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スライムは視覚を獲得した……が、モノクロだった

 スラ子に促され、俺は勇気を出してメグミにこう言った。

「……えーっと……もしよかったら、俺も付いていっていいかな……」

「……え?……」

「あー……メグミは俺にとって冒険者の先輩だからさ。その……まだ色々教えてもらいたいと思うんだが……。」

「う、うん!いいよ!一緒に行こう!……ていうか、教わるって、私でいいの?」

「もちろん。心強いよ、先輩。」

「えへへ……先輩、かぁ。」

「それで、どこに行くんだ?」

「鉱山の街だよ。バクバクっていうの。」

「バクバク。変な名前だな。」

「面白いでしょ。私も初めて行くんだけど。」

「ふーん。」

「すぐ近くの街はワルドって呼ばれてる。森の街ワルド。バクバクはワルドの向こうの川を、上流に一日歩けば着くの。」

「歩いていくのか。乗合馬車とかは……」

「あるけど、私にはちょっとお高いかな。」

「分かった。すぐ出発するのか?」

「うん。あ、でも、私一度おばあちゃんのところに戻るね。挨拶してこないと。」

「そうか。それなら、後で川岸で合流するか。」

「一緒におばあちゃんのところに行かないの?」

「メグミは一人で街から出てきたからな。俺が一緒に行ったら門番に不審がられる。そうだ。ついでに、この金でナイフと火打石があったら、買ってきてくれないか?」

 そう言って、今受け取ったばかりのヒールマッシュルームの代金をメグミに渡した。

「ナイフと、火打石?」

「ああ。足りるかな?」

「大丈夫だよ。ほかにいる物は無いの?」

「それだけでいい。」

「じゃあ、買ってくる。後でね。」


 メグミは街へ戻っていった。森の街ワルドか。

 別にメグミと一緒に行かなければいいだけなんだが、何となく苦手意識がある。

「さて。スラ子、行こうか。」

「はい、マスター。」

 焚火がまだ少しくすぶっていたのでスラ子に頼んで水を掛けてもらった。

 火が消えたのを確認して土をかぶせる。

 テントや寝袋がするすると地面に潜っていく。バックパックを背負ったら準備完了。

 本来なら寝袋を丸め、テントを畳んで仕舞う必要があるのに、スラ子のおかげで手間いらずだ。


 森の端まで来た。街とその向こうの大きな川が見渡せる。

「さてと、上流ってどっちかな?」

「右側です、マスター。」

 すかさずスラ子が答えた。

 とりあえず、森の縁に沿って右へ歩いた。草原を歩くのは少し目立ちそうだ。

 しかし、右側?

 スラ子はこれまで、方向を指し示すことはあっても右とか左とかの表現をしなかった。

「スラ子。もしかして物が見えるようになったのか?」

「はい、マスター。まだ少し不慣れですが。」

「おお!やったな!凄いぞ、さすがスラ子だ!」

「ありがとうございます。マスターのご指導のおかげです。」

「風景が見えるようになった感想は?」

「マスターのお姿を初めて認識できた時は感動で震えました。」

「ハハハ。大げさだな。」

「後は、マスターの仰っていた事がより理解できるようになったと思います。

 落ち葉や木の枝や、触って分かっていましたが。見えるようになってまた別の知見が得られました。」

「それは良かった。ところで、色はわかるのか?」

「いえ。今は、明暗で物の形や風景を認識しています。色については後でご相談させていただくつもりでした。」

「それなら今、解決してしまおう。歩いてるだけだしな。」

「ありがとうございます。マスター。」


「人間は赤、青、緑の三色の強弱を認識できる。この三色の割合で様々な色が見えているんだ。」

「例えば、今空は青い。スラ子の目の細胞の中で、空の明るさを強く感じるものはないかな?それは青を感じる細胞といえると思うんだが。」

「……難しいです。」

「そうだな、焦らなくていい。」

「マスター、青は空の色として、赤と緑は何でしょうか?」

「赤と緑か……赤は……焚火が赤く燃えていた。後は、夕方になると、夕焼けといって空が赤くなることがある。」

「空は青なのではないのですか?」

「時刻によって変わるんだ。それと緑だが……。」

 あたりを見回す。

 草原を横切り、川へ向かっているところだ。草原といっても草は枯れている。目につく所に緑色は無いようだった。

「緑色のものはないなあ。見つけたら教えるよ。」

「お願いします。では空を見て、青色を認識する訓練をしますね。」

「ああ。ただし、太陽は全ての色が含まれているから注意して。」

 しかし、冬は色覚を訓練するには向かない季節だ。鮮やかな色がほとんどない。

 春なら緑。秋なら赤色に不自由することはないだろうに。


 川岸についた。大きな石がゴロゴロしている河原だ。

 岸から30メートルほど離れて、川と平行に走る道がある。道は土がむき出しだ。

 川は道よりも5メートル程低くなっている。俺はその斜面を降りて川に向かった。

 川は広い。向こう岸ははるか遠くに見える。

 所々、中州になっているが深い場所は足が付かない位にはあるだろう。

 流れも緩やかとは言えず、歩いて渡るのは難しそうだ。

 といって、見える範囲に橋もない。向こう岸へ行く場合、どうするんだろうか。

 川にも赤や緑のものはなかった。水は冷たい。

 魚は居るかもしれないが、捕まえられそうにない。


スキル「モノクロの視覚」を獲得しました!……が、それだけなのでスキルツリーは省略します!

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