交錯編-何処に興味を持ったんだ?
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その後、ルカに連絡し話し合った結果。
「列車なんて久しぶりよ」
「いっつも転移装置使っていたからな」
俺、風見そしてルカのメンバーで疾風の国に向かっている。ルカは防犯カメラの動画を真剣に見ており、対称に風見は流れていく景色をつまらなそうに眺めていた。
当初はルカだけの予定だったが、
「日向、風見、お前達も行きなさい」
と鵠沼総帥が言ったのだ。予想だにしなかった言葉に、俺たち三人は目を見開く。
記憶を失っている風見は口を尖らせて抗議した。
「何故、私もなのでしょうか?」
「深奥で何があるか分からない。用心に越した事はないからだ。それにーーー」
と、鵠沼はチラッと俺を見る。そして言葉を続けた。
「ルカ、お前は深奥では常に日向か風見と行動を共にしろ」
と含みのある助言したのだった。
未だに不満を漏らす風見に「仕方ないだろう?」と、宥める様に俺は言う。そして今まで無言を貫いていたルカが
「…ヒュエトスが非協力的な以上、任務じゃなくプライベートと言う名目だからな」
と、口を開いた。俺は遠慮がちにルカに聞く。
「ヒュエトス大臣へのアポイントを取れているんだろう…?」
「一応な。だが、はぐらかされるだろう」
ルカは険しい表情で言う。
ゲフリーレンから貰った連絡先はーーーなんとなく予想がついていたがーーーヒュエトスだったらしい。そして散々はぐらかされ続けたルカは、先日、漸くアポイントをもぎ取ったのだ。
「おそらく一筋縄ではいかない…」
まだ道中は長いと言うのに、ルカは疲れ切った顔で言う。
俺は気の毒そうな表情を浮かべた。
ルカが先程まで喰い入る様に見ていた映像は、ナギがアルカナに乗り込んで来た時の物だ。俺達に対して素っ気なかったが、ルカにとっては会えただけでも羨ましいのだろう。
ナギが来た、と連絡した時のコイツの様子は大きく取り乱しており、既に去った後だと知った時の落胆ぶりはあまりにも酷かった。
「それにしても、ナギはなんでこんなデータが欲しいんだ…?」
と、次にルカは紙の資料を取り出す。半ば呆れた様子で捲るそれは、ナギが「見せろっ!」と言ってきた代物だ。
「アルカナの前身タロットがやっていた実験内容で、全く人工能力者関係のものでもないしなぁ」
「それに、ベンチスケールのデータよね?それって」
風見の言葉にルカが頷く。
「試作量を見ると、パイロットスケールと思ってもいいかもしれない」
ルカは溜息まじりに言ったのだった。
「この実験の何処に興味を持ったんだ?」
ラボスケール:研究室での試作、試作量がフラスコレベル
プラントスケール:工場での生産レベル
ベンチ、パイロットスケールはラボとプラントの間。
ベンチ→5〜20Lくらい
パイロット→50〜100Lくらい
として、ルカ達は話してます。