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交錯編-純粋に悔しいな

 錬金術と魔法は対と思われがちだが、根本は同じだ。錬金術では、この世界のあまねく全てのものが第一質量という基本から成り立っているとされ、 第一質量が「乾・湿・熱・冷」の属性を持つことで四大元素「火・気・土・水」のいずれかに姿を変えるという考え方だ。


そして第一質量と属性を結びつける物、それが第五元素。別名、エーテルである。


第五元素を操ることが出来れば、物質を自在に作り替えれる。つまり卑金属から金を、老体を成体に作り替える事が出来る、と考えられていた。

そして第五元素は熱せられた物質から立ち上る湯気に含まれているとも考えられていた。これは分解方法の一つ、加熱分解が熱を与える事によって物質が変化する様子が、属性を結びつけるエーテルが気化した事で分解した、と考えた為である。


よって、


「燃焼作用を持ち、金属を黄金色化させる硫黄。硫黄もまた、賢者の石の材料の一つと考えられていた」


そして硫黄と言えば、


「あの時は気付かなかったのが、純粋に悔しいな」


思い返せば、久しぶりにアテナ様が干渉してきた場所である。

アテナは言っていた。


『冗談よ。ただ、追い立ててみようかなって』


きっとあの時、アテナはこう思った筈だ。


ーーーいいのかしら?素通りしてしまって


ふふっと艶笑を浮かべるアテナの顔が目に浮かぶ。


「だから此処に来たのか」


「あぁーーーまさかルカも来るとは思わなかったけどね」


私は意識を取り戻すと、目の前にはルカの顔があった。そして私が無事だと気付くと、苦しいくらいに抱き締められーーー現在はゆっくりと外に向かって歩いている。


 ルカも此処に硫黄がある事は知っていた。しかし錬金術の知識がなければ硫黄と賢者の石との繋がりを見つけられる筈がない。

そう思って、ルカ達の事を警戒していなかったのだが、まさか鉢合わせるとは。

私の内心が分かったのか、ルカは「確かに俺はそう言った知識に乏しいが」と少し拗ねた口調で言う。その様子に、私は少し愛おしさを感じ、つい、ぎゅっとルカの腕に抱き着いた。


「けど、桃の事はよく気付いたな」


「…まぁな」


褒められたのが恥ずかしいのか、ルカは私から目を背けるが、耳が赤くなっている。私は少しニヤリとして、その耳元へと唇を寄せた。そして


「けど、桃の種類が違うけどね」


「……」


なんでお前はそう、一言多いんだ。と言いたげに、ルカは私を睨んだのだった。

時系列としては

ナギ:ラプライアスと賢者の石の話をした後、

天候の村→鉱山→ヘルメス、アテナと遭遇→ルカと合流(現在)


ルカ:ナギを追って水の国へ

天候の村でアイ達との会う→その夜、天候の村が襲撃される→風見達と分かれ、鉱山へ→ナギを発見(現在)


風見・日向:

ルカと分かれ、アルカナに戻る→鵠沼を糾弾中(現在)

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