第三章~エピローグ
ここで終わりとなります。
第三章・蒸気機関車
第五場・持続的増益計画と立ちはだかる壁
司「どうぞ、かけてお待ちください」
遠弥「わかりました「」
恵「ありがとうございます」
玄貴「どうも」
司「お飲み物コーヒーか麦茶になってしまいますが」
遠弥「じゃあコーヒーをいただけますか」
恵「私は麦茶でお願いします」
玄貴「俺も麦茶で」
司「承りました。コーヒーはお砂糖やミルクなどいかがなさいますか」
遠弥「ブラックでお願いします」
司「承知しました」
恵「あぁ~」
玄貴「どうしたんだよ」
恵「だって社長だよ。玄貴は緊張しないの」
玄貴「緊張はするけどさ、ガチガチだとかえってむしろ失礼だろ」
恵「そんなこと言ったって。遠弥は大丈夫なの」
遠弥「なんか、たぶん大丈夫な気がする」
玄貴「やっぱすげぇな」
司「お待たせしました」
遠弥「ありがとうございます」
玄貴「あざっす」
恵「あ、ありがとうございます」
司「はは、そこまで緊張なさらなくて大丈夫ですよ」
恵「そう言われましても」
凛月「失礼しまーす」
恵「え?」
玄貴「は?」
遠弥「はー」
凛月「なに、その反応」
玄貴「いや、まさかここの社長って」
凛月「あー、うん。隠しててごめんね」
恵「そんなことないよ。むしろありがとう」
凛月「え」
玄貴「緊張でガチガチだったもんな」
凛月「なんかすぐ想像できちゃう」
恵「ちょっと、言わないでよ」
玄貴「いいだろ別に」
恵「私がよくないもん」
玄貴「俺はいいんだ」
恵「だから私がよくないんだって」
凛月「そう、さっきはありがとうね」
遠弥「お礼なら二人に言って。俺はただ呼んだだけだから」
玄貴「さっきも言ったろ、勉強になるから大丈夫だって」
恵「そうだよ。本当に気にしないで」
凛月「みんな。本当にありがとう」
玄貴「いいって。それより凛月さ」
凛月「ん」
玄貴「その手の何?」
凛月「あ、これ」
恵「何かの資料?」
遠弥「2023年度予算案?」
凛月「うん。これ見てもらえる」
玄貴「うっわ、真っ赤」
凛月「もしよければ、何か解決策ないかなって」
恵「解決策、か」
玄貴「無駄を省くとかは?」
凛月「一応してるつもりなんだけど、ほら」
玄貴「おぉ、結構省いてるな」
恵「集客はどんな感じなの?」
凛月「山奥で誰も来なくて」
恵「あー」
遠弥「なぁ、この廃線ってのは?」
凛月「それね。前は河至湖まで繋がってたんだ」
玄貴「あれ、至山五大湖の?」
凛月「うん」
恵「えぇ、なんでそれが廃線」
凛月「あそこ、坂が急すぎて電気がね」
玄貴「もったいねーな、あれ確かJIR繋がってるだろ」
凛月「ううん、あそこは3セク」
恵「3セク?」
凛月「企業が経営して、運営はJIRがしてるの」
恵「そんなのがあるんだ」
遠弥「それ、ここだとできないの」
凛月「うん」
玄貴「やったって変わんねぇだろ」
遠弥「いや。運転士の人件費くらいは減るだろ」
凛月「うん。でも信号とか、3セクの為の費用がね」
恵「信号って、変える必要あるの?」
凛月「うん。会社によって違うからJIRに合わせないと」
玄貴「マジか。めんどくせぇ」
遠弥「観光」
恵「え?」
遠弥「観光とか、そっち系どうよ」
玄貴「そういや経営しか見てなかったな」
凛月「でも、費用が」
遠弥「やりがいバイトがここにいるじゃん」
玄貴「やりがいって」
恵「お給料はそうだけどさ」
凛月「じゃあ、売りは」
遠弥「至山五湖が二つに、ダム湖百選が一つ」
玄貴「ダム湖百選?」
恵「唯在湖」
玄貴「あれそんな凄いんだ」
遠弥「どう、これじゃ不足?」
凛月「確かに、景観は売りになるかも。でも来るだけじゃ飽きるし」
玄貴「山北駅にさ、蒸気機関車なかったっけ」
恵「馬鹿、法に喧嘩売るつもり?」
凛月「でも着眼点はいいかも」
遠弥「それで行こう」
遠弥以外「はっ?」
遠弥「別に有害なの出さなきゃいいんでしょ」
凛月「いや、でも」
恵「えっと、環境保護法は」
玄貴「二酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物、揮発性有機化合物」
恵「よく覚えてるね」
玄貴「いや、昨日やったろ」
恵「あ」
玄貴「サボったのか」
恵「あはは」
凛月「遠弥、蒸気機関車って揮発性有機化合物以外全部踏破しちゃうの知ってる?」
遠弥「もちろん」
凛月「だったら」
遠弥「でもなんとなくの案はあるから、今晩まとめて来る」
玄貴「マジか。さっすが遠弥」
遠弥「おぅよ、任せとけ」
凛月「ありがとう」
遠弥「気にしないで」
恵「じゃあ、また明日ここに来ればいいの?」
凛月「そうなるね。また明日」
玄貴「了解」
恵「じゃあね」
遠弥「あぁ」
第六場・生きる意味、そして記憶復活
遠弥「おはよう」
凛月「あ、おはよ!」
遠弥「座っていい?」
凛月「もちろん。座らずして何のための椅子よ」
遠弥「はは、確かに」
凛月「昨日、ありがとうね」
遠弥「だから気にしないでって。僕から言い出したことだし」
凛月「そうはいっても」
遠弥「大じょう……」
凛月「遠弥?」
遠弥「ごめん、寝不足で」
凛月「全く。無理するからよ」
遠弥「返す言葉もない」
凛月「ねぇ」
遠弥「ん」
凛月「ありがとうね」
遠弥「気にしないでって、何度も言ってるじゃん」
凛月「ふふ。遠弥は優しいのね」
遠弥「偽善、だよね」
凛月「え」
遠弥「ごめん、凛月」
凛月「ちょっと、何で謝るの」
遠弥「迷惑じゃなかった?」
凛月「迷惑って、何が」
遠弥「僕、凛月のこと何も考えてなくて」
凛月「どこがよ。こんなに私の為に」
遠弥「凛月の為って、勝手に考えて悦に浸ってたんだ」
凛月「まさか、偽善ってそういう」
遠弥「偽善じゃなきゃなんて言うんだよ」
凛月「はぁ。ばっかじゃないの」
遠弥「え」
凛月「確かに、遠弥のやってることは偽善かもしれない。でも、私はその偽善に助けられたの」
遠弥「本当に」
凛月「こんなことで嘘ついてどうすんのよ」
遠弥「それもそっか」
凛月「偽善、いいじゃない」
遠弥「いいって?」
凛月「文字通りよ。される側だって、見て見ぬふりより偽善の方がいいに決まってるわ」
遠弥「そっか」
凛月「えぇ。遠弥は人の為って、嫌?」
遠弥「嫌だったら、こんなことで悩んでないよ」
凛月「そう」
遠弥「なんたって、人の為に生きるの楽しいから」
凛月「なら、ぜひとも続けなきゃね」
遠弥「うん」
凛月「どうしたの」
遠弥「いや、なんでも、な」
凛月「遠弥? 遠弥!」
遠弥「ここは」
凛月「事務室よ」
遠弥「そっか、俺」
凛月「ん」
遠弥「いや、うん。何でもないよ」
凛月「まだ座ってなさい。倒れたばっかりなんだから」
遠弥「はは、迷惑かけるね」
凛月「無茶される方が迷惑よ」
遠弥「ごめん」
凛月「まったく」
遠弥「凛月」
凛月「なに」
遠弥「唯在鉄道、案思いついたよ」
凛月「もう纏まってたんじゃなかったの」
遠弥「あれよりずっといいやつ」
凛月「どんなの」
遠弥「電気じゃなくてさ、蒸気で走らせようよ」
凛月「蒸気って、あのね」
遠弥「分かってる。環境保護法でしょ」
凛月「分かってるならそんな案出ないでしょ」
遠弥「残念、出てきちゃった」
凛月「出てきちゃったて」
遠弥「要は有害物質出さなきゃいいんだし」
凛月「それはそうだけど」
遠弥「蒸気機関車、作り変えてみない?」
凛月「は?」
遠弥「モーターつけるんじゃなくて、エンジン付けようよ」
凛月「窒素酸化物は」
遠弥「エンジンごとヒートシンクを水に沈めりゃいいんだ」
凛月「そんなことしたらエンジンが」
遠弥「水素エンジンは元から水排出するから大丈夫」
凛月「じゃあ水の冷却は」
遠弥「気化熱を使えばいける。蒸気は排出できるし」
凛月「確かに」
遠弥「タービンも付けられるかな。思ったより高性能かも」
凛月「凄い」
遠弥「思い立ったが吉日。さ、図面起こそうかな」
凛月「うん。……遠弥」
遠弥「ん」
凛月「本当にありがとう」
遠弥「急にどうしたの」
凛月「だって、お店のお手伝いだけじゃなく鉄道まで助けてもらって。それも修理に経営。もうどう恩返しすればいいか。私」
遠弥「なに、そんなことか」
凛月「そんなことって」
遠弥「俺さ、思い出したんだ」
凛月「どういう事」
遠弥「そうだな。俺、いくつに見える?」
凛月「いくつって、同い年じゃないの」
遠弥「783」
凛月「え」
遠弥「今年で783歳」
凛月「嘘」
遠弥「最初はさ、どこにでもいる小さな男の子だった。けど、友達がどんどん先立つのを見ていつか気づいたんだ。あぁ、俺は死ねないんだって。そこからかな、生きる意味を見失い始めたのは」
凛月「生きる意味」
遠弥「でもさ、凛月のおかげで気づけた」
凛月「私?」
遠弥「そう。人の為に何かをするのって、すっごいやりがいがあるんだ」
凛月「凄いな。私は頼ってばかりなのに」
遠弥「そんなことないじゃん」
凛月「だって」
遠弥「こうして鉄道を経営してるのがちゃんとした証拠」
凛月「それは親が押し付けてきたから仕方なく」
遠弥「仕方なく、か」
凛月「そうよ。仕方なく」
遠弥「ねぇ、宗英教って知ってる?」
凛月「何よ突然」
遠弥「いいから。知ってる?」
凛月「えぇ、もちろん。「こまったなら、たちどまりなさい。答はあなたのすぐそばに」でしょ」
遠弥「完璧。じゃ、それ漢字でなんて書く?」
凛月「漢字なら、宗教の宗に英語の英でしょ」
遠弥「英でた人であることを宗とする宗教、ね。残念、間違いです」
凛月「え? だって学校でもそう」
遠弥「俺の苗字、覚えてる?」
凛月「苗字? 宗永でしょ」
遠弥「そう、宗永。別の読み方をすると?」
凛月「別? 宗はそうとかしゅうで、永は。まさか、そうえい?」
遠弥「ほら、繋がった。宗英教は本来、宗教の宗に永遠の永って書くの」
凛月「じゃあまさか創始者って」
遠弥「そこまで失われてるんだ。俺だよ」
凛月「嘘」
遠弥「ほんと。で、何の話してたんだっけ」
凛月「私の鉄道経営じゃないの」
遠弥「そうそう。宗永教はさ、色んな人が勝手に俺のところ集まってくるからそれっぽいこと言って納得させたのが始まりなんだよ」
凛月「そんな適当な」
遠弥「事実なんだからしょうがない。さすがに俺も反省してる」
凛月「でも、その時から遠弥は物知りだったのね」
遠弥「そりゃ、その時点で二人分の寿命は生きてたからね」
凛月「そっか」
遠弥「そう。だから、始めた理由なんてどうでもいいんだよ。問題は、今どうなってるか」
凛月「今、か。借りばっか作ってるからなー」
遠弥「それくらい気にしない。借りなんて作ってなんぼよ」
凛月「作ってなんぼって」
遠弥「作って、諦めずにやり遂げることが大切」
凛月「諦めずに」
遠弥「凛月、もうやめるの?」
凛月「いいえ。まだやる」
遠弥「ほら、立派な経営者じゃん」
凛月「なんだか、丸め込められた気がするわね」
遠弥「気にしない気にしない」
凛月「はぁ、全く」
遠弥「さ、体調も落ち着いたし図面おこそっか」
凛月「わかったわよ」
凛月「ねぇ」
遠弥「何」
凛月「ありがとう」
遠弥「どういたしまして」
凛月「あと、一つ聞いていい」
遠弥「なんでもどうぞ」
凛月「免許とか、そういうの持ってたりする?」
遠弥「免許か。車はとりあえず一種免許はフルコンプリートしてる」
凛月「フルコンプリート……」
遠弥「あと動力車操縦者運転免許はね、甲種は全部、乙種は蒸気機関車、それに磁気誘導電気車の一種持ってる」
凛月「鉄道会社からは引く手あまたでしょうね」
遠弥「「まぁ国鉄で取ったのがほとんどだし、唯在鉄道でやるなら研修し直しだけど」
凛月「研修施設ならあるわよ」
遠弥「マジか」
凛月「索河湖~河至湖間の本線が使えるからね」
遠弥「なるほどな。あ、忘れてたけど一級ボイラ技士と司書に簿記も持ってる」
凛月「ますます価値上がるわね」
遠弥「売り込みしないとね」
凛月「就職希望で?」
遠弥「よろしくお願いします」
凛月「こちらこそ」
第七場・預金激減の真犯人
玄貴「ちょいレジ行ってくる」
遠弥「あ、俺も行く」
玄貴「おっけ」
遠弥「さ、早く出せ」
玄貴「警察いる?」
遠弥「強盗じゃないから、ほら」
玄貴「はいはい。あ、俺小銭で」
遠弥「ちっくしょー」
玄貴「はい指サック」
遠弥「ありがと。数えんのめんど」
玄貴「ま、頑張れ」
遠弥「いいよなー。積むだけで数えられんの」
玄貴「だから頑張れって」
遠弥「はぁ」
玄貴「ほい、こっち1万飛んで157円」
遠弥「まって、5、6、7。こっちは2万と7千円」
玄貴「2万と7千ね。合わせて37157円、帳簿が37157円。おっけ」
遠弥「お、オールクリア?」
玄貴「だな、珍しい」
遠弥「これが普通だけど」
玄貴「悲しいなぁ」
遠弥「このタイミングってことは、中か」
玄貴「中、か。さて、ここでいったん情報を整理しよう。 事の始まりは一週間前、一週間の会計締めをしてた時のこと。つまようじに本来の二十倍、十万円をも支払っていたことが判明したのだ」
遠弥「急にどうした」
玄貴「少しお待ちを。つまようじは普段三万本発注しているが、この時も注文数にミスは無かった。さらに取引先の会社へは定価である五千円しか支払われていないにもかかわらず、口座からは十万円が消えていた。これまでもずっとこうした取引が行われていたわけだが、どういうわけか今週の取引は正常に戻っていたのである」
遠弥「そうだな」
玄貴「ここで、こちらの点を押さえておきたい。まず、凛月は鉄道会社「唯在鉄道」を経営しており、そこで磁気誘導式電気車の緊急修理が行われた。これには私も参加していたので証拠としては十分だろう。また、同社では新事業案があるという話も上がっている。続いて遠弥だが、長期にわたり記憶喪失を患っており、昨日その記憶を取り戻した。そしてその彼だが、大量の資格や免許を保有していることが発覚したのだ。一通り言っていただけるかな」
遠弥「えっと。自動車免許が大型に大型特殊とけん引、大型二輪。で、動力車操縦者運転免許が甲種蒸気電気内燃車フルコンプリートと、乙種の蒸気機関車。あと第一種磁気誘導式電気車運転免許。最後の以外は全部旧国鉄ね。あと資格が一級ボイラー技士と司書、それと簿記の一級を持ってる」
玄貴「動力車操縦者運転免許は珍しいですね。電車や機関車を運転できるのはすごい。しかし、この免許は取得におよそ七百万かかると聞きますが」
遠弥「国鉄が持ってくれてるから大丈夫」
玄貴「では、残りの磁気誘導式は?」
遠弥「俺のお金だよ」
玄貴「いくらほどで?」
遠弥「それは契約で言えない」
玄貴「それは残念。参考程度にと思いましたが」
遠弥「自分で調べてくれ」
玄貴「えぇ、総力を挙げて調べるとしましょう。さぁ、これで情報の整理ができました」
遠弥「待て待て待て、犯人は誰よ」
玄貴「え」
遠弥「えって、ここまで言っといて終わりかよ」
玄貴「いや、だって情報整理が目的だし」
遠弥「あそこまで整理出来たらもうゴール導電でしょ」
玄貴「冗談冗談。恵たちちょっと来れる?」
恵「なにー」
凛月「どうしたの」
玄貴「二人とも、仕入れで変なのがあったのは知ってるよね」
凛月「うん」
恵「知ってるよ」
凛月「誰かわかったの?」
玄貴「まぁね 」
**続き書かなきゃ**
第八場・増収計画の結果
遠弥「はい。出来上がりましたので、よろしければお越しください。いいえ、こちらこそありがとうございます。それでは」
凛月「お疲れ様ー。電話?」
遠弥「うん。平塚の市長さんとね」
凛月「あぁ、出来上がったもんね」
遠弥「そう。お披露目会に来てくれるって」
凛月「忙しいのにいい人ね」
遠弥「本当。蒸気機関車も譲ってもらって、頭上がんないよ」
凛月「蒸気機関車っていえばさ、山北にも一つあるよね」
遠弥「うん」
凛月「何であそこに交渉行かなかったの?」
遠弥「あれ、言ってなかったっけ」
凛月「なに」
遠弥「山北のってさ、同じ形式だと日本で唯一の動態保存車なんだよ」
凛月「動態保存?」
遠弥「つまり、現役で動くの。数メートルだけど」
凛月「動くの!?」
遠弥「動くよ。空気圧でしっかりね」
凛月「凄い」
遠弥「だからあそこは残したかったんだよね」
凛月「ちゃんと考えがあったのね」
遠弥「もちろん。考えついでに言っとくと、平塚のにしたのも理由あるからね」
凛月「どんな?」
遠弥「山北のとおんなじ形式で、更に言うと同僚」
凛月「凄い。繋がるね」
遠弥「でしょ」
凛月「あと、一つ聞いていい?」
遠弥「なに」
凛月「あれ、いろいろ改造してたじゃない」
遠弥「あぁ、火室無くしたしね」
凛月「あれって、免許はどうなるの」
遠弥「どうなると思う?」
凛月「思うって」
遠弥「ヒント。普通の蒸気機関車は大雑把に言うと、甲種蒸気機関車運転免許とボイラ技士の資格が必要」
凛月「路面じゃないから甲種になるのは分かるんだけど、ボイラ技士?」
遠弥「ほら、石炭燃やしてボイラ沸かすじゃん。あれ資格必要なの」
凛月「そうなんだ。あれは火室がなくなっただけでボイラは残ってるんでしょ」
遠弥「うん」
凛月「火室のかわりに水素エンジン入れてたから、甲種内燃車運転免許とボイラ技士!」
遠弥「残念。駆動は蒸気ピストン式で変わらないから甲種蒸気機関車運転免許とボイラ技士が必要です」
凛月「え、私持ってない」
遠弥「大丈夫。当分機関士は僕がやるから」
凛月「機関助手は大丈夫なの?」
遠弥「ボイラ技士一級持ってるから、誰か適当に乗せれば大丈夫」
凛月「はぁ、便利ね」
遠弥「でしょ」
凛月「まったく」
遠弥「さ、そろそろだよ」
凛月「ヤバい、緊張が」
遠弥「また急に」
凛月「遠弥は大丈夫なの」
遠弥「まぁ、慣れてるから」
凛月「この爺さんめ」
遠弥「まだ千の大台は踏んでない」
凛月「十分ジジイよ」
遠弥「うるさい」
凛月「ふふ」
二人「あはは」
凛月「あー、もうどうでもよくなってきた」
玄貴「二人とも、そろそろだよー」
遠弥「ナイスタイミング」
凛月「頑張るぞー」
エピローグ・宗永教
???「主は英を宗とされた。しかしみなは答しかもとめなかった。よって主は英をもとめ、このおことばをたまわられた」
遠弥「こまったなら、たちどまりなさい。答はあなたのすぐそばに。答のないものはない。まだみえていないだけである」
お読みいただきありがとうございました。
次は総集編となります。