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 (荷物。

忘れ物ないかな。

チェックリストにぺけをつけながら荷物の確認をする。

この間は機動空間パスを忘れて手動空間を通らなくてはいけなくてとても大変だった。

そもそも運転技術なさすぎ。

ま、これは私の問題なんだけど。

細かいものまでチェックを済ませ、機体チェックに移る。

本当はエンジニアの人にちゃんと見てもらわないと危ないけど、しがない流し売りにそんなお金はない。

いままで大丈夫だった訳だし、じいさまも全部私に知識を移行したといってたから多分へいき。)


 宇宙は広い。

彼女の名はセシ。

身長150センチと小柄ながら、なかなかの身体能力+特殊能力で荒くれものの多い流し売りをしている。

肌は小麦色で瞳はサファイヤを思わせるブルーだ。

髪は茶色で軽くウエーブのかかったロングヘアをいつもポニーティルにしている。

 流し売りとは商品を星から星に移動して売り歩く商売の事で、その商売内容は多岐に渡るのだが、どういうわけか彼女は物心ついたときからぶら下がり健康機を売っているのだ。

 両親のいないセシは赤ん坊の頃からじいさんという赤の他人の年寄りに育てられた。

じいさんは変わり者でセシが15になったとき脳の記憶領域をセシの脳に電子化して入れてしまった。

じいさんはこれによって記憶がなくなり、日常生活に支障が出たので施設に入って死を待つ身になった。

が、調子のいいときにはセシに色々な話をした。

 風変わりなじいさんがセシを育てるのには二つの理由があった。

一つは政府からの生活金目当て。

一つは自分が持っている記憶の譲渡者を探していた。

である。

つまりじいさんがセシを育てるのは自分の為だけなのだ。

だからといってセシが悲惨な生活を送っているかといえばそうではなかった。

いつもじいさんはセシをおぶって流し売りの仕事をしていた。

ミルクやり、オムツがえ、その他色々それは毎日こまめに行われた。

じいさんの仕事上、セシを一つの学校に通わせる事は難しかった。

が、取るのがとても困難という移動学校校区外許可書をどこからか取得し、移動先の学校に通わせてくれた。

じいさんいわく

「学校は友達と遊ぶ所だ。勉強など船ですればいい。」

という事で、セシは遊ぶ為に学校に通った。

じいさんは陸地で生活しない。

いつも船で生活した。

宇宙船だ。

一応陸地にも家はあるけれどここが彼の家であり、地上のものは仮住まいと一線引いているようだった。

 だがセシは違う。

船は船。

家は家。

船には生活の匂いを一切置かない。

こうしないと生活の延長線上に仕事があるようで、いまいち仕事に集中できないからだ。


 (「エンジン起動、パネル全て正常、今から離陸する。」

この台詞言うたびに違和感があるー。

だって今一人だし、誰も聞いてくれるわけでもないし。

でも、じいさまは一人でも必ず言うんだっていってたしなぁ・・・。)


 セシは自動操縦ボタンをぱちんと押した。

じいさんから譲り受けた船でセネシオグロリアスという星に行くことにしている。

 セネシオグロリアスはいくつかの小さな惑星が小さな花に見えることから雛菊ーセネシオーの名がつけられた。

 このセネシオグロリアスで一月ほど商売をするつもりなのだ。


(売れるといいけどな。

この間行っていた星、アースではそんなものとっくの昔に流行り廃れたといわれたなぁ。

セネシオは田舎だと聞くけど、アースは十分田舎なのにぶら下がり健康機があったらしいし、セネシオも・・・。

でも、じいさまの記憶にもセネシオはなかったし、いや、大体どのぐらいの人がぶら下がり健康機を売って歩いてるかわからないから、じいさまの記憶になくても他の誰かが売ってたかもしれないし・・・。

ああ、おなかすいた・・・ごはんたべよう。

配達リスト作っとかなくちゃ。

電連があるかもそれもチェックして・・・。

ってあれ?食べ物の箱積んだっけ。

っていうか用意してたっけ?)


 荷物格納庫には商品が100。

後は生活必要物資が積み込まれていた。

セシは箱の内容タグを一つずつ確認していった。


(きゃーっ忘れてるー。

っつうか運転前にチェックした時には全部あった筈・・・。

ってこのリスト自体間違ってンじゃん。

書いてない。

食べ物って。

しくしく。

・・・・・。

泣いててもしょうがないか・・・。

しょうがない途中違う星で補給しよう。)


 操縦席に戻ると航路パネルをタッチする。

人型タイプの食料補給地というと、音声認識システムを搭載しているこの船はすぐに目的地を航路パネルに映し出した。


(ああ、よかった・・・。

近い。

一日もあれば着くわ。

ほかに入るものがないかチェックしよ。

ああ、でもおなかすいた。

カバンになんかなかったかなぁ・・・。

冷蔵庫にはなかったかなぁ・・・。)


 セシのカバンは耐火耐水性のリュックで、じいさんがセシが10歳の誕生日に買ってやったものだ。

セシはこのカバンが大好きでいつも持ち歩いている。

カバンを全部ひっくり返すとクッキーが入っていた。


(ああ、これ・・・美味しいから紅茶とゆっくり食べようと思ってた奴だ・・・。

本当はいまそんな気分じゃないけど、ティータイムにしたらいい気晴らしになるかもしれないわ。) 

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