表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

74/325

過去編-私はいいんだよ。

 2日後、父さんの遺体が発見された。

俺は遺灰の入った壺を持って、家があった場所に来ていた。

現在、この山林は立ち入り禁止になっている。まだ土砂崩れが起こる可能性があるからだ。しかしそんな事気に止めずに、俺はいた。


「本当に、一人になったんだな…」


涙は未だに流れない。


「俺って、薄情だったんだなぁ」


()()()()()()()


呟くと、不意に後ろから聞き覚えのある声がした。俺は振り向きもせずに言う。


「何故此処にいる?立ち入り禁止の筈だけど」


「私はいいんだよ。だって()()()()()()()()()()()()()なんだから」


確かに、この2日間でこいつが只者じゃない事は分かった。

住むところを失った俺は現在、大地の国にあるアルカナ支部で寝泊りしている。

そこでの周囲のナギへの態度は、畏怖と尊敬が混ざっていた。おそらく、アルカナ内での地位は高い方なのだろう。


「遺灰を此処に埋めるのか」


「……」


感傷に浸る前に、埋めれば良かった。汚れるにも関わらず、膝を地面につけていたのが気になったのだろう。

俺に近づいて来たナギの手には、花束が抱えられていた。


「此処はお前の私有地じゃない。共同墓地に入れろ、とでも?」


「いや…ただ此処も共同墓地と変わらないんじゃないかと思っただけだ」


どう言う意味だ?と問うと、この山林の毒草や、父さんのやっていた事を話し始めた。

俺は何も知らなかった事に絶句する。


「つまり…父さんは俺が殺したのか?」


()()()()()()()()


「けどーー!!」


俺の言葉を塞ぐ様に、ナギにギュッと抱き締められた。いい香りがするのは、きっと持っている花の物だ。


「何も悪くないーーよく一人で頑張った」


そう言って、背中を軽く叩かれる。その温もりとリズムに心地良さを感じてーー俺は泣き出した。


「悲しい中、不安の中、弱さを一切出さずによく頑張った」


そう言うナギの声は、とても優しかった。

あと一回で、ルカ編は終わります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ