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狙われた令嬢  作者: わたあめ
7/7

入学

うっかり、別の小説にくっつけてしまいました。わぉ、頭やばい。

貴族の学校は、13歳から17歳まで、基本的に寄宿舎で暮らす。

もちろん、メイドは一人連れて行くことは出来る。

ただ、それだけだ。

あとは、自分のことは出来るだけ自分でやらなくてはいけない。貴族とはいえ、ね。


問題は、スカーレットより、僕が1歳年下なこと。

王子に一目惚れするスカーレットは、この貴族の通う学院で、恋に落ちるんだ。

しかも、入学早々。

落としたハンカチを拾ってもらって一目惚れして、強引に婚約者の地位をもぎとる。

あー、そんな強気なスカーレットが、ゾクゾクするくらい好きだ。


でも、今のスカーレットは、本当にそんなことをするんだろうか?


僕の努力の甲斐あって、あれから両親に愛情を注がれて幸せにすくすくと純粋に育った。

スカーレットの両親は今も仲睦まじく、弟のこともスカーレットはかわいがっている。

家族のことが、大好きなんだ、彼女は。


僕はこれまでも、スカーレットの悩み事をいろいろと解決してきたから、少なくとも頼りになる幼なじみにはなってるはず。


僕は、それ以上を望むけど。


「そろそろ入学かぁー、早いね」


スカーレット邸の見事な庭園のあずま屋で、ゆっくり紅茶を飲みながら話す。


「ええ、本当に。私…ミヤビがいないところで、一人でやっていけるかしら…」


ふ、とスカーレットが暗い表情をした。

え?俺のことで?俺がいないことが不安ってこと?やば、うれし。


「スカーレット…不安だよね。全然知らない人たちの中で暮らすなんて。しかも、何でも解決してきた君の幼馴染みである僕が側にいないんだもの。きっと、大変なことが起こる気がするな、僕は」


スカーレットは、僕の言葉に青褪める。

素直だよなー。純粋培養過ぎて、これはこれで心配だわ。悪い奴らの餌食になりそうで。


「大変なこと…ですって?そんな、一体、どのようなことが…」


必死に僕の服の裾を掴んで上目遣いで涙ぐんだ目で見詰めてくるスカーレット。

あーストライクど真ん中!


僕は、少し考える素振りをしてから答える。


「うーん、学院には同じ歳の王子様も通われるみたいだから、万一、王子様に粗相をしたりしたら、スカーレットのお家が無くなるんじゃないかな?」


だいーぶ、雑な脅し。

それでも、効果はてきめんだったようだ。


「そんな…!私、絶対に王子様には近付きませんわ!お父様、お母様、タケルが大切ですもの…それに」


チラッと僕を見遣る。


「ミヤビが…その…なんでも…なんでも、ありませんわ!」


顔を赤くしてプイッと向こうを向いてしまった。


「なーに?僕?気になるなー」


ほっぺをツンツンと軽くつつくと、恐る恐る真っ赤な顔でこちらを見てくる。


「手紙を…手紙を書いてもいいかしら?何か困ったことがあるかもしれないし…その、迷惑で無ければ」


やったーーー!手紙ゲット!!


「もちろんだよ、僕も毎日書くからね。何でも相談して?」


その時、庭園の見事なバラの木が折れた。

バキィっ!!!!と見事な音と共に。


そちらを見ると、僕に付いてきた、あのアホ毛メイドが盛大にやらかしていた。

僕のお嫁さんになる人の邸で、なにやらかしてくれてんだ!!このクソメイド!!!


「ちょっと失礼。うちの者が粗相したみたいだから見てくるね?」


内心、盛大なため息と舌打ちをしながら笑顔は貼り付けてスカーレットから離れる。

本当は離れたくないけど、リルをこの邸からつまみ出さなくてはいけない。


「あ!ミヤビ様!この薔薇が、私の手に棘を刺して来たので、ミヤビ様に害が及ばないよう、死闘の末、遂に私が」


そのまま後ろの襟首を掴んで引き摺って門まで行く。


「ぐえっ!く、苦しいです、ミヤビさまっ!!お助けぇっ!」


ポーイと門から放り投げた。

そこから、きれいな円を描いてクルッと回り、地面に足から着地した。

この辺りは、長年投げられた賜物というか、身体能力の高さというか、さすがに褒めたい。


「着地、満点!!」


両手をバンザイして、胸はって喜んでるアホ毛。


「スカーレットの邸にある物は草一本でも抜いたら、ご飯抜き、だったよね?どうする?」


にっこり笑ってそう言うと、リルの顔が青褪める。


「はあっ!そういえば、そんなことを言われたような、言われなかったような…しかし!あの薔薇を放置すれば、いずれはミヤビ様に害が!」


僕は、更ににっこりと笑う。

さすがのリルも、この7年で学んだらしい。


「も、申し訳、ありませんでした…あの、私は何をすれば…」


「特別なことは、何もないよ?ただ、しばらくある邸で働いてきて欲しいんだ。リルの隠れた才能を磨くチャンスだと思うから、全力で働いてきてよ?」


隠れた才能、というところで、目を輝かせたリル。褒めるのなんて、僕くらいだから、リルは本当に僕の言うことをなんでも聞く。


それを使わない手は無い。

から、今日ここへリルを連れて来て、盛大にやらかさせた。連れてくるだけで、間違いなくやらかすからね、リルは。


待ってろ、へぼ王子!

スカーレットを一目惚れなんて、させないからな!

リルを使ってやらかします。

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