★拉致する気満々だな
私は仕方なく、7名が行方不明になった場所に来ていた。
目の前には樹々が鬱蒼と生えている。調査ポイントが記入された地図を手に、山の中へと足を踏み入れて半日。
「……とりあえず第3ポイントまでは問題なし」
確認済みの所に印を付ける。残りは2ヶ所。川の近くか。
見つけた切り株に腰掛け、モグモグとお昼ご飯を食べながら、地図を眺める。ちなみにおにぎりの具は梅干しだ。傷まないよう配慮しての事であり、ツナマヨとサケが良かったな、と少し残念に思った。まぁ、自分で用意したのだけれど。
包んでいたアルミホイルを丸めると、鞄の中にしまった。さて、行くか。
第4ポイントに到着。観測井戸に近づいて、私はとある事に気付く。
「これって…」
近付くと、茶色い小瓶が転がっていた。地面は赤くなっており、微かに除光液に近い臭いがする。
小瓶を拾い上げようとした瞬間、殺気を感じた。
「!」
背後から殴られそうになるのを、振り返らずに右に避けた。
そのまま体を反転させて、驚いている相手の襟首を掴む。片足を引っ掛けて敵の体を回し、地面に打ち付けた。得意技の大外刈りである。
一人のしたら、あとから3人ほど武装している奴らが出てきた。手には全員、警棒状の物を持っている。幸いな事に、銃器の類は持っていないようだ。
「拉致する気満々だな」
私も腰にある愛剣を構えた。本当なら拳銃を抜きたかったのだが、障害物の多さと相手との距離が近過ぎる。この間合いなら、剣の方がいい。
そして私は隙を見て、上流へと駆け上がった。
山道を駆け上がるだけでもなかなか辛いが、その上、水を含んだ腐葉土の様な地面は最悪だった。
後ろを見ると、一人。二手に別れたのか。
取り敢えずここらで反撃するかと、私は側にあった一本の樹に捕まり、反転した。
「なにっ!?」
走っていた勢いを殺さず、そのまま敵に向かって突き進む。そしてぶつかる直前に、鳩尾に膝打ちを入れた。敵は呻き声を上げ、後ろに吹っ飛ばされる。
ついでに後ろを走っていた仲間にもぶつかって巻き込んだ。御愁傷様です。
止まった私に、チャンスとばかりに左右から同時に飛び出してくる。私は右側に重心をずらし、先の鳩尾に当てた左脚を勢いよく伸ばして、右側の敵の腹を蹴り、左側の攻撃は剣で受けた。
「残り1人」
私はニヤリと笑った。
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