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狙われた令嬢  作者: わたあめ
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やっと会えたね

はい、ありがち前世の記憶もちです。

僕は、会社員をしていた、冴えない35歳の男だった。

彼女いない歴=年齢。モテたことなんて一度も無いし、これからも絶対に無い。自分の顔は自分がよく知ってる。

とっくに魔法使いになれてるはずなのに、まだ僕のところには来ない。魔法使い渋滞?

そんなことを考えながら、ゲームの画面の中で動く僕の嫁にキスをする。


『あなたね?!庶民のくせに、生意気よっ!!』


僕の嫁はスカーレット。燃えるような紅い髪をなびかせてゲームの主人公をいじめる悪役令嬢。


『やめないか、スカーレット。俺たちは愛し合っているんだ』


はい、来ました王太子。婚約者の公爵令嬢スカーレットを放っておいて、庶民の女のコとくっついちゃった最低男。


『ーーーーっ!!!そんなこと、私、絶対認めませんわ!!この薄汚い泥棒猫!』


スカーレットよ、よく知ってるな、そんな言葉。

僕の嫁は本当にかわいい。この少し釣り上がった目も、きれいな唇も、くびれたウエストも、全てが僕のタイプドストライクど真ん中だ。

公式のグッズも買い揃えて、僕の部屋は今やスカーレットとの愛の巣。


『あの娘を拐いなさい』


スカーレットは、主人公を殺そうとする。寸でのところで、王太子率いる騎士団が主人公を助け出して、ハッピーエンド。

スカーレットの生家は取り潰され、スカーレットも身分を剥奪され投獄される。

それ以上詳しいスカーレットの様子はゲームでは描かれていない。


いやいや、どう考えてもスカーレットかわいそうだろ?!僕が王太子なら、絶対にスカーレットのことを大切にするのに!この泥棒猫!


そんなことを考えながらゲーム片手に深夜の道路をフンフンと歩いていた。最後に僕が覚えているのは、眩しい光と激しい衝撃。

それに暗闇に舞う僕のゲーム機と、スカーレットのスチル絵。


次に目を覚ましたら、赤ん坊になっていた。


「なんてかわいいんだ、ミヤビは我が家の宝物だな」


そう言って頬ずりしてくるのが、僕の父親で、オーガス公爵。

オーガス?んー、オーガス?どっかで聞いたような?

そんなことを考えながら、僕はすくすくと育った。ミヤビって、前世の僕の名前じゃん。この世界観と合わなくね?付けられたもんは仕方ないけど。

お父様はオーガス公爵、僕は公爵家の長男という、なかなか恵まれた地位に転生したらしい。これは、将来安泰か。

お母様は、もう、テラ美人。金髪碧眼のナイスバディ美女。

お父様も、かなりイケメンだから、眩しくて目が痛い夫婦。

そして、僕も、この人生は楽勝モードかもしれない。

そう思うくらいには、自分の見た目を理解していた。

鏡に写る天使を見て。


「こいつ、やっぱり?」


僕の独り言を聞いてるのか、聞いていないのか、お父様は僕の頭を撫でて溺愛丸出しだ。


「我が家の宝物は、もう読み書きも覚えて、天才だと家庭教師の先生が仰っていたよ。ミヤビはすごいなぁ」


「本当に、こんな素晴らしい息子がいて、私、鼻が高いわ。誰かに早く自慢したいわ」


いやいや、この世界の言葉、日本語だし?

本も全て日本語だったから、びっくりしたよ?

この世界が、ゲームの世界って気付くのに、4年もかかったけどね。


「お父様、お母様、僕、お願いがあるんだけど、、、」


俯き加減で、そうお父様の服の端を掴む。前世では、絶対に無理なこの仕草。かわいい人限定。


「なんだい?なんでも言ってごらん?」


デロデロの両親に、涙目の上目遣いで必殺おねだり。


「僕、お友達が欲しい」


ズキューーン!と射抜かれた両親を見て、ほくそ笑む。

そう、この世界には僕の嫁がいるはずなんだ。


乙女ゲーム『春風ノクターン』の世界に、僕は転生したのだから。



「はじめまして、スカーレットです」


5歳のスカーレット、もう涎しか出ない。やばい、アイドル超えのかわいさに、正気でいられない。


気が付いたら、僕はスカーレットの手にキス、というか軽く舐めてた。ドン引きするスカーレット、と青筋立てて怒るスカーレット父。

やっべ!やっちまった!

どうにかお父様に助けを求めると、怒りの矛先がお父様に向かってほっとする。

やたらに牽制してくるスカーレットの父親は、一人娘のスカーレットを溺愛して甘やかして育てたんだよな。

なんでも思い通りになったスカーレットは、父親のコネクションを最大限に使い、他の令嬢を汚い手を使って蹴落として、王太子との婚約までこぎつける。

ところが、貴族の通う学院に元庶民の男爵令嬢である主人公が入って来てから、全てが覆っていく。


ちなみに僕は、モブのスカーレットの幼なじみ。

うん、王太子が良かった。ゲームでは、序盤にほんの少ししか登場しない超モブキャラなんて、と涙で枕を濡らしたけれど。


「僕、スカーレットと結婚する」


帰りの馬車で、お父様に未来の花嫁宣言しておいた。

絶対にスカーレットを手に入れる。王太子なんかに振り回させない。

白目になったお父様はさておき、僕は作戦を練っていた。

名付けて『スカーレットをゲッチュ!大作戦』だ。

ミヤビって(笑)書きながらウケてます。

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