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狙われた令嬢  作者: わたあめ
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天使か悪魔

初めての悪役令嬢ものです。え、いまさら?

わたくし、スカーレット·オルクは、今、困ってるの。


なぜって?わたくしが聞きたいわ。


なんで、この子は初めて会うわたくしの手に口付けをして握りしめて頬ずりしてるんですの?


「愛しのスカーレット、会いたかった」


昨日、メイドが読み聞かせた絵本の天使みたいなかわいいこの子。

金色の髪がキラキラ光って、緑の目もお母様の宝石みたい。

あんまりきれいでぼんやり見ていたのに。


「ええと、オーガス公爵?これはどういったことですか?」


お父様が変な笑顔で、彼、ミヤビ·オーガスのお父様をにらんでます。お母様は、扇子の後ろで笑ってますわ。


「はっ!ミヤビ?!止めなさい!スカーレット嬢が困っているだろう」


口をぱっかり開けていたオーガス公爵は、ようやく止めてくれたわ。


「お父様は、いつも美しい女性には最善を尽くせと仰ってるではありませんか。僕はお父様の言いつけを守ったまでです」


この子、なんだかこわいわ。笑ってるのに、笑ってない?

わたくしは、ようやく離された手を急いで引っ込めてお父様の後ろに隠れました。


「はっはっはっ、このようにミヤビはよく頭の回る子供なんですよ。まあ、まだ4歳の子供のすることですから、あまりお気になさらずとも」


息子のことを自慢するようなオーガス公爵の言葉に、お父様の額がピクピクしてます。


「そうですな、まだスカーレットも5歳。妙な男に騙されないことを学ぶ機会も必要でしょう。それに、ただの友人作りも必要な年ですからな。まあ、今後とも必要最低限の付き合いで宜しくお願いしますよ」


お父様が、オーガス公爵の手をぎゅうぎゅう握ってるから、オーガス公爵の顔が青くなったり赤くなったりしてますわ。

もう、この人たちと会いたくないわ、なんだかお父様までこわいもの。

ようやく帰ったオーガス公爵親子を見送って、わたくは寝台に飛び込んだの。お父様は心配してくれたけど、お母様は笑うばかり。ひどいわ。わたくし、一人娘なのに。


寝台の中で、絶対に、もうあの人たちには会わないと心に誓ったの。


それなのに


「スカーレット!来ちゃった♪」


あの天使のようで悪魔みたいな子が、次の日にわたくしの家にいたのよ?考えられる?

書いてみたかったんです!

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