小噺④-2
ミネルバの梟は、火炎の国に本部を立てているが、氷雪、大地、疾風の国にも支部がある。
紫は水の魔法使いと言う事もあって、氷雪の国の支部で暮らしていた。そして、人工能力者の受け入れを行っている教育機関に行かせていたのだ。
「持っていたペットボトルを破裂させたらしいです」
担任が被害者の男の子から聴いた話によると、男の子が紫に飲み終わったであろうペットボトルを渡した。
紫はゴミを渡されたと怒り、相手に放り投げる。そしてペットボトルは破裂し、破片が男の子を襲ったらしい。
事件後に拾ったペットボトルには、水滴が着いていた。
相手の子は魔力を持っていなかった。おそらく紫が、中に残っていた水を気体に変化させ破裂させたのだろう。
「と、言うのが向こうの見解だ」
電話の向こうにいる人物ーーナギに事の概要を話す。
わざわざナギに報告している訳では、断じてない。
ナギから『紫の能力検査、終わった?』と言う連絡が来たからだ。
そのついでに話しているだけで、決してナギに相談している訳ではない。
そう、俺はまだ、ナギに泣きついてなどいない。
『防犯カメラとかはないの?』
「侵入者対策に外周には設置されてるが、中はプライバシー保護の為に付けてないらしい」
ナギは『ふーん』と何か思案しながら言った。
『ルカはどう思うんだ?紫がやったと思うのか?』
「感情的になる性格だとは思わない」
怒りに任せて魔法を使うより、面倒ごとを避ける為に黙々と言う事を聞く気がする。
そう答えると、ナギは『なら、考え方を変えるんだな』と笑った。
『1つ、魔法が使えなくても出来ること。
2つ、子供でも思い付く事。
3つ、それは簡単に手に入る事。
あとは、ミネルバの梟ならではの強みを活かせば、犯人への証拠が見つかるんじゃないか?』
そう言うと、吉報を期待している!と電話を切られた。
「……」
結果的に、ヒントを貰ってしまったのは不可抗力だと思う。そう自分に言い聞かせた。
明日、解説回
明後日、後日談
みたいな感じになっています。




