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室内にパチパチという音が静かに響いている。そんな中、新聞局が発行している学校新聞を読んでいた男子が奇声を上げた。
「御三家に…殴り込みやって?!」
「えっ。まじで?」
みんながこぞって、彼に集まる。…とはいえ、部員はわずか3名ほど。ツタンカーメン部とは違い、学校から認定されている公式的な部活動だ。
「これってもしかして…御三家をギャフンと言わせるチャンスなんちゃうんか?」
「囲碁将棋部に対する風当たり、めっちゃ強いもんな…。」
新聞を未だに離さないのが出水蓮。それを覗き込むようにしてるのは槙野翔太。あともう1人は、今は不在のようだ。活動内容は囲碁や将棋だけに限らず、落語からカルタ、百人一首など日本の伝統的な文化を尊重し嗜む由緒正しい部活だ。だが、人気はなく廃部寸前である。
「それにしても、何やねん。このツタンカーメン?どこの誰や。」
写真のツタンカーメンをまじまじと見ながら首を傾げる出水。
「すごいなぁ、勇気のある人も居るもんや。」
呑気にせんべいを食べながら呟く槙野。出水はそんな彼に目もくれず意気込み始めた。
「運動部のやつらを蹴散らして、ゆくゆくは体育系も文系も共存できる素敵な世界にしたいよな!」
「ほんまやなー。でもそんなん出来るんかな。」
「出来るんかな、ちゃうねん。やるんや。」
みんながみんな、日本の歴史的な競技に興味が無いわけがない。少なからず居るはず。ただ文系の肩身が狭いというだけで部員が増えないのは理不尽極まりないお話。それが事実上の部長である出水は気に食わないのだ。囲碁将棋部だって、体育系の部活と対等である。それが彼の言い分。
「人増えた方が、練習たくさん出来るしな!」
「そうやぞ。俺たちだけでやったってもう、あんま意味無いしな。」
槙野のは出水よりも、少し天然で物事をあまり真剣に考えない感じの性格である。熱い出水とはいいコンビだ。
「あー、今日はなんだか、花札がしたい気分やな。」
「えっ!?ほんま?珍しい。やろやろ!」
花札は彼らがサボるときによくやるやつだ。いつもは練習に励む出水だが、機嫌がいいらしい。槙野は喜々として花札を畳の上に広げた。




