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スライムはお金を隠すのが得意

 採掘を終え、俺たちが外に出た時もまだ鉱山の入り口は賑わっていた。

 買取業者や採掘者たちが俺たちを期待に満ちた目で見つめてくる。どうも注目されるのは恥ずかしい。


 ドワーフ三人組の前に袋をおろすと歓声(かんせい)が上がった。いやいや、ただの石ころかもしれないだろう。

 どうやらドワーフ達は俺たちのことを絶好の看板だと思っているようだ。このチャンスに客寄せしようというのだろう。

 まあいいか、道具もタダで貸してもらっている。


 査定の結果は想像以上だった。一昨日の倍の金額だ。

 最も、それだけの金はここには無いとの事で、工房へ行く必要があるのは一昨日と同じだ。


 ただし、今回は掘り出した鉱石はドワーフ達のテントに置かれるようだ。

 看板だからな。


 無口な男と女ドワーフが残り、俺たちは赤ら顔と一緒に工房へ行くことになった。

 道中で赤ら顔がぶっちゃける。

「本当の査定額はこの間より少し高いくらいの金額だったんだがな。ドーンとでかいことを言ったほうが冒険者どもを引き付けられると思ってな。」

「何だそうか。まあいいさ。適正な金をもらえれば文句はないよ。」

「いや、さっき言ったとおりの金額で買い取らせてもらう。お前らに相談もせず客寄せに利用しちまったからな。迷惑(めいわく)料だ。」

 そこまで迷惑ではなかったが……くれると言うのなら頂こう。


 ドワーフの工房で約束の金を受け取り、食事をして宿に帰った。

 まだ日はあるが気にしない。冒険者ギルドの掲示板を見に行ってもいいが、毎日行く必要もないだろう。


 いつも通りにメグミとお金を分ける。

 俺はまだこの世界の貨幣(かへい)価値がわかっていないのでピンとこないが、結構な大金らしい。

「こんな大金を持ったのは初めてだよ。」とメグミが言っている。

 生活するだけなら、節約すれば半年くらいは持つとの事。ただ、冒険者というのは収入も多いが支出も多い職業、という話も聞いている。

 少しは余裕ができたという程度かもしれないが、当分は金の心配をする必要はなさそうだ。


 俺は今までに得た金はスラ子に隠してもらっている。というより、単に任せただけだが。

 どこにどうやって隠したのか、ちょっと気になったので聞いてみた。

「部屋の中にあるので探してみてください」と言われ探してみたが全く見つからない。

 それもそのはずで、天井や壁にコインをずらりと貼り付け、その上にスラ子がかぶさっているというのだ。当然色を付けている。


 壁は4面のうち2面を使っているらしく、よく見ると壁の色合いが微妙(びみょう)に違う。

 それも使っていない面もスラ子が覆ってしまえばわからなくなる。

 天井が3センチ低くなっていると言うが気が付く者がいるわけもない。完璧な隠し方ではないだろうか。

 メグミも手持ちのお金をスラ子に預けることにしたらしい。それが安心だろう。


 その夜は当然のことのようにメグミと一緒に寝た。

 今日は少し心に余裕がある。と思ったが、昨日よりも緊張するような気がする。

 なんせメグミは前の世界のグラビアアイドルよりかわいい。プロポーションも素晴らしく、俺にはもったいない美少女だからな。


 スラ子のおかげと言うか、スラ子のせいと言うか……とにかく今は俺の隣にいるんだから、この幸運(こううん)甘受(かんじゅ)することにしよう。


 ―9日目―


 次の日

 バクバクの街に来てもう何日目だったか。

 朝のルーチンはすっかり出来上がっていて、俺たちはてきぱきと片づける。


 最もやるべきことは朝食をとる事くらいだ。

 スラ子のおかげで歯磨きも洗顔も必要ない。俺に至っては着替えも要らない。


 俺の服は、スラ子が服の形と色になってくれているのだが、最初の不格好(ぶかっこう)な袋のようなものから比べるとずっと洗練されている。

 人の住む街に来た事で、スラ子が他の人の服を見て改善してくれている。今では誰が見ても自然なおしゃれなシャツとズボンだ。

 しかも服自身が意思をもっている上に伸び縮みするので、少し突っ張るなどという事もない。

 まるで何も着ていないかのような着心地だ。……もっとも、実際何も着ていないのだが。


 メグミはその話を聞いて(うらや)ましそうにはしているが、自分もスラ子製の服を着たいとは言わなかった。何かの拍子にスラ子が服をやめてしまったら、すぐに裸だからな。さすがにそれは勇気がいる。


 メグミの服はいたって普通だ。丈夫そうな厚手の布でできた飾り気のないジャケットとパンツ。

 せっかくかわいいのだからもっと着飾ればいいのに、などとチラッと思った。

 もちろんそんな事は出来ないだろう。

 俺とパーティーを組むまではメグミは一人で冒険者をしていたのだ。

 持ち物は全て自力で持ち歩かなくてはいけないのにオシャレに気を使ってはいられない。


 しかし、今は俺とスラ子がいる。特にスラ子が。

 俺は女性のファッションなんて全然わからないがスラ子なら何とかしてくるだろう。

 部屋の中でならスラ子製の服を着てくれるかもしれないので、頃合いを見計らって話してみよう。でも、今はまだ早すぎる。


挿絵(By みてみん)

「擬態」のスキルを取得しました!壁や天井に擬態できます!

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