アーチ橋完成
焼いたクロレラスライム団子とスープを食べる。
苦みが抑えられているかというと……。微妙だ。でも、シチューよりは食べやすい気がする。
ツムギも文句を言わず食べている。おいしくはなさそうだが。
「メグミ、歯の具合はどうだ?」
「あっ、そっか。歯が痛かったんだっけ……。忘れてた。」
「じゃあ、すっかり良くなったのか。」
「うん。もちろん麻酔はもう切れてるけど、全然痛くないよ。スラ子ちゃんのおかげ。」
「お役に立ててうれしいです。」
「カヒトさん。石材を切り出したのは良いけど、どうやってあれをアーチ状にするの?」
ツムギが言った。
「それもまあ、スラ子頼みなんだけど。」
「石材が組み合わさってアーチが出来れば、頑丈になるのは分かるんだけど……。その組み合わせる時は石材を支えてあげないと駄目だよね。」
「そうだ。石材を置いておく台というか、支えが必要だな。」
「問題ありません。私が、その支えになりますから。」
スラ子が言う。
「まあ、そうですよね。……でも、すごい重さだよ。大丈夫かな。」
切り出した石材一つ一つは、俺でも台車に乗せて引きずるくらいはできる。が、それが何百とあるのだ。
「マスターが、私になら出来ると信頼してくださっているのです。私はそれに答えます。」
頼もしい。
スラ子の頼もしさへの安堵感からか、食事を終えてベッドに入ると、今日もすぐに眠ってしまった。
—18日目—
翌朝。
体中の痛みで目が覚める。
いてて……。酷い筋肉痛だ。
「カヒト、おはよう。大丈夫?」
ベッドから起き上がれない俺に、メグミが声をかける。
「メ、メグミ……。メグミは、筋肉痛大丈夫なのか?」
「うん。私も、『これは明日大変だな』って思ってたんだけど、割と平気だった。」
「やっぱり、クロレラのおかげなんですかね。」
と、ツムギ。ツムギも平気そうにしている。
「マスター。今日はお休みください。橋は、私たちで架けておきますので。」
スラ子が言う。
「す、すまん。頼むよ。手順は、昨日言った通りだから。」
「お任せください。」
痛みに耐え、ベッドに突っ伏している俺の耳に工事の音が聞こえてきた。
ドンドン石材を運び、渓谷にアーチを架けるよう積み上げているらしい。
スラ子が逐一状況を報告してくれる。順調に進んでいるようだ。
大して時間も経たずにアーチ部分が完成したらしい。スラ子がタブレットに様子を映し出してくれる。
うん。きれいにできている。
次にアーチの上に、人が通る通路部分を作る。
こっちは木材を使っても良いと思うが、ついでなので石材にした。その方が長持ちするだろう。
切り出した石が隙間なく並べられ道になっていく。
既にできているアーチの上に石を積み上げていくだけなので支えは必要ない。スラ子は石を運び設置するだけなので、凄い速さで作業が進んでいく。
手すりも造られ、お昼になる頃には橋が完成していた。
「みんな、お疲れ様。手伝えなくてゴメン。」
俺は、まだベッドに寝たまま言う。
「私もあんまり出来る事なかったよ。」
と、メグミが言う。
「大体スラ子さんがやってくれたね。」
と、ツムギ。
「お二人には周辺の警戒をしていただきました。そのおかげで、私は橋づくりに専念できました。」
「2人ともありがとう。それにスラ子も。大変だったろう。」
「マスターにそう言っていただけると、苦労が報われます。」
俺は何とか立ち上がり、新しく架かった橋へ向かう。
少し動く度に体中が悲鳴を上げるので、メグミとツムギに肩を貸してもらう。
「おお……。すごい!きれいな橋だ。」
「すごいねぇ。これ、ほとんど1日で出来ちゃったなんて、信じられないね。」
メグミが言う。
「『橋を架ける』って聞いた時は、何十日も掛かるって思ってたのにね。」
と、ツムギ。
「予定通り職人を呼んできて工事してたら、半年は掛かってもおかしくないな。」
スラ子が用意してくれた昼食を食べながら、俺は新たな心配事を話した。
「素晴らしい橋ができたんだが……町長にはどう説明したらいいんだろうか。」
「そうだね……。カヒトが魔法使いって事になってるとはいえ……。」
メグミが言う。
「説明のしようが無いかも。スラ子さんの事を内緒にするなら。」
と、ツムギ。
「このまま港町に行って、もう戻らない事にしようか。迷惑を掛けた訳じゃないし。」
めぐみがそんな提案をした。
「それもいいな。俺たちが戻らなくても、誰も気にしないかも。もう橋は有るんだし。」
「でも、報酬が……仕方ないか。」
ツムギのいう通り、報酬は惜しい。でも、仕方ない。




