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★健闘を祈る


 なんでこんな辺鄙な村に、牢屋なんてあるんだ?

唯一の光である蝋燭の火を見つめる。


そして何故こんな事になったのか、改めて思考を巡らせた。


確か、風樹の街を出て首都・風花(かざはな)に到着した事を、火炎の国に連絡したのが発端だった気がする。


『風の国とは同盟を結ばない』


「はぁ!?」


私の上官に対する返事とは思えない声に、フルメン中将が呆れながら言った。


『近々、土の国が戦争をふっかけるらしい。

今、下手に同盟を結んだら厄介な事になる』


「戦争って、どこからの情報だ…ですか?」


フルメンに敬語で話すのが慣れない。相手も分かっているのか、特に咎めはしなかった。

ただ、再度溜息を付いた。


『アルカナーー鵠沼(くげぬま)からだ』


思いもしなかった人物の名前が出てきて、私は頭を抱えた。まぁ、ここで風見や日向の名前が出てくるよりはマシなのだが。


「なんで私よりおまーー中将に連絡がいくんですか」


ヤバイ、ヤバイ。流石に"お前"呼びはヤバイ。相手は上官だ。しかも将軍。そして一応、恩もある。

フルメンはコホンッと咳払いをした。そして何度目かの溜息をつく。

良かった…どうやら見逃してくれるようだ。そうホッとしたのも束の間


『同盟はしない。だが、情勢は調べて来い』


「はあぁぁ!?」


冗談だろ?私の能力が戦闘に不向きって知ってるよな?そう言葉を続けようとしたが、


『健闘を祈る』


と言って、フルメンは電話を切ったのだった。




 と言う事で、私は風花の街で情報収集に勤しんでいた。

現在は休憩と称し、ケーキセットを堪能中である。


「鵠沼のやつ、テキトウな事でも吹き込んだんじゃあるまいな」


特に土の国との不仲の様な情報はない。更に言うと、風の国が弱っているとも聞かない。と、同時に利潤がある様な話も。


「これは、風の国より土の国に行くべきか」


仕掛ける側の情報も集めておきたい。と、言うか本当に戦争起こるの?


「けど、歴史的背景を考えるとなくもないのか?」


うーん、と唸る私。

風樹然り、風花然り、風の国の地名には植物系の字が付く事が多い。これはかつて、土の国の属国だった時の名残りだ。


「取り敢えず、土の国に向かってみるか…」


私はモンブランの栗にフォークに突き刺した。


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