った物もスラ子でできたバックパックに入れるだけだ。

 整理整頓などしなくても、スラ子に「薬を出して」と言えば手渡してくれる。非常に便利だ。

 メグミはそれなりに荷物があるがバックパックに仕舞って宿に置いている。


「カヒト。私、少し剣の訓練をしておきたいの。最近やってなかったし。さっきのコウモリも攻撃を外しちゃって……腕が鈍ってるみたい。」

 確かに何度か空振りしていたが……。あれで鈍ってたのか。

「それなら広場のような場所があれば出来るか。」

「うん。あんまり人が多いと危ないから無理だけど……。」

「マスター、メグミさん。それなら宿の裏がいいかと思います。ご案内致します。」

「宿の裏?……まあ、スラ子に心当たりがあるなら、頼ってみるか。」

「スラ子ちゃん、お願いね。」


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