過去編-この高さは流石に死ぬって!!
本日から過去編突入です。
雨雲が近づいて来ているのか、風が強めにこの葉を揺らす。私は疾風と大地の国境付近にある、とある山林の中にいた。
「おかしいな…上から見たときは分かったのに」
獣道と言っていいような道を歩く。夏と秋の中間みたいな季節だからか、夏の花もまだ少し咲いていた。
そして目印として探していた、麓に咲いていたのと同じ赤い花を見つけた瞬間、
「え、え、え、ちょっと待って!?嘘でしょ!!」
気付いたら、宙に逆さ吊りになっていた。足首に植物の蔓の様な何かが絡まっているのが分かる。
これはなんだ…?植物系の魔物?もしかして毒とか持ってたりする?
逃げ専門であり、戦闘ではあまり役に立たない私にとって今の状態は最悪だ。
そしてより状況は悪くなる。体が傾いたのだ。
その動きはどう考えても、地面に叩きつける気満々の角度で。
「ちょっと待て!この高さは流石に死ぬって!!」
本気に焦る私に構わず、透明なソレは勢いをつけて私を離した。私は目をギュッと瞑る。
あぁ、此処で私の人生は終わるのか…と覚悟したが、私が感じたのは固い地面ではなく柔らかい麓にあった草むらだった。
「え?あっ、あ〜なるほどね」
戸惑い、気付き、納得する。あれは魔物ではなく、侵入者対策のトラップなのか。
そして殺す気はない為、地面にぶつかる瞬間に別の場所に転移する仕組みなのだ。
「取り敢えず、合流した方がよさそうだな」
あいつの事だ、この防犯対策を壊して相手に悪印象を与えかねない。壊しても構わないが、全部壊されるのはマズい。
一人でさっさと先に進んでしまった私が言える事ではないのだが。
一緒に来たはずの相方を思い浮かべてそう判断すると、私は電話をかけた。
本日二度目のアラーム音が、部屋に鳴り響いた。これは侵入者が境界まできた事を知らせる。
急いでアラームを切ると、そっと父の部屋を覗く。良かった…起きていない。
そう安堵すると、今度は侵入者に怒りを覚えた。
ーー父の眠りを妨げようとするとは。
現在、父は病に伏せている。こんな辺境ではなかなか医者にかかる事も出来ず、ずっとこの状態だ。
本人を連れて医者に行くことが出来なかった為、医者になんとか病状を伝えて薬を貰った。しかし一向に良くならない。
最近では痛みでなかなか寝付けずにいた所、ようやく眠りについたと言うのに。
本日19時にも更新します。




