★出来るだけ早く発ってくれ
ちなみに、現在、私はアイの家にいる。村に宿の類はないとの事なので、アイの家にお邪魔させてもらうこととなったのだ。
そしてこれまでの経緯を話すと、アイは首を傾げる。
「戦争を仕掛けようとしているなんて気配、全くしないけど」
「だよなぁ」
これは偽情報を掴まされたと思うべきか。だが、情報の精査もせずに『同盟は結ばない』なんて言い切るだろうか。
「かつては植民地だったとは言え、今更だと思う」
アイの言葉に私も頷く。
風の国は、かつて土の国の属国だった。と言う以前に、まずこの国を開拓したのが土の国だ。
当時はまだ四大元素と言う概念がなく、取り敢えず能力者、非能力者と分けられていた。
その中で、あの強風を突き進める能力者達が、国の命令で開拓していったのだ。
そして子孫が生まれ、1つの集落は国になるまで成長した。
その後、土の国からの独立や産業革命を経て、現在に至る。つまり、民族的には土と風は同じとなるのだ。
「そう言えば、先住民とかいなかったのか?」
「あぁ」
私の知る限りな、とアイはコーヒーを一口飲んだ。カップを両手で包み、私に意を決した眼差しを向ける。
「明日、出来るだけ早く発ってくれ」
長居はするな、暗にそう言われた私は肩を竦めた。
長居はするなだなんて、何か隠してるとしか思えない。都合が悪い事でもあるのか。
私は意地の悪い笑みを浮かべた。
「もしかして、罪人でもいるのか?」
「!!」
アイの反応はとても分かりやすい。狼狽るアイに、私は畳み掛けた。
「新しい仕掛けに、周囲の杭や柵。
一見、村からの侵入者対策の様に見えるけど、杭より内側に電気柵はおかしいだろ」
これはまるで、脱走対策だ。つまり、逃亡しようとしている者がいると言う事。
天候の村については、事前に調べてある。そこから導き出されたのが、罪人の処刑だ。そしておそらく
「一親等内の身内が処刑対象」
「…千里眼でも持っているのか?」
まさか!と一笑する。今の言葉でアイは肯定した事になる。観念したアイは、事情を話した。




