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スライムは電撃でモンスターを撃退する

 豆粒ほどの大きさになった電気担当が俺の太ももに接触する。

「……いきます……」

 バチンッ!!

 思わず息が止まる。たった一瞬だが凄い衝撃だ。

「ッッッ……プハッ!ハアッ!ハア!」

「マスター!!すみません!大丈夫ですか!!」

「ハァ……ハァ……だ、大丈夫だ。ち、ちょっとビックリしただけ……」

 せいぜい少しピリピリする程度だろうと髙を括っていたので、その衝撃に驚いた。

 しかし耐えられない程だったわけでもない。銭湯にたまに電気風呂というのがあるが、それくらいだ。

「ちなみに、今の強さの電気をどのくらいの時間流せる?」

「この程度であれば、ずっと流せると思います。」

 聞けば豆粒ほどの電気担当は相当手加減していたらしい。全力ならもっと強い電気を出せるが、その場合は数秒程度しか持続しないとのこと。


 なかなかの成果だ。モンスターの跋扈(ばっこ)する(らしい)この世界で、スラ子の電撃はかなり助けになるだろう。

 俺がそう言うと

「はい。マスターの敵は全て私が倒します!」

 と力強い言葉。俺も頑張らねば。


 一応、放電による点火も試してみる。

 電気担当は、元の5メートルほどの大きさになり、その先端から3ミリメートル位離して置いた落ち葉へ放電させる。うまくいけば落ち葉は燃えるはずだ。

 怖いので少しはなれた位置でやってもらった。放電の火花が出れば分かるはずだ。

「いきます!」

 ……………………………………………………………………………………

 ……何も起きない……どうかしたのか?と思ったら

「失敗です。電気は、電気担当の地面と接している所から逃げてしまいました。」

 とスラ子が言った。

 まあ、さっきもそう言っていたな。地面との接点は絶縁しないといけない。

 空でも飛べればいいが、そうもいかないだろう。

 どうすればいいのか分からないため、一旦保留にした。


 うん。電気を起こすことが出来た。応用はいくらでも利くだろう。

 スラ子の成長が今後とも楽しみだ。


 というわけで、寝ることにした。

 スライム団子も食べて、腹もいっぱいだ。

 団子は火で炙ってみると食感が変わり悪くない。香ばしく、もちもちしたスライム団子を味わった。

 寝袋に潜りスラ子に挨拶する。

「おやすみ、スラ子。焚き火は必要なくなったら消してくれ。」

「はい、分かりました。マスター。お休みなさい。」

 薪の燃えるぱちぱちという音が心地よく、俺はすぐに眠りに落ちた。


 …………………………………………………………

 ぐーぐー…………ぐーぐー

 …………………………………………………………

 ……突然……

「ギャーー!ギャギャ!ギャーーー!!!」

 けたたましい悲鳴が響きわたり、俺は飛び起きた。

「な、なんだっ!!」

「起こしてしまい申し訳ありません。マスター。モンスターの襲撃です。」

「なっ……ど、どこだ?!」

 枕元のヒノキの棒を手にテントから飛び出す。心臓がバクバクと跳ねている。

「もう撃退しました、マスター。電撃を食らわせてやるとすぐに逃げてしまいました。」

「……え?」

 確かに、もう何もいないようだ。それらしい音はしない。地面は落ち葉が厚く積もっており、獣は音を立てずに動くことは出来そうにない。


 危険は去った。しかし、俺の覚悟はどうしてくれるんだ。

 初戦闘と意気込み、ヒノキの棒を両手に握りしめて興奮が最高潮に達していたのに。

「……マスター?もう安全ですが……」

「……あ、ああ……」

 恥ずかしい。何もいない中空に向かって木の棒を振りかざす俺を、スラ子は冷静に眺めているのだろう。

 俺はゆっくりと手を下ろした。

「……えっと……スラ子、よくやってくれた……」

「はい、ありがとうございます。ですが、マスターの安眠を妨げてしまいました。次はもっと静かにやりましょう。」

 スラ子が何か恐ろしいことを言っている。静かに、何をヤる気なんだろうか。


 とにかく、寝よう。まだ辺りは真っ暗だ。焚き火はまだわずかにくすぶっている。

 俺は改めて寝袋に入った。

 興奮で眠れないかと思ったが、俺も大概神経が太いらしい。目を閉じ、眠ってしまった。


 ー4日目ー


 次の日。

 目を覚まし、スラ子と挨拶をしてから朝食をとった。

 スライム団子はもういい加減飽きたがしょうがない。

 昨日の晩と同じように焚き火で炙って食べる。茹でてもいいと思うが鍋がない。

 さて、今日はどうしようかと思っていると。


「マスター、メグミさんがこちらに来るようです。」

 と、スラ子が言った。

「メグミが?こんな朝早くに。」

「今、街の門の辺りですね。」

 なぜそんなに遠くの事が分かるのかと言えば、スラ子は自分の分裂体がどこにいるのかが分かる。

 メグミについている「スラちゃん」がそこにいるという事らしい。


 しばらくすると足音が聞こえてきた。俺は出迎える。

「やあ、おはよう。メグミ」

「わっ!びっくりした!……お、おはよう、カヒト、スラ子ちゃん。」

「おはようございます。メグミさん」

 スラ子が俺の右肩に丸い膨らみになり、そこでしゃべった。マスコットキャラだ。

「あれ?カヒト、今日はメガネがないね。大丈夫なの?」

「ああ、他の方法にしたんだ。ちゃんと見えてるよ。メグミはまたキノコか?熱心だな。」

「あはは。今日は違うの。とりあえず、これ。ヒールマッシュルームのお金。」

 メグミが袋を渡してくれた。

 開けてみると銅貨と銀貨らしいものが何枚か入っている。ひとつ取り出してみる。

 これがこの世界の通貨か。

 片面には誰かの肖像画のレリーフ。もう片面には何か文字らしきものが浮き彫りにされている。

 日本の100円玉とかに比べるとかなり作りが粗く、でかい。

「ありがとう。手数料を払った方がいいかな?」

「ううん。そんなの要らないよ。おばあちゃんも、助かったって言ってた。」

「それはよかった。スラ子のお陰だ。」

「……それでね。……私、他の街へ行こうと思うの。ここだと、ちょっと生活が厳しくて……」

「それで、挨拶に来てくれたのか。律儀だな。」

「う、うん……」


 沈黙……。

 別れを惜しんでくれるのか。それとも何か言いにくいことがあるのだろうか。

 俺から何かを言わないといけないが、何を言えばいいのか。

 そんな俺にスラ子がささやいた。

「メグミさんは、他の街へマスターと一緒に行きたいと思っているのです。」

 俺は思わず右肩のマスコットスラ子を見た。目の位置に黒い玉が浮いていて、その目が笑っている。

挿絵(By みてみん)

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