交錯編-この2つには気を付けろ
場面の都合上、短いです…。次回はその分、長くなります。
それはいつものように突然だった。ソファーでまったり読書していた俺に、ナギがニヤニヤしながら寄って来た。
「ルカ、霙って漢字の成り立ちって知ってる?」
「まず霙なんて漢字、知ってる奴の方が少ないだろ…」
そう突っ込む俺を無視して、ナギは俺の隣に座る。
「まず霙だが、雨と雪が混ざって降っている状態のことは分かるよな。その漢字の由来だが、何故、雨冠に英なんだと思う?」
ナギの言葉に俺は「うーん」と思考を巡らした。
「英はエイ、はなぶさって読むあたりがポイントだと思うんだよなぁ」
俺の呟きにナギは「ほぅ…」と感心に近い声を上げた。ナギは「近いっ!」と指を鳴らす。
「英の由来自体が、美しい、鮮やかさを意味する「央」に、植物を表す草冠から出来てるんだよ。
だから「英」自体が「美しい花」と言う様子を表してるんだ」
「そこから、雨の中、花弁が舞っている様に見える天候を霙と言う漢字で書く様になったって事か」
まとめる俺に、ナギはウインク付きで「諸説あるみたいだけどね」と付け加える。
「ちなみに漢字だけではなく、他にもあるよ」
「漢字以外?ひらがなやカタカナとか?」
俺の問いにナギは朗らかな笑みを浮かべーーー
「AとO、この2つには気を付けろ」
それだけ言うと、スルリと俺の膝に上半身を乗せて伸びをし、昼寝を始めたのだった。