交錯編-別の方法?
「けど、おかしくないか?アルカナが賢者の石の生成を作る理由にはなるけど、深奥ではもっと前から研究されていたんだろう?」
「そう…だから、深奥の連中の目的も"金の生成"ではなく"不老不死"なんじゃないかと思うんだ」
深奥の連中の目的は賢者の石の生成ではなく、それは方法に過ぎなくてーーー本来の目的は不老不死、またはそれに類する事。そこまで推測したのなら
「一つの目的に対して手段が一つとは限らない。不老不死に関する、別の方法も模索している筈だ」
「別の方法?」
風見の問いに、俺は「思い出してみろ」と促した。
「まず俺達はなんで今、此処にいる?」
「それは土の国が風の国に宣戦布告をしたから…」「大地と土が繋がってると確信して…」
二人はなかなか意図に気付かず、俺は早々に答えた。
「大地は賢者の石欲しさに深奥を攻撃した。その大地が、今度は土の国を使って天候の村を襲ったんだぞ?」
「天候も、何かしらの研究をしてるって事か!!」
必ずしもそうだとは限らないがーーーそう邪推するくらいの可能性はある。
「天候の村ではないが、さっき言った気になる事が、風の国にある」
「不老不死関係で、何かあったのか?」
日向の問いに俺は頷いた。
「あぁ、ナギが同盟を結ぶ為に動いていた時の報告で…不老不死を与える物と同種であり、尚且つアテナ様が関わった事件があるんだ」
"不老不死を与える物"、"アテナ様"の二つの単語に二人はピクリと動きを止めた。俺は意を決して言う。
「西遊記では西王母が管理している果実として描かれているーーー桃だよ」
確か、ヒナタから逃げた直後に聞いた話だった。珍しくアテナ様ご本人が出てきて驚いたとナギも言っていたのだ。
あの時、アテナ様には別の思惑や意図があったのではないか?
こうして俺は風見達と別れーーー倒れていたナギを発見したのだった。