交錯編-無理があると思うぞ
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家主ーーー水の国の環境大臣を務めている男は「いつの頃だ?」と顔を顰めた。
「つい半年くらい前の事だけど…」
「今、目の前にある物を見てお前はどう思う?」
脈絡なく、いきなり別の話をするなよ…。私はそうツッコミを入れるのを我慢し「うーん…」と悩むふりをした。そして純真無垢な笑顔を向け
「まだ解決してないんだな、って思う!」
と、わざとらしく答えたのだった。
男ーーーラプライアスはため息を吐く。
「やはり太陽光では限界がある…」
「だろうなぁ。しかも、なんだよコレ?」
と、私は先ほどまで感嘆していた物たちを指し示した。この景観は美しいが、ラプライアスの主旨を考えると呆れるしかないのだ。なぜなら
「無理があると思うぞ…?コレで電気供給するのは」
まだ風車とかソーラーパネルの方が効率いいと思う。と付け加えると
「やはりか…」
と頷くラプライアス。やはりか、じゃないわ!!とツッコみたくなったが、私は自慢の自制心を働かせた。ダメダメ、もうそろそろ本題に入らなくては。
こほんっと小さく咳払いすると、私はラプライアスに向き直って切り出したのだった。
「なぁ、ラプライアス。賢者の石をどう思う?」
その言葉に、ラプライアスは僅かに目を見開いたのだった。
折角来たのだからと、俺たちは天候の村を見て回っていた。とはいっても、
「観光地でもない、小さな村なんだから、わざわざ見て回る様な所なんてないでしょ」
と、再び喧嘩を売るような発言をする風見に
「なら、ナギが一泊する事になり掛けた場所は?」
と、よく意味が分からないアイの言葉に風見と日向は顔を顰めた。「どう言う意味だ?」と首を傾げる二人とは裏腹に、俺は「まさか…」と少しばかり目を見開く。
脳裏に浮かんだのは、ナギから聞いた例の牢屋だ。
アイは俺が察した事が分かったのか、少し意地の悪そうな笑みを浮かべて、牢屋に案内された風見達は唖然とした表情と共に
「ナギは何を仕出かしたの!?」
と言ったのだった。
ヒナタはニヤリと笑い
「折角だ、ここに一泊していけばどうだ?」
と言ってきたので、俺たちは「宿は風花で取ってあるからいい!」と即答したのだった。
アイ達には悪いがーーー本当に、この時断っておいてよかったと思う。
風花は同盟編でちょっと出てきた、風の国の首都の地名です。