表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
燃えろ!ツタンカーメン部  作者: 片桐青
ツタンカーメン部って何だ?!
5/25

05

チョークの粉だらけになって廊下をあるく島崎は、トイレに向かっていた。今日は教室の戸を開けた瞬間、黒板消しが上から落っこちて来た。粉だらけの黒板消しを投げつけられもした。そのおかげで、島崎は真っ白になった。とにかく粉をどうにかしなきゃ。それだけを考えながら歩いていると、誰かにぶつかった。


「あっ、ごめんなさい。」

「うわああああ!!!!!」


島崎が謝った瞬間、巨大な叫び声が上がり、こっちまで叫びそうになる。慌てて離れてみると、ぶつかった相手はツタンカーメンの中野だった。


「な、中野…くん?」

「お前あの時の…!っていうか、お前白くね?」


自分がチョークの粉まみれであることをすっかり忘れていた。島崎は咄嗟に言い訳を考えたが、思いつかない。


「ねぇ、中野くん。」

「ん?え、何?どうした?」

「僕は中野くんの秘密、知ってる。」


島崎の言葉に中野は顔を引きつらせた。昨日の放課後に、島崎には中野がツタンカーメンの呪いの犯人であることはバレてしまった。


「だから、僕の秘密も教えいいですか?」

「ん?んん?!」

「そしたら平等ですよ。中野くんだけなんて、不公平じゃないですか。」


そう言われれば確かにそうだ。中野は納得した。


「秘密って、何?」

「僕、イジメられてるんです。」

「…だからこんな真っ白なの?」


中野に聞かれると、島崎は何度も頷いた。


「靴にはいつも画鋲が入ってて。机にはいつも花が飾られててさ。」

「わかった、分かったよ。ありがとう、教えてくれて。」


中野はまだ名も知らない、学年も知らない島崎から衝撃的な事実を突きつけられ、焦った。


「名前なんて言うの?」

「島崎。島崎惣。」


島崎惣くんはイジメにあっている。この学校は表面上、イジメゼロの学校で通っている。正直イジメなんてどこにでもあるし、部活が命の学校でイジメが無いなんてそんな綺麗な話はあるはずが無い。


「なんかあったら、俺のとこ来いよ。話くらいは聞いてあげられると思うからさ。」

「…ありがとうございます。中野くん、優しいですね。」


島崎は小さく微笑んだ。中野は島崎が微笑んだところを初めて見た。まだ会って間も無いが。いつも表情が乏しい印象があった。中野が何か言葉を返そうとした時には、島崎はもう何処かへ行ってしまっていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ