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交錯編-その回答は曖昧過ぎる。

ルカの言葉が変な文になっていたので、修正しました。ε-(´∀`; )

 あなた達の目的は何なんだ?

その問いに、私は苦笑した。


「そうだな…強いて言うのならば、絶つ為だ」


「絶つ?」


初めて会う二人目の孫は、訝しげに見てきた。私は目を細める。


ーーーお前はあいつのやってきた事を全て知った時、どうするだろう。


あいつを憎むだろうか?恨むだろうか?激怒し失望し、糾弾するだろうか?


ーーーそれら全てを乗り越えてくれるだろうか。


私は意を決して口を開いた。


「あいつの復讐対象をどこまで把握している?」


ルカが眉を顰めた。


「全てに、って事は知っている。」


「その回答は曖昧過ぎる。“全て”の定義はどこまでだ?」


ルカからチッと舌打ちが聞こえてきた。が、私は素知らぬ顔をする。

この問いはとても大切な事なのだ。

ルカは仕方なく正直に答えた。


「ナギを売ったアントーニオ、買ったアルカナ、ミランダ、入れ替わった俺ーーーそしてあんただ」


真顔で私を見つめるルカ。あなた達、からあんたに変わる。お前呼ばわりしないだけマシか、と私は内心で笑った。

ルカの回答に、私は首を横に振る。


「随分と少ないな。少なくともあと一人、お前は知っている筈だ」


「一人…?」


訝しげな顔をするルカ。隣に座る二人も眉を顰める。

私は表情を強張るのを自覚しながら言った。


「サルトゥスーーーお前の父親だ」


私の言葉にルカは目を見開く。そして一拍空いて、吐き捨てる様に言った。


「確かにナギを拾った二人、ネージェと父さんが復讐対象に入るのは分かる。そもそもこの二人が、ナギを俺の身代わりにした事でアイツはあんな事になったんだからな。だが、ネージェはアテナ様と契約する前に死んでるし、父さんもナギが復讐する前に…」


と、話している途中でルカの顔色が悪くなった。静かに聞いていた二人も察したのか、絶句している。


私は「賢さの弊害だな」と呟いた。


憐れみが表に出ないよう、私は無表情で言う。


「サルトゥスの死因は聞いている。土砂崩れがナギによって引き起こされた物じゃないと言い切れるか?」


私よりも長い時間、この三人はナギと共にいた。

だから私よりも分かるだろう。

それでもルカは否定したくて、振り絞る様に反論した。


「あの嵐の中、ナギは自ら家に残る事を選んだんだぞ!父さんを殺す為に起こした土砂崩れに、自分も巻き込まれる危険を承知で残る筈がないだろう!!」


ナギは助かったのは、サルトゥスとルカのおかげだ。当時、ナギから詳細を聞いているルカには信じられない。

ルカは必死になって、私に叫んだ。


「あの時、ナギが助かったのは偶然だ。そしてあいつは、偶然(そんなもの)に命を託す様な事はしない」


理性は否定する。

理論的に、合理的に、ナギがサルトゥスを殺せるはずがないと。

だが直感は告げていた。

あのナギなら可能だ、と。


「もどかしいな」


と日向は呟いた。


「ナギの事を知っているが故に"あいつなら偶然を装って必然に出来る"と考えてしまう」


サルトゥスに自分の正体を明かし、同情心を煽れば、あるいは自己流詠唱(オリジナル)を使って操ったのかもしれない。

だけどーーーと、風見は目を細める。


「あの時、サルトゥスとは初対面よ。実力が分からない相手を、計画の(かなめ)にするかしら?」


サルトゥスを操ろうと、もし想像よりも魔力が足りていなかったら、その計画は破綻した筈だ。

と言いつつ、風見も完全には否定出来ないでいた。


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