真相:お前に頼んだのだ、当然だろ
土の国が開戦撤廃した。それは宣戦布告を行なってから四日目の事だった。
「お望み通りになったご感想は?」
「お前に頼んだのだ、当然だろ」
私は、とある建物にいた。ここは会員制で、限られた者しか入れない。更に部屋自体にも、中にいる者の承認がないと入室出来ないようになっていた。内緒話には持ってこいの場所である。
私は鼻で笑った。
「よく言うよ。二人して、私をこき使いやがって」
私だけ除け者にし、鵠沼とフルメンは"風の国アルカナが繋がっている"と言う情報を共有していた。故に、フルメンは私に風の国との同盟を結ぶなと言ったのだ。
ーーあの時点では。
ようは、フルメンの思惑は「現状での同盟は不利だから、ナギになんとかしてもらってから締結しよう」と言う事だった。
「もう少し言葉を付け加えて"アルカナの過激派と繋がっている現状では"同盟は結ばない。とか言ってくれればいいのに!」
そう抗議する私を含め、部屋には5人。
私の後ろに控えているルカと、席にはーーフルメンと鵠沼が座っていた。鵠沼の後ろには、ルカと同様、日向がいる。
フルメンは開き直る様に言った。
「寧ろ、こう言う事態に対処する為にお前がいるのだろう」
「……どうしよう。殺意が湧いてくるんだけど」
私はフルメンを睨んだ。
首筋あたりに一撃入れてやりたい衝動に駆られるが、残念ながら、愛剣は入館時に預けている。
しかも控えていたルカはどちらの味方なのか、「落ち着けよ」と私を宥めた。仕方無く、私は話を戻す。
「開戦撤廃の理由は、風の国が大量のリヒトシュタールを手に入れたせいだろう?」
実際はまだ、予想の半分も採掘されてはいないが。
私の話に合わせるよう、ルカがテーブルにリヒトシュタールの原石を置く。フルメンは頷いた。
「お前によって、派手に露呈したからな。
リヒトシュタールによる戦力差、そして地形によって土の国は撤退した」
風の国は高所にある。低所から高所への侵攻のし難さ、そしてあの強風を突破しなければならない。
技術的に不可能では無い。ただし不利・有利を考えれば、当然不利だ。更にリヒトシュタールによる戦力差が生まれれば、採算が取れない可能性が充分にある。
私は土の国に早くそう決断させる為、鉱山を爆破した。そして現在、爆破箇所からリヒトシュタールが大量に採掘されていると報告が来ている。
「"リヒトシュタールが発見されただけ。本格的に採掘される前に戦争しちゃえ"なんて思考にならない様にしただけだよ。
事の発端はアルカナだろーーどう責任取るんだよ?」
私はニヤニヤと意地悪そうな顔をした。後ろに控えている奴等が「大人気ない…」と呟くが気にしない。
しかし鵠沼はわざとらしくとぼけた。
「責任?何の話だ」
「ボケるには早過ぎるぞ。土の国が宣戦布告した理由は、アルカナへの借金返済の為だろう」




