小噺④-4
「それで、事は解決したのか?」
クスクスと、浴衣姿のナギが笑う。脚を組んでおり、間から白い脚が見えた。
俺は見ないようにしたが、おそらくナギにはバレているだろう…。
俺は誤魔化すように咳払いをした。
ナギの言いたい事は分かっている。
「あぁ…相手が馬鹿でよかったよ」
相手がナギやーーおそらくレイ辺りと同じ知力を持っていたら泥沼だった。どちらかが折れるまでの水掛け論が続いていた筈だ。
「一つ間違えているぞ。私なら、ヘマはしないし、相手に反撃の余地など与えない」
あぁ、そうだな…と言うか、心を読まれたのか?それとも俺はそんなに分かりやすいのだろうか…。
若干項垂れる俺を尻目に、ナギはジェラートを食べた。大好きな柚子味に「美味いっ!」と破顔する。
「少なくとも『ドライアイスを使ったトリックなら、紫でも可能だ』と言うくらいの知能は備えとけよ」
幸せそうな顔をしながらも、辛辣な言葉を吐く。
その知能が備わっていなくて良かったと、俺は安堵しているのだが。
ナギはニヤニヤしながら言った。
「これで、今回呼び出した借りはチャラだな」
「……今、食べているだろうが」
今回、不可抗力で与えられたヒント。不可抗力であるにも関わらず、俺は謝恩として、わざわざ異世界から持ってきたのだ。
それを食べておきながら、よくもまあ、のうのうと。
俺は低い声で「割りに合わない」と言った。
その様子に、流石にナギも焦る。
「嘘だって!!ちゃんと部屋だって、露天風呂付きの二人部屋にしただろ!」
「……」
ナギが後悔するのは、その日の夜だった。
明日からまた本編です。
ちなみに「露天風呂付きの部屋」はの「第22部☆待てえぇぇ!」初めの方に出てきます。
実はこの時、ルカも宿に泊まってました笑
蛇足ですが、宿の中でアイと鉢合わせないよう、ルカは能力を使って出入りしています。




