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交錯編-無理だった筈だ

 無事に一回戦目が終わると、二回戦目に入る前にトイレ休憩が取られた。

俺は手洗いから戻ってくると、風見が疑問を口にする。


「さっきのルカの試合だけど、ルカの能力って目視した所にも移動出来るんだったかしら?」


「無理だった筈だ」


風見の問いに俺は応える。その回答に、風見は「ならーーー」と言葉を続けた。


「どうやってステージ内を移動したのよ?」


「それはおそらく、仕込みだな」


仕込み?と風見は首を傾げた。俺は頷く。


「この大会では、参加者は前日の夜まで会場内に入っていいんだよ」


「!!」


風見が目を見開いた。

「つまり、イカサマや仕込みが(あらかじ)め用意されているって事?」


「運営にバレなければな。司会が言ってただろう?能力など何でもありって。当日までにバレなかった仕込みは有効とされる」


会場が設置準備が始まったのは3日前。ルカの奴、昨日の夜くらいに来たんじゃないか?風見は絶句した様な表情を浮かべる。


「なんて…スポーツマンシップの欠片もない大会なのかしら…」


その言葉に「だから低俗って言っていただろう?」と俺は苦笑いを浮かべた。


「ルカは仕込みのお陰で救われたしな。あのままだったら負けてたぞ」


ルカを睨むあの表情から察するに、おそらく相手も答えが分かっていたようだ。


「ナギも、何か仕込んでるかもな…」


「ナギが?けど、参加していないじゃない」


風見の疑問に、俺は先程得た情報を伝える。風見は目を見張り、そして笑った。


「そう…なら正々堂々、何か仕組んでいる筈ね」


そうでしょう?ナギ。





 第二戦目、人数が6人となる。一回戦目の回答時間がそれぞれの山のシード枠に指定された。

幸運と言うのか、当たり前と言うのか俺は一回休み扱いになる。

二回戦目の第一試合はーーーステラが出てきた。

対戦相手は学生である。


「確か、有名学校の現役生だっけ」


先程のちょっとした説明を思い出す。司会は声を張り上げて説明した。


『今度は知識問題!先に3問正解した方が勝者です!』


司会の説明に、学生はニヤリと笑う。どうやら得意分野の様だ。

しかし、


「ーーーえ?」


問題が流れる。が、学生は耳に手を当てて聞き返すような素振りをする。そうしているうちにステラが回答ボタンを押して、と言う事が三回。ステラのストレート勝ちだ。


「うそだ…」


と、学生は絶句する。そして隣に立つステラをキッと睨んだ。


「イカサマだ!妨害行為だ!」


そう喚くが、ステラはそっぽを向く。無関心な態度のステラに、学生は掴み掛かろうとした。しかしステラは一試合目と同様に軽々と避け、ついでに脚を引っ掛け、相手を躓かせた。


「負けたんだから、さっさと退場しなさいよ」


ハッと鼻で笑うと、ステラは早々に待機室へと向かったのだった。

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