表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

274/325

交錯編-な、、んで

俺の腕の中にいるナギが、今まで聞いたこともないような弱々しい声を出す。腕を緩めナギの顔を見ると、俺は驚愕した。

ナギの顔色は蒼白で、血の気が失せていたのだ。

頬に触れると冷たくて、明らかに体温が下がっているのが分かる。

そしてーーー血の匂い。

俺たちの様子がおかしいと察したのか、訝しげに風見と日向も近づいて来ると、ナギの様子に目を見開いた。


「あんた、まさか胸に攻撃でも受けたの!?」


胸?と風見の言葉に、俺はナギの心臓あたりを見ると、分かりにくいが確かに服から血が滲んでいた。

俺は嫌な予感がしてーーーナギに一言断る余裕すらなくーーー裾を捲る。

いきなりの行動に風見は一瞬顔を顰めるが、俺の必死な形相とナギの状況から咎めはせず、晒されたナギの胸元を見るとーーー既に塞がったいた古傷が、半分ほど開いていた。


「なぜ…」


これはナギが村長によって付けられた傷だ。アテナの力によって閉じていた筈。


「まだ復讐は終わっていない筈なのに!何故!?」


フルメンは「ナギの復讐が終わるまでの期間は、保証されている」と言っていたではないか。


ならば何故、今?


「この傷、どんどん拡がっていってない…?」


「!!」


気を使って目を背けていた日向とは別で、同性と言うことで注意深く観察していた風見が口を開いた。その指摘に、俺は再び傷口を見やる。確かに、ゆっくりとだが進行していた。

本日何度目になるだろうか…。俺は「なんで…」と呟く。

額に脂汗が浮き、今にも意識を手放してしまいそうなナギ。

だが必死に俺にしがみつく。


「此、処は、アテナ様の、、力が、よわい」


「!!」


そうだ、先程俺はその考えに行き着いていたではないか。


「アスクレピオスの領域…」


医術の神のくせにナギを治さず、むしろ殺すのか。そう皮肉を言いたくなったが、少しでも早くナギを此処から連れ出さなければと思い、俺は再び魔法を使う。

しかし


「な、、んで」


発動しない。近くにドゥンケルシュタールがある訳でもないのに。


「緑よ」


と、風見も試しに使ってみるがーーー使えない。

まさか…と絶望に近い気持ちが思考を支配した。


「上位存在からの妨害…?」


そう呟いた瞬間ーーー腕の中からナギが消え、代わりに一枚のメモが現れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ