交錯編-やっぱりこっちかぁ
ミラ達の置き土産を見つめた時、電話が鳴った。風見達を一瞥すると鵠沼は受話器を取り
「ーーーーー」
電話相手に伝える情報に風見達は目を見開いた。
自分達には一切与えなかった情報。それをその口調で易々と伝える相手と言えば、一人しか思い付かない。
鵠沼は電話を切ると、
「待たせたなーーー出番だ」
今まで曖昧にしていたのは、待っていた為。さもそう言いたげたな態度に、風見は悪態をついたのだった。
なぁ、ナギーーーお前はどんな相手にもそんななのか?
そう問う俺に、ナギは含み笑いを浮かべたのだった。
ナギが意識を取り戻した後、俺達は情報交換をしつつ各拠点を潰していく。そして遂に、今回の計画書を発見し
「やっぱりこっちかぁ」
と、ナギは嘆いた。俺も険しい表情を浮かべる。その理由は
「憑依か」
「動物霊のようだーーーまずいぞ、時間が経てばいずれ共喰いを起こす」
それに問題はそれだけではない。
「過疎化が進んでるとはいえ、天候の村には100人以上在住しているはず。そんな人数をまとめて祓うなんて」
ナギの言葉に俺も同意する。
「なにより悪霊祓いは命懸けだ。失敗したら術者に跳ね返ってくる。引き受けてくれる能力者がいるかどうか…」
ぎゅっと拳を握る。何か手はないのか。無力感に浸る俺とは別に、ナギは少し考えるとどこかに電話をかける。相手はワンコールで出た。
「もしもし、そう私だ。今ーーーなんで知ってる?あぁ、調査結果が出たのかーーーなんだって?ーーーおい、それはーーー」
どんどんとナギの顔が険しくなる。いや、険しくと言うより呆れと悪態に近い感情が浮かんでいた。
「あぁ、分かった」
と、ゲンナリした顔でナギは電話を切ると、俺が口を開く前にナギは疲労の色を浮かべつつニコッと笑ったのだった。
「なかなかの慧眼を持っているな、ルカ」
一体それはどう言う意味だ?