04
佐藤が部室のドアを開けると、そこには何故か全員揃っていた。まだ昼休みのはずなのに。
「え、なんなの?なんで居るわけ?」
「僕は、祐樹くんに聞きたいことがあって。」
セルゲイの言葉に、ほーん。と気の抜けた返事を返しながら佐藤は部長席に座る。
「なに?」
「顔を金色に塗って寝袋に入って寝てたって本当?」
次の瞬間、缶コーヒーを飲んでいた藤木くんが盛大に吹き出した。
「セルゲイくん、それどこ情報?」
「クラスの、女の子が言ってました。」
佐藤はとても面倒くさそうな表情をしながら肯いた。
「本当だけど?」
「うわー…この子隠そうともしてない…」
相変わらずのふてぶてしい応対に、藤木くんは自分の額をぺちんと叩いた。
「でもそれ、あれやからね。セルゲイくん。ツタンカーメン部の活動内容の一つやねん。」
「あ、そうなんですか?」
「やってんのは部長だけだけど。」
ツタンカーメン部の部員のはずなのに、藤木くんと西田くんはやっていないらしい。
「なんでやらないんですか?」
「俺たちはツタンカーメンの呪いの真実を突き止めるのに精一杯だからねー。」
自分が吹き零したコーヒーを拭きながら藤木くんは答える。
「だから早く捕まえろし。じゃないと、いつまでも部活っぽくならないじゃん。」
佐藤の口ぶりは不機嫌だった。西田くんと藤木くんは、大人しく返事をする。
「ところで、他の二人はなんで居るわけ?なんかあった?」
「…あ。」
部長に言われて、藤木くんと西田くんは顔を見合わせた。
「部員募集のポスター、また破かれてまして…」
そう言いながら、恐る恐る西田くんは粉々になっているポスターだったものをテーブルの上に置いた。
「俺たちの周り、敵だらけだよ。部長。」
藤木くんが真剣な眼差しで忠告しているにも関わらず、佐藤はツタンカーメンの歴史を読んでいる。全く自由な部長だ。
「そんなことより、ツタンカーメンの呪い早くどうにかしろし。周りのことは今、どうでもいいし。ぶっちゃけ俺たちに関係なくね?」
まるで嘲笑うかのように言う部長。これに西田くんは我慢が出来なくなった。
「なんなん、人任せもええ加減にせえよ!俺はあんたのせいで嫌がらせ受けてるんやからな。もう知らん!」
「おい、西田くん!」
西田くんはテーブルを強く叩いてから、部室を出て行ってしまった。藤木くんはすぐにその後を追っていった。部室には、セルゲイと佐藤だけが残る。
「これ、どういうことなの?」
「…周りが敵だらけってことみたい。」
セルゲイの問いかけに、佐藤は小さく呟くように返した。