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◇流石、お優しい◇
幕間です。
三柱は各々の盤を眺める。
一柱目は無表情で。
二柱目は虎視眈々と。
そして三柱目は微笑を浮かべていた。
「さて…どうなるかしらね?」
「まるで他人事だな」
「だって、他人事だもの」
私はただ面白そうだから駒を置いただけよ、と付け加える様に言う。
そんな様子に、無表情だった一柱目は口を開いた。
「こちらとしては、いい迷惑だ」
「あら、楽しくなっていいじゃない」
盤を見つめる三柱目の表情が、一瞬だけ穏やかになる。
その様子に、残りの二柱は鼻で笑った。
「流石、お優しい処女神」
「切り捨てた駒が女じゃなければ、入ってこなかったくせに」
そう批判を飛ばす二柱に、女神は冷ややかな眼差しを向けたのだった。
「確かに私は処女神を名乗っているわ」
ーーー故に私は、英雄にも力を貸す。