表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

265/325

交錯編-なんでそこまでこだわるか…

 ルカ達を案内した後、俺は別室で控えていた。

聞こえてくる話に、俺は辟易する。


「なんでそこまでこだわるか…」


生きているのだから良いじゃないか。

お前はこの因習から解放されているのだから、これ以上首をくっ込んでくるなよ。


と、悪態をついた時、ちょうどアイツから連絡がくる。

俺はニヤリと笑うと、立ち上がったのだった。





 ソルの気配が消えた事に、いち早く気付いたのは風見だった。隣で聞き耳を立てていた奴がいなくなった。

つまり、何かあったのだ。

眉を顰める風見に、ルカは気付かず静かに言った。


「ミランダへの報復は知っている。事故…アルカナ派のせいだと見せかけて殺したと言う事はな」


「そう、あいつは執念深くーーー見逃さない」


村長の目が鋭く光る。


「サルトゥスだけ偶然で済むと思うか?」


「……」


グッと拳を握る。今すぐナギに問い詰めたい。

父さんはお前が殺したのか?もしそうなら、どうやって?


そして、一番聞きたい質問がーーー

とその時、地響きが起きた。





 揺れが収まったのと同時に、窓が外側から割られ、俺たちは囲まれた。咄嗟の事で反撃出来なかった俺は、それでも装備の様子から相手が何処の組織か見破った。


「お前ら、大地の国の…」


全身黒の戦闘服に、顔にはガスマスクと防護メガネ。一見分からないが、構えている銃器がーーーつい先日、あの施設から没収した物と同じだった。

俺の言葉に、敵の一人がカチッと銃器の安全装置を外す。余分な事を言うな、と言う無言の圧力だ。


俺は憎々しげに口を噤むと、チラッと風見達を見やった。至近距離に構えられた銃器に、流石の風見もお手上げで大人しく両手を上げている。


嵌められたか…!!と次いで村長を睨めば、驚く事に村長にも銃器が向けられていた。


ーーー罠ではない?


と内心で訝しむと、村長は口を開いた。


「…いきなりなんだ」


村長の冷静な口調での問い掛け。その目は虫ケラを見る様で、そんな態度を取って大丈夫か?と心配になってしまう。

チラッと壁を見る村長に、相手はくくっと笑った。


「隣には誰もいないぞ?逃げられてら堪らないからな。ソレイルが席を外したのを見計らって爆破した」


チッと悪態をつき「ソルめ」と呟く。

風見は風見で「なら、別の用事でいなくなったのかしら…」と呟いたので、ソルがいなくなったのに気づかなかったのは俺だけか、と少し落ち込んだ。

が、それ以上に衝撃を受けた事がある。


ーーー爆破だと?


あの地響きは爆発の影響だったと言う事か。だが問題は、何処を爆破したかだ。

嫌な予感がする。

しかし俺は内心ではそれほど焦っていなかった。


ーーー不幸中の幸いは、深奥(ここ)にナギがいない事だな。


先程、ソルがナギは外にいると言っていた。

ナギを足手纏いとは思わない。寧ろ心強いと思う。

だがそれ以上に、安全な所にいて欲しいと思うのだ。


頭の後ろで手を組まされた俺達に、リーダー格の男は言う。


「賢者の石は何処にある?」


敵の言葉に、俺は息を呑んだ。賢者の石だと?今までに一度も出て来ていない情報だ。

フルメン達は知っているのか…?いや、知らない可能性の方が高い。

もしここに賢者の石なんて物があったら、放って置くはずがないのだから。


俺はチラッと二人を見ると、二人とも驚く表情を浮かべていた。幹部の日向が知らないと言う事は、アルカナは関係ないのか?

逡巡する俺を尻目に、村長はゆっくりと口を開いた。


「お前達は、賢者の石が本当に物質だと思うのか?」


「なんだと…?」


訝しげむ敵に、村長は言い切ったのである。


「賢者の石とは賢者の遺志、古き尊き伝統に則った存在だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ