お茶会
悲しいスカーレット
あれから、ミヤビは我が家に毎日来るようになって、わたくしは困ってるの。
「お父様?どうしてミヤビは毎日、来るの?」
お父様は困った顔をして
「我が家の庭に落とし物をしたらしくてね。使用人に探させても見つからないんだが。どうしても探したいと毎日来てるんだよ」
ため息まじりのお父様を、お母様は笑って見てるの。
「いいじゃありませんか、私はあの子、好きですわ」
お母様は、ミヤビが気に入ったみたい。こんなに笑うお母様は珍しいわ。いつも、哀しそうな顔ばかりだから。
「ふん、お前にはスカーレットへの愛情が無いのか。ほんとに冷たい女だな」
なぜなら、お父様は、いつもお母様にきつく当たるの。どうしてかしら。わたくしには優しいのに。
「愛情?それをあなたが言うのですか?私に愛情をひとかけらもかけて下さらないあなたが?」
「それはお前のほうだろう。お前が、他の、、、もういい」
お父様は食事の席を立ってしまったの。哀しそうなお母様。
「今日は別宅に泊まる」
「・・・スカーレットの前ですわよ。お止め下さい」
お父様もお母様も、怖い顔。わたくしが泣いていても、全然見てくれないの。
わたくしは、1人ぼっちなのですわ。
「スカーレット!ほら、この花を見て?スカーレットみたいにきれいだよ」
わたくしの庭で、勝手に花をつんでるミヤビ。
「探しものをしてるんでしょう?早く見つけて帰って」
わたくしが、ツンと向こうを見て言うと、ミヤビは地面に転がり始めた。公爵家の跡取りが、よ?
「どうしたの?!ミヤビ?!大丈夫?」
「・・・と」
「と?なんですの?」
顔を近づけると、首に手を回された。小さな手なのに、やたらに力が強い。
「とおとい〜っ!!!」
ぎゅうぎゅうに抱きつかれて、わたくしも地面に転がりました。
公爵令嬢のわたくしが、よ?
「きゃ」
わたくしの叫び声は、ミヤビの口で塞がれました。
お父様、お母様以外で、初めての口付けが、こんなおかしな子なんて!!お父様に言いつけてやるから!
でも、ミヤビは泣きじゃくるわたくしの頭を優しく撫でてくれるから、許しちゃった。
「おとう、さまはっ、、べったく?に行って、しまわれるのっ」
ついつい、思い出した悲しいことまで話しちゃう。
「ひっく、だから、、お、かあ、さまは、いつもっ、、かなしい顔でっ」
ハンカチをミヤビから借りて、ボロボロ泣きじゃくるわたくしの背中を小さな手が撫でてくれている。
「わたくしっ、、ひとりっぼっち、でぇっ、ふえっ」
しゃべっていると自分のことがかわいそうになって、また涙が出ちゃう。だって、1人ぼっちなんて、そんなの、そんなの
「僕がいるから」
そっと抱きしめてくれる小さな体。ふんわり香る甘い香り。
「スカーレットのそばには、いつも僕がいるから。1人ぼっちなんがじゃない」
耳の近くで話されると、くすぐったいけど、体の力が抜けて
わたくしは、いつの間にか眠ってしまっていたの。
「安心して、僕のスカーレット。君を辛い目になんて合わせないから」
モブ、がんばります。